PRESS RELEASE
2016年9月12日
富士通株式会社
富士通フロンテック株式会社
~複合機や住宅、クルマなど新たな分野へ展開~
富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下、富士通)と、富士通フロンテック株式会社(本社:東京都稲城市、代表取締役社長:下島文明、以下、富士通フロンテック)は、機器組込み向けのセンサーである「FUJITSU 生体認証PalmSecure-F Pro(パームセキュア エフプロ)」(以下、PalmSecure-F Pro)、および「FUJITSU 生体認証 手のひら静脈認証ボード」(以下、手のひら静脈認証ボード)の2製品を、手のひら静脈認証装置の製品ラインナップに加え、10月下旬より販売します。
「PalmSecure-F Pro」は、操作性や環境耐性が向上し薄型化されたことで、設置・使用環境の条件を大幅に緩和したほか、認証精度を向上させ、登録された大量の静脈データから個人を識別する機能を強化しました。
また、ボードにソフトが組込まれた「手のひら静脈認証ボード」を提供することで、従来適用が難しかった組込み系OSを搭載した機器への適用が可能になります。
これにより、従来はPCログオンや入退室装置での使用が中心でしたが、複合機や金庫・ロッカーなどでの使用が拡大することで、企業内の認証方式を手のひら静脈認証に統一できます。また、現金やクレジットカードに代わる手ぶらでの決済手段や、住宅やクルマの鍵の代替など、新しい市場への拡大を目指します。
近年、情報漏洩やなりすましによる被害の拡大防止のため生体認証技術の普及が進んでおり、なかでも、手のひらの静脈パターンを読み取る手のひら静脈認証は、高精度で偽造が難しい特長や高い認証性能により、ATMでの本人確認や企業のPCアクセス管理、入退室管理など、グローバルで7,000万人以上に使用されています。
認証精度や利便性の高さから、様々な機器へ手のひら静脈認証を組込みたいというニーズが高まっており、動作OSの拡大や、温度・外光など環境耐性の強化が求められていました。
「PalmSecure-F Pro」は、2010年より販売している「PalmSecureセンサーV2」との静脈テンプレートの互換(注1)を維持しながら、小型化・操作性向上・外光耐性改善などを行い、これまで装置サイズや外光環境の制約により対応できなかった組込み機器への適用を可能にします。
「手のひら静脈認証ボード」は、ボード上のファームウェアが撮影・登録・認証などの処理を行うICカードサイズのコンパクトな制御ボードです。従来、手のひら静脈認証を使用するためには、WindowsやLinuxなどOSの制限がありましたが、本製品によりOSに依存せず静脈認証システムを構築することができます。
2製品は9月14日(水曜日)から16日(金曜日)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「第18回自動認識総合展」の富士通フロンテックブースで展示します。
「PalmSecureセンサーV2」の認証精度を維持したまま、従来の半分以下となる厚さ13mmを実現しました。これにより、従来と比べてよりコンパクトな機器への組込みを可能にします。
図1. センサーサイズ
手のひらを連続で高速撮影した中から、最適な画像を瞬時に選び出して自動的に照合する機能を搭載しています。高性能のイメージセンサーを搭載することによってシャッタースピードが従来の約5倍になり、撮影時間の短縮、および撮影画像のブレ防止を実現しました。これにより、従来製品の高精度を維持したまま、より自然な手のひらをかざす動作で認証が行えます。
従来機種と比べて温度、外光に対する使用条件を大幅に緩和しました。これにより屋外使用も含む、様々なシーンでの利用が可能です。
項目 | PalmSecure-F Pro(新製品) | PalmSecureセンサーV2(従来製品) | 使用条件 | |
---|---|---|---|---|
温度 | -40℃~+85℃ | 0℃~60℃ | 結露しないこと | |
外光 | 認証時 | 80,000lux以下(注2) | 3,000lux以下 | 直射日光があたらないこと |
登録時 | 5,000lux以下 | 2,000lux以下 | 直射日光があたらないこと |
表1. 「PalmSecureセンサーV2」(従来製品)との比較
本センサーは、手のひらの撮影時に認証に必要な情報だけを高度に抽出する技術を採用することで、本人拒否率0.01%(リトライ1回)、他人受入率0.00001%以下という高い認証精度を実現しています。最大で1万手(両手登録で5000人)のデータから個人を識別することが可能です。この高精度化を実現する技術の一つとして、株式会社富士通研究所(注3)が開発した手のひらの姿勢補正技術(注4)が用いられています。
小型な機器へも組込みが行えるよう、ICカードサイズのコンパクトな装置サイズ(85mm×54mm×20mm)を実現しました。
図2. ICカードサイズの装置サイズ
撮影・登録・認証などの処理は「手のひら静脈認証ボード」上のソフトが行うため、従来必要だったWindowsまたはLinuxの動作環境が不要となり、複合機など組込み系OSを搭載する機器でも使用可能になります。
「手のひら静脈認証ボード」は、ボード上に静脈データを格納するスタンドアロン版に加え、PCログオンソフトウェア「PalmSecure LOGONDIRECTOR」(以下、PLD)と連携可能なサーバ版も提供します。本ボードを使用することで、認証を必要とする組込み機器からもPLDサーバに収集した登録データを利用できるため、様々な機器の認証を手のひら静脈認証に統合できます。
図3. 複合機や入退室装置との接続イメージ
図4. システム構成イメージ
製品名 | 希望小売価格 | 販売時期 |
---|---|---|
PalmSecure-F Pro(注5) | 各国拠点までお問い合わせください | 10月下旬 |
手のひら静脈認証ボード(注6) | 10月下旬 |
富士通グループ全体で、今後5年間で100億円(ハード・ソフト・SIを含む)
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
(注1)静脈テンプレートの互換:
「PalmSecureセンサーV2」で撮影した登録データを、「PalmSecure-F Pro」でも引き続き使用可能です。
(注2)80,000lux以下:
ハイパワーモード(USB3.0ポート接続時)の使用により、外光耐力、手振れ対応力をよりアップさせることができます。
(注3)株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木 繁
(注4)手のひらの姿勢補正技術:
手のひらの複雑な三次元形状を画像の輝度から推定して姿勢補正を行う技術のこと。
(注5)「PalmSecure-F Pro」は認証ソフトウェアを同梱しておりません。
(注6)「手のひら静脈認証ボード」は、日本国内のみの販売を予定しております。また、「PalmSecure-F Pro」にも対応予定ですが 販売開始時点では「PalmSecureセンサーV2」に対応します。
以上
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