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FRI コンサルティング最前線(本文)Vol.06 2013

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特集:企業の持続可能な成長を支える「臨機応変な機動性」―不可避な変動に立ち向かう企業の鍵―

“機敏な対応により、企業の新たな価値を創出する”事例

市場の成熟化や国際競争の激化を受け、近年企業には新たにビジネス・サービスを開発し、売上拡大を図ることが必要とされている。そのため、多くの企業で様々なアプローチがなされているものの、実際にアイデアが形となり市場に定着している例は少ない。

そこで、最近注目を浴びているのが、従来の顧客ニーズをもとにした問題解決型の開発や完成後の市場展開ではなく、将来の環境変化にも耐えうる価値創造型のアプローチである。そこで我々が開発したのが、現場観察をもとにしたプロトタイプを実地試験・検証を経て、完成に近付けていく「デザイン思考」や、仮説構築・検証を最小限のコストと短サイクルで繰り返しながらサービス内容と市場ニーズをすり合わせていく「リーンスタートアップ」などの手法を用いた「新規ビジネス創出プログラム」である。本稿では、その内容と顧客における実施事例について述べる。

植田 順(うえた じゅん)、片岡 枝里花(かたおか えりか)、遠藤 大祐(えんどう だいすけ)


コンシューマー向け製品・サービスを取り扱う企業は、商品開発やマーケティング戦略立案のインプットとして、「生活者の商品・サービスに対する評価やニーズを把握したい」というニーズを持っており、ソーシャルメディアからの情報収集とその分析に取り組んでいる。しかし、ソーシャルメディアから分析に有用な情報を収集するには、狙った情報をモレなく、ノイズなく収集し、有用な情報のみに的確に絞り込まなければならず、多大な時間と労力を要する。この課題を解決するために、ソーシャルメディアに書き込まれる表現の特性に着目した。具体的には、情報収集に用いる検索キーワードや絞込み条件を適切に設定することで、ソーシャルメディアから、生活者の行動の実態やその背景にある心理等を素早く、正確に知ることが可能となった。

本稿では、その実現手段として開発したシソーラス辞書・有用表現辞書、および、それらを活用した生活者行動分析とその活用事例を紹介する。

田中 陽樹(たなか ようき)、安藤 美紀(あんどう みき)


センサー、ネットワークの発達やハードウェアの価格低下により、大量のデータを蓄積できるようになり、これらのデータを業務改善・新製品開発に活用しようという取組みが盛んになってきた。製造業では、センサーから出力される多種多様な大量のデータが蓄積されているが、量が膨大、構造が複雑であるがゆえに死蔵しているケースが多い。これらのデータは、製品の品質やコストに関する重要な示唆を与えてくれる可能性があり、うまく活用することにより製品品質の向上や業務効率化などの価値を実現することが求められている。

私達はデータ利活用に関わるコンサルティングの多くの経験を通して、データの処理・加工・分析や活用に関わるノウハウを蓄積してきた。本稿では、医療検査機器製造のA社に対してデータ利活用の実現性検証コンサルティングを実施した事例を通し、私達のノウハウが顧客のデータ利活用を促進して、業務にイノベーションを実現するものであることを示す。

神尾 健一(かみお けんいち)


国内のサーバー市場は全体として低価格化の傾向があり、エンタープライズサーバーの需要は低迷している。このような中、サーバー事業などを手がける国内ベンダーは、ハイエンド機器を中心に早急な対策が必要な状況にある。本稿では、本アプローチにより、お客様のビジネス再生に向けて、売上や市場における定量的な統計データ、製品ベンチマーク、競合ベンダー調査、営業現場ヒアリングなどを通じて、低迷する根本的な要因を浮かび上がらせて特定し、ビジネス環境の的確な把握、必要な具体的アクションの立案、成功に向けたシナリオの策定までの一貫したストーリーにより、再生に向けた活動を支援するコンサルティング・アプローチを紹介する。

中谷 仁久(なかたに ひろひさ)、佐藤 寿彦(さとう としひこ)


業界特有の業務や管理方法を持つ企業に対して、ERPやパッケージを適用するためには、業種・業務の理解に加え、適用対象となるパッケージやERPソリューションの具体的な機能を含めて把握しているコンサルタントが、業務課題解決のためのソリューションの具体的な活用方法を示し、お客様と実現方法やレベルについて具体的に検討する必要がある。

今回取り上げる専門商社業界は、FRIにおいて多数のコンサルティング実績がある。その経験をもとに業界における特殊性に対応するSAPの適用方法をまとめたリファレンスモデルを活用し、企画工程における検討の効率化、内容の具体化を図っている。本稿に示すアプローチを活用いただくことで、短期間での具体的解決方法の策定と早期実現につなげることができると考えている。本稿では、リファレンスモデルを活用した企画工程の進め方およびそのポイント、リファレンスの内容についてご紹介する。

菊地 洋祐(きくち ようすけ)


