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PRESS RELEASE

2008年10月27日
株式会社富士通総研

 

地方の税配分のあり方に関する調査研究を実施
~地方の自立性を高めるための地方への税配分~

当社は、今後の地方への税配分のあり方に関する調査研究を実施しました。調査の結果、現行の地方交付税額決定の基礎となる基準財政需要額は、行政項目ごとの積算によらなくとも、人口、面積のみでその多くが説明できるという点で、仕組みを簡素化できる余地が大きいことがわかりました。今後は、地方交付税の配分ルールは単純化し、基本は、人口一人当たりの最低限の税収を担保する仕組みとし、これに伴い、基準財政需要額と基準財政収入額の差額を補填するルールは廃止し、自治体が独自に税収を確保するインセンティブをより高める必要があります。地方の税収確保努力を最大化するという考え方を前提とすると、地方が独自税源(地方税)として持つのにふさわしいのは、法人課税と考えられます。

調査結果の概要

地方の税収格差是正論議が活発化

地域間格差の是正や地方分権を進める目的で、地方財源をより一層充実させるべきであるとの議論が活発化している。地方の自立性を高めるためには、地方独自の財源を充実させる必要があり、このための手段としては、現行の消費税5%のうち地方取り分(地方消費税、消費税率5%のうち1%分)を充実させるべきであるとの主張が、かねて地方側などからなされてきた。こうした提案は、都市部に税収が偏在する地方法人2税(法人事業税、法人住民税)と、偏在度合いが低い消費税を、国と地方で税源交換すれば(地方法人2税を国税化する代わりに、国税である消費税の地方の取り分を増やす)、地域間の税収格差が是正できるとの考えでなされる場合が多い。

財政状況が厳しい中、地方法人2税を国税化したとしても、消費税の地方取り分を増やしていくことはそう簡単なことではなく、結局、この議論は消費税増税を含む抜本税制改革時まで先送りされることとなった。しかし、将来的に、国と地方の税財源配分の改正も含む税制の抜本改正を行う場合には、単に地域間の税収格差を是正するに留まらず、今回の景気拡大の過程で大都市から取り残され、経済の停滞が続いた地方が、自らの力で経済を活性化させるインセンティブを持つ税制のあり方はどのようなものか、という視点も重要になると思われる。そもそも、税収の地域間格差の是正については、地方交付税の仕組みによって従来から行われてきており、この問題は、単に地方法人2税と消費税の税源交換を行うことで済む問題ではない。地方交付税の配分ルールも含めて、より幅広い視点から議論する必要がある。

すなわち、この問題について議論する場合には、①地方が独自の財源として持つべきなのはどのような税か(地方税のあり方)、②独自の財源で格差が生じる部分をどのようなルールによって調整するか(地方交付税等の配分)という少なくとも二つの面から、整合性の取れた議論を行う必要がある。

必要な地方交付税の配分ルールの単純化

まず②の問題について考えると、現行の地方交付税の配分ルールは、自治体ごとに、行政項目ごとに基準財政需要額(歳出見積もり)を積算し、これと基準財政収入額(税収見積もり)との差額、つまり不足する部分について、交付する仕組みとなっている。この仕組みの重大な問題点は、基準財政需要の算出の仕方にある。基準財政需要額は、行政項目ごとに単価と数、さらに必要な補正係数を乗じることによって算出されるが、この算出の際に使われている単価が必ずしも実態に合ったものとはなっていない上、補正係数(寒冷地かどうか過疎の度合いなど)が何種類も設けられており、煩雑な仕組みとなっている。しかし複雑な算式で決まっていると思われる基準財政需要額も、計量分析によれば、実は、人口、面積のみでその多くが説明できるとの推計結果を得ることができ、そうした点を反映させれば、仕組みを簡素化できる可能性がある。

今後については、地方交付税の配分ルールは単純化し、基本は、人口一人当たりの最低限の税収を担保する仕組みと位置づけるべきである(例えば、平均レベル以下の自治体に交付。必要に応じ面積による補正も実施)。これに伴い、基準財政需要額と基準財政収入額の差額を補填するというルールは廃止し、自治体が企業誘致、産業活性化により、独自に税収を確保するインセンティブをより高めるべきである。現在のルールでは、自治体が税収努力によって税収を増やしても、増えた分の一定割合(75%)の交付税が削減されるため、その点で税収確保のインセンティブがそがれるものになっている。

地方税の中心に何を据えるべきか

次に、こうした仕組みを前提にして、前述の①の問題、地方が独自の財源として持つべきなのはどのような税か、について検討する。地方の税収確保努力を最大化するという考え方を前提とすると、地方が独自の税源として持つのにふさわしいと考えられるのは、消費課税ではなく、むしろ法人課税と考えられる。ただし、現行の法人課税は、法人税、地方法人2税が何重にも課税される煩雑な仕組みになっている点で問題があり、今後については、これらを整理、一体化し、国と地方の取り分に分け、地方の取り分については、例えば、県民所得などに比例して配分することが考えられる。

以上をまとめると、自治体には、法人課税の地方取り分など独自の財源のみで最低限必要な税収を確保できない場合に、交付税を配分する仕組みとなる。ここで述べた提案は、最初に述べた、地方法人2税と消費税を国と地方で税源交換することで、地域間の税収格差を是正すべきとの最近の多数説とは大きく異なる。国と地方の税財源配分のあり方について、地方が自らの力で経済を活性化させるインセンティブを持つ仕組みはどのようなものかという視点で考えると、また別の制度設計があり得ることを示している。

関連資料

「地方の自立性を高めるための地方への税配分」『研究レポート』No.326

本件に関するお問い合わせ先

株式会社富士通総研 経済研究所 上席主任研究員 米山秀隆
電話03-5401-8392(直通)
E-mail:yoneyama.hide@jp.fujitsu.com

*本資料は総務省記者クラブ、財務省記者クラブ、都道府県記者クラブにて配布いたしております。

報道関係者お問い合わせ先

株式会社富士通総研 管理部(広報担当)
電話:03-5401-8391(直通)