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PRESS RELEASE

2008年11月13日
株式会社富士通総研

貨物ゲートウェイ空港の国内立地のための方策
~アジアの活力を取り込んだ経済成長向上に向けて~

当社は、貨物ゲートウェイ空港の国内立地のための方策についての調査研究を実施しました。これは、わが国の今後の経済成長向上に、アジアの活力をわが国に呼び込む必要性が高く、この面から国際航空貨物分野が注目されるためです。

調査の結果、アジア諸国・地域との競争から、わが国での貨物ゲートウェイ空港の国内立地への時間的猶予は乏しく、早急に対応する必要があることが明らかになりました。また貨物ゲートウェイ空港の国内立地には必要な条件があり、わが国の全空港のうち関西国際空港が唯一すべての条件を満たすと判りました。したがって、貨物ゲートウェイ空港の国内立地には、1. 関西国際空港への貨物ゲートウェイ空港化の施策の集中、2. 関西国際空港株式会社の過重な債務の国費による解消、3. 全面的なオープンスカイ化の推進、4. 貨物ゲートウェイ化のメリット拡大のための税制優遇措置と特区の設置――を早急に実施することが求められます。

調査結果の概要

競争力を失いつつあるわが国の空港

労働力人口減少下でのわが国の今後の経済成長向上には、アジアの活力をわが国に呼び込む必要性が高く、この面で国際航空貨物分野が注目されます。これは日本国内での貨物ゲートウェイ空港の立地は、1. ロジスティクスの大規模なハブ化による日本国内における生産雇用の創出、2. 物流コストの低下、3. 国内産業の空洞化の回避――のメリットがあるためです。シンガポールのようにロジスティクスのハブを重要な要素とする貿易のハブ化を図ることができれば、こうしたメリットは一層大きくすることができます。

しかし貨物取扱量でみて、空港では1995年まで世界のトップにあった成田空港が2007年では3位で、航空会社では2007年にトップ10からわが国企業が消え、わが国の空港、航空会社はともに国際競争力を落としています。その一方で大韓民国、大韓航空の競争力向上が目立ち、両者の戦略には、わが国の国内に貨物ゲートウェイ空港を立地させるために、自由貿易地域・経済自由地域の指定や、競争力のある航空会社の就航の必要性、など学ぶべき点が多くあります。

阪神大震災を契機にゲートウェイ機能を失ったわが国港湾の経験から、ゲートウェイ空港も一度近隣の海外に確立されると、わが国への奪還は難しいとみられ、早急な対処が必要です。

貨物ゲートウェイ空港に必要な条件

貨物ゲートウェイ空港に必要な条件は、以下の6点があげられます。

  1. 完全24時間稼動
  2. 3,500m以上の複数の滑走路を持つこと
  3. 国際線、国内線双方の発着が十分可能なこと
  4. 空港内に荷役のために十分なスペースと施設を備えること
  5. 貨物専用便のために十分な発着枠を保有すること
  6. 以上(1.~5.)の条件を現状で満たしているか早急に満たすことが可能なこと

これらの条件を満たしているかどうかについて、成田国際空港、東京国際(羽田)空港、中部国際空港、関西国際空港のほか、わが国のすべての空港(公共用)で検討すると、6条件を満たすものは、関西国際空港唯一つです。

関西国際空港の貨物ゲートウェイ化の可能性と障害

関西国際空港は、2007年8月の第2滑走路の供用開始により発着枠に大きな余裕が生まれ、特に貨物専用便に好適な深夜、早朝の増便の余地は大きいものがあります。このような関西国際空港が目指すべき貨物ゲートウェイ空港は、貨物集積によるコストダウンの効果を十分に引出すために、アジア-北米、アジア-欧州という基幹航路を含むアジアにおける他の地域への玄関口であるべきです。関西国際空港は、大韓民国の仁川空港など他のアジア諸国・地域の主要空港と比べ空港間距離において、アジア-北米路線では優位性を持ちます。またアジア-欧州路線では、絶対的優位性はないものの、着陸料引き下げや税制優遇、北米向けの貨物集積にともなうコストダウンが実現されれば、他の空港との競争に勝ち残ることは可能とみられます。

ゲートウェイ空港化には、旅客や荷主が利用できる航空便就航が必要なため、まず航空会社に選択される必要があります。この面で関西国際空港の貨物ゲートウェイ空港化への最大の障害は、当初から民活プロジェクトの株式会社として建設、運用を図ったことによる巨額の有利子負債(2008年3月末:連結1兆3,573億円)による高コスト構造(高い着陸料など)です。有利子負債が削減できれば、関西国際空港の高コスト構造は解消されます。また就航する航空会社、便数等を自由化するオープンスカイへの対応の遅れも貨物ゲートウェイ化の障害です。

経済成長向上に向けた貨物ゲートウェイ空港の国内立地のための提言

わが国に貨物ゲートウェイ空港を立地させ、経済成長向上につなげるには以下の措置を取ることが必要です。そしてアジア諸国・地域との熾烈な競争から、これらの措置を取るために残された時間的な猶予は乏しく、早急な対応が望まれます。

1. 関西国際空港への貨物ゲートウェイ空港化の施策の集中
貨物ゲートウェイ空港の国内立地は、国内の各地域が利益を巡り争うレベルの問題ではなく、アジアの活力を呼び込んだ成長へのインフラ確立という国益上の問題です。したがって貨物ゲートウェイ空港化の施策は、必要条件を唯一満たす関西国際空港へ集中することが必要です。

2. 関西国際空港株式会社の過重な債務の国費による解消
貨物ゲートウェイ空港は国の重要なインフラであるため、国費により関西国際空港の高コスト構造を解消すべきです。国費投入は、将来の株式上場で国民負担を軽減または解消できる可能性もあるデット・エクイティ・スワップ(債務の株式への転換)の活用が良いとみられます。

3. 全面的なオープンスカイ化の推進
航空会社が関西国際空港を選択し易くするため、航空会社による機動的な参入、路線変更や増便を可能にするオープンスカイを推進すべきです。またオープンスカイは、貨物集積によるコスト低減のメリットを大きくするため、アジア域内に限らず全面的なものとすべきです。

4. 貨物ゲートウェイ化のメリット拡大のための税制優遇措置と特区の設置
関西国際空港の貨物ゲートウェイ空港化による日本の経済成長を大きくするため、地域統括本部機能を日本に置く企業への税制優遇、大韓民国が仁川空港周辺に設置している自由貿易地域・経済自由地域以上の投資促進措置を行うための構造改革特区の設置も求められます。

以 上

関連資料

「貨物ゲートウェイ空港の国内立地のための方策-アジアの活力を取り込んだ経済成長向上に向けて-」富士通総研 経済研究所『研究レポート』No.331

本件に関するお問い合わせ先

株式会社富士通総研 経済研究所 木村達也
電話03-5401-8392(直通)
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*本資料は国土交通記者会、国土交通省運輸記者会にて配布いたしております。

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