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【PRESS RELEASE】

2019年7月30日
大阪工業大学
株式会社富士通総研

Society5.0を牽引するチェンジメーカー育成手法「ReBaLe」が
「情報システム教育コンテスト2018」で最優秀賞を受賞

株式会社富士通総研(以下「富士通総研」)(注1)と大阪工業大学(注2)ロボティクス&デザイン工学部システムデザイン工学科 井上 明教授は、Society5.0時代の変革を担う「チェンジメーカー」人材を育成するための新たな人材育成手法「ReBaLe(レバレ) 」(注3)の共同開発を行い、第11回情報システム教育コンテスト(ISECON2018)で最優秀賞を受賞しました。

ISECONは、情報システムに関する優れた教育実践を評価し、授業実践者にとっての参考例とすることで情報システム教育の一層の発展を図ることを目的として一般社団法人情報処理学会 情報処理教育委員会 情報システム教育委員会が開催しているコンテストです。情報技術や工学知識の「学び」と問題解決のための「創る」をつなぐ本手法が、これからの人材育成の優れた手法のひとつとして評価されました。

Society5.0のこれからの時代では、一人ひとりが「チェンジメーカー」としての役割を担っていくことが求められます。プログラミング教育やSTEAM教育(注4)等の学びが注目される中、よりよい社会を実現するためにテクノロジーを活用し、課題解決にチャレンジする力を育成するため、富士通総研と大阪工業大学では、本手法の幅広い応用を目指して、今後も更なる実践展開を進めていきます。

「ReBaLe」を用いた実践授業の様子
「ReBaLe」を用いた実践授業の様子
ISECON2018での成果報告 (左より富士通総研 橋本・坂倉、大阪工業大学 井上明教授)
ISECON2018での成果報告
(左より富士通総研 橋本・坂倉、大阪工業大学 井上明教授)

取組の背景

AI・ビッグデータやIoT等の情報技術が急速に発展し、社会が大きな変革期にある現在「Society5.0」と呼ばれる超スマート社会が到来するとされています。我が国では、Society5.0時代には、社会の課題とテクノロジーを結び付けて、より豊かな社会の実現のために課題解決に挑戦できる「チェンジメーカー」の存在が不可欠になります。

わが国では、チェンジメーカー育成のためには、『創る』と『学ぶ』が循環する学び方(注5)が必要だとしています。一人ひとりの多様な興味・関心を起点として、課題解決のあるべき姿を思い描く「発想力」「創造力」と、複雑な問題から根本原因を見つけ出す「感性」や確かな「思考力」、そして課題解決を実現するために、新たなシステムやサービスを「デザインし、組み立てる能力」を伸ばしていくことが今以上に必要となっています。(注6)

本取組の特長

Society5.0では時代を牽引していく「チェンジメーカー」を育成していくことが求められています。富士通総研と大阪工業大学では、「チェンジメーカー」を育成するための新たな人材育成手法として「ReBaLe(レバレ)」メソッド(以下「ReBaLe」)の開発を行っています。

「ReBaLe」では、『創る』と『学ぶ』が循環する新たなアクティブ・ラーニング手法として、課題解決に十分となる基礎知識や思考力の習得と、解決を実現するために新たなシステムやサービスのプロトタイプ開発及び社会実装に一体的に取り組むことを可能にしました。

「ReBaLe」による学びは、「学び」を深めるためのリバースデザイン及び「創る」ためのリデザインの2つのフェーズに分かれています。「リバースデザイン」では、身の回りにある既存の社会システム・製品・サービスの中から学習者自身が関心を持つテーマを選び、仕組みの分解とプロトタイピングによる再現を行います。富士通総研の強みである『システム思考』を活かした学習を通じて、社会システム全体を俯瞰しながら、構造的に成り立ちを理解することで、仕組みの要素技術に関する「知識」、論理的に物事を理解する「感性・思考力」、テクノロジーを活用して再現する「発想力・創造力」を養います。

「リデザイン」では、リバースデザイン段階で学んだ仕組みと技術を活かして、新たな課題を解決する社会システムの創造を行います。『システム思考』に加え、大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部の強みとする『デザイン思考』を活かした学習を通じて、社会課題を解決する新たな仕組みの全体像を「デザインし、組み立てる力」を養います。

富士通総研・大阪工業大学の両者の強みを活かした「ReBaLe」における一連の学びでは、知識の獲得とともに、チェンジメーカーに求められる「発想力」「創造力」や「感性」「思考力」や、新たな課題解決を全体として「デザインし、組み立てる力」を一体的に育成することが可能になります。

