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コンサルティング事例 [健康維持増進の貢献に向けた新たなビジネスの芽]

健康維持増進の貢献に向けた新たなビジネスの芽

~調剤薬局クオール様での取り組みから~

掲載日:2017年1月13日

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概要

健康分野に注目が集まっている。健康予防、介護関連産業の市場規模10兆円(2020年)という成長目標の中、健康サポート薬局制度なども開始され、生活者接点となる薬局や小売業に健康サービス拠点としての期待が高まっている。

調剤薬局のクオール様では、健康サポート薬局よりさらに高い目標となる、「運動」「栄養(食事)」「メンタルケア」に寄与する寄与するQOL(Quality Of Life)(注1)サポート薬局の取り組みを、富士通の「健康情報管理基盤」を活用して開始された。富士通総研も健康維持増進の社会課題に貢献するべく、今後健康サービス事業へ参入する企業様を支える事業化支援サービスに取り組んでおり、クオール様の取り組みの特徴とともにご紹介させていただく。

課題

健康分野への関心の高まり

健康の維持増進に向けた取り組みが本格化している。健康サポート薬局が制度化され2016年10月より届出が開始された。

健康分野が注目される中、薬局だけでなく、生活者接点チャネルを持つ小売業やサービス業、健康食品など関連する商品を持つメーカーなど、様々な業種で健康をキーにしたビジネス拡大に期待が高まっている。

これまでも医療費削減などの課題に対し、健康維持増進の様々な取り組みが行われてきた。しかし、生活者個々人のモチベーションに依存した取り組みが多く、生活者への継続的な働きかけや健康増進を後押しする取り組みではなかったと言える。このため、事業としての持続性が担保できず、期待したほどの成果が生まれなかった。

こういった本質的課題が改善されなければ、今後の健康サポートの取り組みも単なる制度対応のレベルにとどまってしまう懸念がある。

このような中、持続する可能性のある取り組みも始まっている。今回ご紹介するクオール様では、健康サポート薬局の制度化対応はもちろんのこと、さらに差別化したブランディング施策としてQOLサポート薬局をスタートさせた。

それは、健康をテーマにした様々なセミナーなどのプッシュ型の取り組みや、富士通の「健康情報管理基盤」を活用したデータに基づく健康アドバイス・運動機能の提供などによって地域住民に働きかける取り組みへのチャレンジである。

クオール様でのQOLサポート薬局第1号店である「QOLサポートクオール薬局京王八王子店(以下京王八王子店)」オープンにあたり、富士通総研も業務運用の準備活動を中心に一緒に取り組ませていただいた。

解決策

クオール様の健康分野へのチャレンジ

■ 「QOLサポート」とは

クオール様が掲げる「QOLサポート」機能は、単なる健康サポート薬局としての機能ではない。

制度対応としての健康サポート薬局化はもちろんのことだが、それだけではいずれどこの薬局も対応し始めると差別化要素にはなりにくい。そこでクオール様では、健康維持増進に対して「運動」「栄養(食事)」「メンタルケア」を大きな課題と捉え、この3課題に対するサポート機能を「QOLサポート」と定義し、新たなブランドとして展開を開始した。

■ QOLサポート薬局での健康サポート内容

京王八王子店は、以下のようなサービスを備えている(図1・図2)店舗ではセミナールーム、計測装置、相談コーナーなどを常設しており、

  • セミナールームや出張サービスによる「健康セミナー」の開催
  • セミナールームでの簡易的な「運動」の実施
  • 計測コーナーでのバイタル情報計測と、ICTを活用したデータの蓄積
  • 常駐化した管理栄養士と薬剤師との共同のデータに基づく健康アドバイス

などのサービスを提供している。

計測コーナーでは、血圧・体組成・骨密度などの測定と、簡易血液検査・口腔内細菌数検査などの検査を受けることができる。

また、第2期として、スマートフォン機能を活用し、家庭での血圧等の測定情報、食事などの履歴、服薬・副作用の情報なども記録していただき、時系列データに基づくアドバイスを可能にしている。

今後はさらに睡眠情報に基づくストレスケアなどの機能充実を図り、QOLサポート機能を進化させていく計画である。

図1QOLサポート薬局のサービス内容
図1 QOLサポート薬局のサービス内容

図2 京王八王子店舗での実施イメージ
図2 京王八王子店舗での実施イメージ

■ 地域密着でのプッシュ型のファン作りへ

2016年6月のオープン以降、日々様々なセミナーを開催して健康寄与に努めているが、新たに導入した店頭のデジタルサイネージによる告知に加え、地域住民向けのチラシ配布、自治会夏祭りへの参画・アピールなどにより、徐々に認知度を上げていった。

また、地域の各企業からの多くの見学にも積極対応しており、フィットネスクラブと提携しての出張セミナー・計測サービスなど、ビジネス連携に取り組み始めた。様々なアプローチでの新規会員獲得や口コミによる広がりも出始め、日頃から頼れる薬局として新規固定客(ファン化)につながる成果が出つつある。

成果

■ 取り組みの成果

オープン後数か月のある1か月間で数百人が計測に訪れ、そのうちの半数が処方箋を持たないお客様であった。情報発信の効果もあり、新たな来客につながっている。例えば母子イベントの開催によって、参加者の祖父母が新たに処方箋を持って来店するなど、プッシュ型イベントが口コミによる広がりにもつながっている。

また、新しい取り組みへの社員のモチベーションも高く、社員が提起したアイデアでのイベント企画なども自然発生的に生まれる好循環につながっている。ESの観点でも非常に高い成果が得られている。