“環境変化に適応できる、組織・人、プロセスを育む”事例

金融機関(銀行業)においては、構造的な収益性の悪化が課題となっており、その解決のためワークスタイルを抜本的に変える必要性に迫られている。特に訪問営業活動(渉外業務)においては、今までセキュリティの制約等によって抜本的な業務改革が難しい分野であった。しかし近年、端末にデータを残さないセキュリティ技術が実用化され、持ち運びに適したスマートデバイスが普及してきたことによって、そのワークスタイルを変革できる環境が整ってきた。しかし、業務改革を伴わずスマートデバイスを導入しただけでは、本来期待する劇的な生産性向上を達成することは難しい。

そこで本稿では、渉外業務のワークスタイル変革について、変革の考え方を整理し、変革実行のポイントを述べる。また、変革を成功させるために必要な、戦略・業務・システムを俯瞰的に検討していく富士通総研のコンサルティングについて紹介する。

小川 泰幹(おがわ たいき)


近年のICTの進歩、グローバル化の進展等により、多くの企業が企業内情報の取り扱いやコミュニケーションのあり方の見直しを迫られており、ワークスタイル変革が注目されている。しかし、一言で「ワークスタイル変革」と言っても、その定義は各人によって異なる。「変革のイメージを共有できていない」、または「ICTを単純に導入するだけで十分と認識している」状況で取り組み、効果が得られなかったりプロジェクトが頓挫してしまうことも多い。

本稿では、ワークスタイル変革を我々なりに定義した上で、富士通グループ内やお客様支援で得られた知見により考案した、ワークスタイル変革を成功に導く独自アプローチについて述べる。また、このアプローチによって得られた効果やその有効性について、事例を通じて紹介する。

豊田 哲平(とよだ てっぺい)


経営とICT環境が大きく変化する中、現状の情報システム部門のままでは、今後の企業の変化や期待に応えることが難しくなってきているとの指摘がある。情報システム部門は、経営層から企業成長やイノベーション創出への貢献を期待されているが、現状は日々のビジネスに欠かせないオペレーションのシステム維持・運用が最優先であり、ICT投資の大半もこの領域となっている。さらに、イノベーション領域のシステム開発に当たっては、これまでの方法論と異なる上、取り組める人材も不足している。実際、経営層からの要望を認識しつつも、現状を打破できない大手製造業等のIS部門の実態を筆者は見てきた。

しかし、一部ではあるが情報システム部門が変革を起こし、企業におけるイノベーション創出への貢献を実現しているケースも出てきている。本稿では、これらの情報システム部門が、どのように変革へ取り組み、企業におけるイノベーションの創出を実現したのか、文献とインタビューを基に調査・考察してフレームワークを提示するとともに、今後の情報システム部門の変革の取組み方に関する考え方を述べる。

田中 秀樹(たなか ひでき)、柴田 香代子(しばた かよこ)


2011年3月11日に発生した東日本大震災において、住民記録システム等の自治体システムは、激しい揺れや津波により甚大な被害を受けた。その影響から、被災地では情報の喪失やコミュニケーション手段の途絶が発生し、発災後に爆発的に増大した被災住民への対応に大きな支障をきたした。一方、総務省は、各自治体のICT-BCP策定率を上げるため2012年度に「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画策定に関するガイドライン」の見直しを行い、東日本大震災での教訓による初動対応にフォーカスしたガイドラインが新たに提供された。

本稿では、こうした自治体を取り巻く環境を踏まえ、各自治体が短期間で効率よくICT-BCPを策定するための手法について述べる。本手法は、当社が長年蓄積してきたノウハウをベースとしており投資効果の高い対策の抽出や策定後の継続的改善活動を効率化させ、自治体のICTに係る事業継続能力の一助となるものである。

岩崎 慎司(いわさき しんじ)


政府は、日本再興戦略で「ITを活用した21世紀型スキルの修得」をアクションプランに掲げるなど、教育の情報化を重要施策として位置づけている。その推進に向けて実施された小学校における実証事業では、1人1台のタブレットPC・電子黒板・校内無線LAN等のICTを利活用した協働教育が、学びの場でのコミュニケーションの活性化・相互理解の形成や、児童の学習意欲・表現力・理解力の向上等の成果をもたらした。

ただし、この成果を全国に展開するには、ICT環境の導入・運用管理コストの大幅な削減が課題となる。課題解決に向けて、本稿では、自治体・都道府県等の単位で教育クラウドを導入することを提言する。データの統合的管理、教材・アプリ配信、端末環境管理等の機能を有するクラウドの導入により、学校現場の運用管理負荷・コストの軽減や、さらなる学びの質的変革―ユビキタス化・ネットワーク化・スマート化―が期待される。

佐藤 善太(さとう よしたか)


近年、グローバル化が進む中で、日本の企業経営において、「多様性」に価値を置くダイバーシティ経営への重要性が広く認識されている。日本の経済活力を高め、企業の国際競争力を強化するためには、多様な文化を背景に多様な価値観を持つ人材を獲得し、国内人材の活用と併せて、高度な技術や専門的な知識を持った外国人材(高度外国人材)を積極的に活用することが重要になる。

本稿では、日本企業において高度外国人の活用がなぜ必要なのか、高度外国人材を活用するメリットとその課題を踏まえ、高度外国人材を活用するための指針となる「高度外国人材活用のための実践マニュアル」の活用ポイントを紹介する。

狩野 史子(かのう ふみこ)