「ReBaLe」による学びのプロセスと期待される成果

すでに、大阪工業大学ロボティクス&デザイン工学部システムデザイン工学科の授業において、「ReBaLe」を用いた実証授業を展開し、授業前後においてチェンジメーカーに求められる能力に関して自己効力感の向上が確認されています。感性や論理的思考力としての「言語、シンボル、テクストを活用する能力」「知識や情報を活用する能力」、発想力・創造力・デザインし、組み立てる力としての、「テクノロジーを活用する能力」「大局的に行動する能力」について効果が確認されました。

今回の「ReBaLe」の実践結果については、一般社団法人情報処理学会 情報処理教育委員会 情報システム教育委員会が開催している第11回情報システム教育コンテスト(ISECON2018)において、多面的な能力向上が見られた点について評価を頂き、最優秀賞を受賞しています 。

今後の取組予定

Society5.0時代では、従来の文系・理系といった学問分野に限らず、チェンジメーカーとしてテクノロジーを活用して新たな課題解決のできる人材が求められています。そのため、「ReBaLe」も工学系学生だけではなく、文系・理系を問わず幅広い分野へ応用していくことを予定しています。

ISECON2018の審査委員コメントにおいても、「ReBaLe」が、現在のPBLが抱える問題点の解決も視野に入れて実践成果を出している点や、本実践を受講した学生のキーコンピテンシー自己評価から多面的な能力向上が見られた点について評価を頂くとともに、今後「ReBaLe」の実践を支援するツール・教材の整備や工学系学生以外を対象とした実践の展開を期待されています。

今後、大阪工業大学及び富士通総研では、「ReBaLe」の手法を大学生だけでなく、小中学生・高校生向けのプログラミング教育・STEAM教育や社会人教育等の幅広い分野への応用を目指し、実践を展開していく予定です。

富士通総研では富士通グループの一員として、AI・IoT等のICTの急速な進展による第4次産業革命や超スマート社会Society5.0時代に向けて、学校や企業等での「ReBaLe」手法の導入や運用のご支援をすることで、お客様や社会の変革を牽引するチェンジメーカー育成のための人材育成の「場」づくりに取り組んでまいります。

注釈

  • (注1)株式会社富士通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:木脇秀己)
    株式会社富士通総研は、お客様の真の経営革新を実現するために、それぞれの企業の様々なフィールドにある課題に対し、解決策を提案する「コンサルティング」、最新の技法とICTを駆使してコンサルティング・サービスの強化を図る「研究開発」、社会・経済・産業の動向を鳥瞰し、未来に向けた政策提言を行う「経済研究」の3分野を備え、これらのシナジーを最大限に発揮してお客様の課題解決に取り組む、わが国でも数少ないシンクタンク/コンサルティング会社です。
  • (注2)大阪工業大学(大阪市旭区、学長:西村泰志)
    大阪工業大学は、「現場で活躍できる専門職業人の育成」という建学の精神のもと、時代の要請に合わせた教育・研究に邁進しています。工学部、情報科学部、知的財産学部に加え、2017年4月梅田キャンパスにロボティクス&デザイン工学部を開設。イノベーション創出手法である「デザイン思考」を教育の機軸に置き、実社会の課題に挑み、ビジネスを創出するオープンイノベーション拠点「Xport(クロスポート)」を大阪商工会議所と共同運営するなど、新しい大学の姿を示しています。
  • (注3)「ReBaLe(レバレ)」
    「ReBaLe(レバレ)」は、Reverse & Redesign Based‐Learningの略で、学びにレバレッジ(てこ)を効かせることで、社会システムの分解と理解に基づいた小さな学びが、社会を変えるための新たなシステム・サービスを全体としてデザインする力という大きな学習成果につながる本教育手法の特長を表した名称です。「ReBaLe(レバレ)」の名称は現在、商標登録出願中です。
  • (注4)STEAM教育
    STEAM教育はScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(モノづくり)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の5つの領域を重視する教育で、現実の問題解決のための力や新たな価値を生み出す力を育成することを目的としています。
  • (注5)
    経済産業省 第10回「未来の教室」とEdTech研究会『第2次提言(案)の構造』(2019年6月10日)
  • (注6)
    経済産業省 第10回「未来の教室」とEdTech研究会『「未来の教室」とEdTech研究会 第2次提言(討議用素案)』(2019年6月10日)

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