Skip to main content

English

Japan

富士通総研フォーラム1997

『FRIフォーラム97報告』

去る、1997年11月21日(金曜日)13時35分~17時30分、経団連会館におきまして、FRIフォーラム97『顧客リレーションの新潮流 -企業と顧客のWIN-WIN関係の構築を目指して-』を開催いたしました。
本年のFRIフォーラムにおいては、「地球上のすべての人類、動物、植物、そして自然との共生」を企業理念とし、顧客と社会とのコミュニケーションを大切にする「ザ・ボディショップ」を経営するイオンフォレスト社 木全ミツ社長から成功の秘密を語っていただきました。
引き続き、日本から生まれた初めての経営理論として世界から注目を浴びている組織的知識創造理論 の提唱者である野中郁次郎教授には、企業と顧客の共感関係に基づく「顧客知のマーケティング」について考察を行っていただきました。
FRIからは、消費者と企業が継続的な対話を実現するための「リレーション・プロセス」と、企業間で連携した顧客価値の創造を追求する「エンタープライズ・インテグレーション」を提案いたしました。おかげさまで大盛況でした。その内容をご報告いたします。

詳細

「個々人とコミュニティの健全な生活のために~ザ・ボディショップの企業理念~」
株式会社イオンフォレスト 代表取締役社長 木全 ミツ 氏

要旨:
1976年に、アーニタ・ロディックという女性が、「ザ・ボディショップ」を3つの理由をもって創業した。理由の1つは、全世界に存在する700~800の種族が、住んでいる環境に合わせてそれぞれ独自の方法で皮膚、髪の毛の手入れをしている。「これは各々の種族が伝承してきた知恵なんだ」とその知恵に感動したこと。2点目は、人間の活動のために地球がぼろぼろになっていることに対し、個人としても企業としても、環境に責任を持つ生き方をしなければならないと強く自覚したこと。3点目は、化粧品業界への憤り。どうして、化粧品の中身について説明しないのか、ラッピングに凝り無駄に資源を浪費し環境破壊に貢献している、どうにかしなければならないと思ったこと。そして、企業理念として、収益を上げることはもちろんであるが、それと同じくらいの価値観で、環境問題、人権・公民権問題、動物福祉問題の3つについても関心を持ち、企業としての責任を明確にし具体的な行動を通して取り組んでいる。その理念および活動内容についてご説明された。

「顧客知のマーケティング~顧客との知の創造をめざして~」
北陸先端科学技術大学院大学教授
一橋大学イノベーション研究センター教授
カルフォルニア大学経営大学院 知識学名誉教授
野中 郁次郎 氏

「リレーション・プロセス~消費者と企業の双方向コミュニケーションによるBtoCマーケティングの革新~」
FRIコンサルティング事業部 マネジングコンサルタント 臼井 純子

要旨:
「リレーション・プロセス・マネジメント」とは、顧客との関係“場”、リレーション・プロセスの最適化、システム導入を通じて、顧客の持つ「暗黙知」を企業において有用な「形式知」へとスパイラルアップさせ、顧客と企業の“知”の共創により関係性の深耕を図り、顧客をパートナー(協力者)へと昇華していく経営手法である。
REI、ウィリアム・ソノマ、ストリームラインなどの米国先進事例の紹介を通して、顧客データベース、データマイニングなど情報システム構築によるインプリメンテーションと、企業理念、経営戦略・戦術策定など広範な領域に渡る、「リレーション・プロセス・マネジメント」実現のための仕組みづくりを提案した。

「エンタープライズ・インテグレーション ~顧客価値の最大化に向けた企業間関係の構築~」
FRIコンサルティング事業部 シニアコンサルタント 鈴木 徹

要旨:
情報ネットワークの発達やCALS・ECの進展など、近年の情報技術の進歩は、企業間関係のあり方を変えるだけでなく、思わぬ新規参入者の出現や革新的なサービス水準の実現など、競争環境を激変させるパワーを示し始めている。
本発表では、厳しさを増す環境下での企業生き残りのシナリオとして、顧客価値最大化の視点に立ったエンタープライズ・インテグレーション(情報技術をテコにした企業間連携)のコンセプトと実現アプローチを提言した。

関連コンテンツ

「個々人とコミュニティの健全な生活のために~ザ・ボディショップの企業理念~」全文(PDF 32KB)