「防災科学リビングラボ」事務局『2021年度活動報告』
防災科学リビングラボとは
防災科学リビングラボは、実際の人々の暮らしや地域の中で、防災科学に基づいた社会実験を重ねるオープンイノベーションの活動です。幅広いステークホルダーとの共創「使える仕組み」とモニター「使い方」の両輪により、災害に関する社会課題・地域ニーズを解決する新しいサービスやイノベーションを生み出すことを目的とします。
【モニター】 地域のインクルーシブ防災(=誰ひとり取り残さない防災)を実現する上でのリスク・課題を、住民・大学・企業・行政との対話を通じて再発見し、課題解決の仕組みの使い方(対応策)を考えます。
【共創】 インクルーシブ防災(=誰ひとり取り残さない防災)を実現するための「使える仕組み」を、住民・大学・企業・行政が協働して作り出します
近年、我が国では大規模な地震や大型台風・豪雨による水害、土砂災害といった災害が多発しています。また、世界的にも、地球温暖化・気候変動等による豪雨・台風・干ばつ等の災害はグローバルな課題となっており、災害に対する強靭さを実現し、世界中の人々が豊かに暮らしていける持続可能な社会を作っていくことがSDGsの1つとして目指されています。
災害時には、高齢者・障がい者・子ども等といった弱い立場に置かれる人々(=要援護者)ほど大きな災害リスクに晒されます。また、健常者であっても、目の前の災害を「自分事」化できずに避難準備・避難開始が遅れてしまう人々、避難所へ移動する途中や自宅で被害に遭われる人々等、災害時における身の安全確保は誰しもに共通する課題となっています。
「防災科学リビングラボ」は、地域内での“誰ひとり取り残さない防災(=インクルーシブな防災)の実現”に向けて、住民・大学・企業・行政の対話と共創を通じて、正しい災害リスクの理解による予防的なアクション検討、適時・的確な避難行動を可能にする仕組みの実現を目指す、協働のための場を目指しています。
【モニター】地域のインクルーシブ防災(=誰ひとり取り残さない防災)を実現する上でのリスク・課題を、住民・大学・企業・行政との対話を通じて再発見し、課題解決の仕組みの使い方(対応策)を考えます 【共創】インクルーシブ防災(=誰ひとり取り残さない防災)を実現するための「使える仕組み」を、住民・大学・企業・行政が協働して作り出します。
住民・利用者にとっての価値
- 住民同士、大学・行政・企業との対話を通じて、自身の住んでいる地域が抱える防災リスク・災害時の課題を再発見することができる ・企業や大学が持つ専門的知見を、自分たちのまちの防災リスク・課題解決に活かし、安心して暮らすためのアクションプランを考えることができる ・「防災」という共通テーマの下、住民同士の対話を行うことで、地域内での新たなつながりを作ることができる ・企業・大学・行政が生み出す新たなサービス・商品を早期に利用することができる
会員自治体・企業にとっての価値
- 住民・大学・行政との対話を通じ、有益な新たな気づきを発見し、住民視点での新たなサービスの開発・創出を行うことができる
- 住民と対話しながら、新たなサービスの早期検証を行うことで社会実装に向けてサービスの有効性・確実性を高めることができる
- 住民との対話を通じた「自助」「共助」のリスク・課題の発見、対応策をアクションにすることで、地域の防災力を向上させることができる
- 住民・大学・企業との協働を通じて生み出した新たなサービス・商品を、社会実装することで地域内の防災課題を解決できる
大学にとっての価値
- 住民・企業・行政との対話を通じて、大学が持つ専門的知見・学術的な研究成果に、住民視点での新たな視点を加えることができる
- 企業・行政との共創を通じて、大学の研究成果を実社会の課題解決に応用し、早期に社会実装することができる
プロジェクト 仙台市片平地区の取組み
仙台市片平地区は、仙台中心部に位置し、青葉通り?広瀬川?東北大学片平キャンパスで囲まれた地区(片平丁小学校区)。約5,000世帯10,000人が住み、ビジネスマンや学生も多く通っている。また、地区内には瑞鳳殿、広瀬川対岸には仙台城址や博物館など仙台を代表する観光資源が集積し、これらには年間延べ約100万人の観光客が訪れている。
地域特性として都市部であること、マンション住宅が多いため一人暮らし世帯が多いことや外国人比率が向上している点が挙げられる。また、高齢者避難についても課題として挙げられており、令和元年東日本台風の豪雨でも避難すべき住民が多数に及んだ例がある中で、災害リスクを「自分事」として認知させ、どのように避難行動につなげることができるのか、といった点が地域課題である。
第1回リスク座談会(令和2年11月7日)
場所:仙台市立片平丁小学校
議事次第
- 開会挨拶
- 東北大学災害科学国際研究所の専門家による講演
- 座談会の進め方
- 座談会①:ハザードマップを用いた地域の災害リスクの把握
- 座談会②:地域課題の抽出と解決方策の検討
- 発表準備
- 発表
- 閉会挨拶
第2回リスク座談会(令和2年12月26日)
場所:仙台市片平市民センター
議事次第
- 開会挨拶
- 東北大学災害科学国際研究所の専門家による講演
- ピンポイントアラートシステム(案)の可能性実験
- 座談会の進め方
- 座談会①:ハザードマップを用いた世帯の災害リスクの把握
- 座談会②:地域課題の抽出と解決方策の検討
- 発表準備
- 発表
- 閉会挨拶
プロジェクト 陸前高田市竹駒地区の取組み
陸前高田市は、岩手県の東南端、三陸海岸の南の玄関口として、大船渡市、住田町、一関市、宮城県気仙沼市に接し、宮城県との県際に位置している。また、北上山地の南端部に位置し、氷上山などをはじめとする山地、豊かな緑や水を育む気仙川注ぐ広田湾、なだらかな斜面や低地が広がっている。
陸前高田市竹駒地区は農村部に位置し、居住地域が気仙川に面し、背後が山間部に挟まれる地形的特徴であることからも、水害や土砂災害のリスクを懸念している。平成23年(2011年)の東日本大震災の際には津波の被害も受けていることから、検討対象とするすべてのハザードを有している。
第1回リスク座談会(令和2年11月1日)
場所:竹駒地区コミュニティセンター
議事次第
- 開会挨拶
- 東北大学災害科学国際研究所の専門家による講演
- 座談会の進め方
- 座談会①:ハザードマップを用いた地域の災害リスクの把握
- 座談会②:地域課題の抽出と解決方策の検討
- 発表準備
- 発表
- その他
- 閉会挨拶
参画プロジェクト
東北大学災害科学国際研究所 | 包括的な災害リスクのプロアクティブアラートに基づくインクルーシブ防災の実現 最後の一人を救うコミュニティアラートシステムのモデル開発および実装 (科学技術振興機構「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」) |
株式会社富士通総研 |
お問合せ先
防災科学リビングラボ事務局