カラー電子ペーパーの性能を飛躍的に向上
~従来と比べ「コントラスト比3倍」「書込み速度2倍」を実現~
株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、世界最高水準のカラー画質を有するカラー電子ペーパーを開発しました。
今回、パネル構造と画面の書換え方式を大幅に見直し、明るいカラーの表示と、コントラスト比7:1(従来比3倍)、画面書換え0.7秒(従来比2倍高速化)(注2)の性能を達成しました。これにより、電子ペーパーとして世界最高水準のカラー表示とスムーズな画面切り換えが実現できます。
2010年5月7日 本技術は、5月13日(木曜日)、14日(金曜日)に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催される「富士通フォーラム2010」に参考出展いたします。
【背景】
電子ペーパーは、紙のように薄く軽い特徴を持ち、省電力ながら自由に画面の書換えができる、環境にやさしい電子メディアとして期待されています。これまで、電子書籍端末などでモノクロ電子ペーパーが主流となっている中、富士通研究所では、いち早くカラー電子ペーパーの開発および実用化に取り組み、2007年に富士通フロンテック株式会社(注3)(以下、富士通フロンテック)より世界初のカラー電子ペーパーを搭載した携帯情報端末「FLEPia(フレッピア)」を製品化してまいりました。
今後、紙に変わる媒体として、電子書籍端末や公共の場所での広告などの需要が増えてくる中で、カラー表示が可能な電子ペーパーに期待が寄せられています。
【課題】
電子ペーパーについてはさまざまな研究開発が行われていますが、カラーで明るい表示を実現することや、明るさとコントラスト比を向上させることと書換えを高速化することの両立を図ることが難しく、表示性能についてはさらなる改善が期待されています。
(図2)コレステリック液晶方式カラー電子ペーパーの構造
【技術の概要】
富士通研究所が開発し、富士通フロンテックが製品化したカラー電子ペーパーは、表示メモリ性のあるコレステリック液晶パネルを積層した構造を持ち、コレステリック液晶が特定波長の光(赤、緑、青)を各色の層ごとに反射する特性を利用してカラー表示を実現しています(図2)。一般的な液晶ディスプレイなどで多く用いられている赤緑青のカラーフィルターを用いる方式と比べて、より明るいカラー表示が可能です。
今回開発したカラー電子ペーパーは、世界最高水準のカラー画質を、非常に薄いフィルム基板で実現しています。その特長は以下のとおりです。
1.明るいカラー表示
光をより多く反射できる新規液晶材料の開発と、光のロスを少なくする表示パネルの開口率(有効反射領域)の拡大により、明るさを33%(当社従来比1.3倍)に改善しました。
2.高いコントラスト比
黒表示時の入射光の散乱による余分な反射を抑制するパネル構造の実現により、コントラスト比7:1(当社従来比約3倍)を達成しました。
3.スムーズな画面書換え
駆動制御法を新規に開発したことにより、書込み速度を当社従来比約2倍に高速化しました。高解像度画面(XGA:画素数1,024×768)を0.7秒で書換えできます。
【効果】
明るさとコントラスト比の向上により、さらにきれいで、見やすい表示を可能とします。また、書込み速度の向上により、スムーズな画面切り換えを実現できます。
カラー電子ペーパーの表示性能を大幅に向上できたことから、電子書籍端末などに代表される携帯機器、公共の場所での情報表示や商品広告など、紙のように扱える新しい電子メディアとしての応用範囲を拡大できます。
【今後】
本カラー電子ペーパーは、今秋10月に、富士通フロンテックで製品化の予定です。携帯情報機器、および各種アプリケーションへの応用を進めていきます。
【関連リンク】
- 株式会社富士通研究所
- http://jp.fujitsu.com/group/labs/
- 富士通フロンテック株式会社
- http://www.fujitsu.com/jp/frontech/
- やさしい技術講座
- http://jp.fujitsu.com/group/labs/techinfo/techguide/list/paper.html
- 携帯情報端末FLEPia
- http://www.fujitsu.com/jp/frontech/products/peripheral/others/paper/flepia/
【注釈】
(注1)株式会社富士通研究所:社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
(注2)コントラスト比7:1(従来比3倍)、画面書換え0.7秒(従来比2倍高速化):富士通フロンテックの従来製品と比較。
(注3)富士通フロンテック株式会社:社長 海老原光博、本社 東京都稲城市。
【商標について】
「FLEPia(フレッピア)」は、富士通フロンテックの登録商標です。
その他、記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
日付: 2010年5月7日
会社名:
株式会社富士通研究所,
富士通フロンテック株式会社