■ 開始へのステップと取り組みポイント

このサービスのスタートにあたり、クオール様では店舗改装なども含め、約2か月強の準備期間で開始させることができた。

この短期間で準備できたポイントは以下のとおりである。

  • プロジェクト体制化
    健康サポート機能の推進役として、専任の健康サポート薬局推進室を組織化。営業本部・店舗・ICT部門など関連部門含めプロジェクト体制を確立
  • 富士通ソリューションの試用利用・改修
    まず富士通の健康情報管理基盤(図3)の標準機能そのままを店舗で利用する前提でメンバーが確認。最低限のクオールID連携のみカスタマイズ。その他は2次開発とした。
  • 想定運用課題の抽出・対策検討
    システム試用確認結果などを踏まえ、店舗業務運用・システム利用面の想定課題の抽出・対策検討を実施。
  • 並行した店舗改装等のオープン準備
    セミナールーム、相談コーナーなど、必要な改装と什器類などの手配

富士通総研では特に想定運用課題の抽出・対策検討のタスクをご支援したが、様々な課題に対して、「とにかくやってみよう。始めてから考えよう」という、クオール様のご決断が、早期スタートを実現させることにつながった。

また、準備だけでなく、オープン後の早期提携の広がりなどの、スピード感ある取り組みは、専務のトップダウンでの号令の下、健康サポート薬局推進室の強力な推進力があったことが成功の鍵であったと感じている。

■ 今後の展開に向けて

データの蓄積活用はまだ緒についたところである。今後は蓄積した健康にまつわる情報を多角的に分析し、新しいサービスへの展開や、自治体の取り組みや学会などで広く貢献していくなど、自社のサービスを充実させつつ、自社だけでない取り組みも拡大していく計画を立てている。

図3 富士通の提供する健康情報管理基盤
図3 富士通の提供する健康情報管理基盤

健康サポートの持続的発展につなげるために

今後、健康商材を持つメーカーなども健康データに基づいたアプローチを強化し、さらにAIなどの発展により、専門的な分析に基づくケアを行うような新サービスの立ち上がりも想定される。成長が見込まれる健康関連分野では、健康情報を持ち固定客を持つ企業の魅力は一層増し、情報活用型健康ビジネスで事業が確立できる可能性も高まると考えられる。

しかし、この魅力ある状態になるまでにも、いかに自社でビジネスを維持し情報蓄積を続けていけるかが課題となる。

消費者自身のモチベーションに依存した過去の様々な失敗例と比較すると、クオール様のケースでは、生活者に働きかけるプッシュアプローチが特徴ではあるが、アドバイス人材・推進体制などを自社で揃えられたことも大きな成功要因となっている。今後、健康サポート薬局制度化により継続的な事業対応が必須とされるが、それは人材が豊富な調剤薬局業界のみが取り組めるビジネスかというと、そうではないと考えている。

実際に薬局以外の業態でもビジネス化の芽が出始めている。例えば、ある小売業様では、通常行っている健康商品イベントでの集客の高さに着目し、イベント参加者に対する健康会員化と情報蓄積を行うモデルを提案させていただき、試行的に開始された。この取り組みは、「(1)イベントによる集客・自社商品のプッシュ」⇒「(2)集客相乗効果による店舗販売増」⇒「(3)イベントアプローチの売上効果検証」⇒「(4)サービス品揃え・売場づくり・イベント企画等への反映」という、通常の基本的なビジネスサイクルに「健康データ」の要素を組み込んだだけで、大きなコスト負担なく本業への売上効果創出という主目的を実現し、さらに健康分野での社会貢献という目的も達成している。富士通のICT基盤である「健康情報管理基盤」はほぼそのままでも活用できるソリューションであり、早期に健康サービス開始が可能である。この特徴を生かし、健康情報による消費者アプローチをマーケティングツールの1つとして捉え、富士通総研の持つMD(Merchandising)(注2)分析などの多くのマーケティング事例なども役立てていただくことにより、既存の事業サイクルに健康データを組み込んだ試行型モデルを実現させることができた。

クオール様のケースでも、本業の健康サポート・処方箋調剤薬局の事業サイクルに健康計測情報によるプッシュ型アドバイス活動を組み込んでおり、同じく既存事業に相乗効果を生む取り組みと捉えられる。これらのことから、持続的な健康ビジネスの事業化のためには、本業との相乗効果を生むモデルをいかに作り、効果検証のサイクルを回して行けるかが1つの解決の鍵となると考えられる。

今後も多くの企業様でこのように持続可能な健康サービス事業化を支えていくことで、富士通総研としても健康維持増進分野に貢献していきたいと考えている。

注釈

  • (注1)
    QOL(quality of life) : ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念。健康関連のQOLの評価法は、一般的に患者に聞き取るか、評価者自身が評価する。評価項目は、その文化圏で一般的な汎用評価法と、特定の疾患や病態の患者を対象とした疾患特異的評価法、QOLの構成概念の領域ごとの評価法などがある。
  • (注2)
    MD(Merchandising) : 消費者の欲求・要求に適う商品を適切な数量、適切な価格、適切なタイミング等で提供するための企業活動のこと。商品政策、商品化計画。


  • 本事例中に記載の数値、社名・固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
shimizu

本記事の執筆者

クロスインダストリー事業部
プリンシパルコンサルタント

清水 健介

 

富士通株式会社入社後、流通業でのネットビジネス、営業支援などのシステム開発に従事。2007年 富士通総研出向。現在では商社卸売業を中心に事業マネジメント改革・業務改革の企画から改革実行サポートのコンサルティングを 主に担当。

doumoto

本記事の執筆者

富士通株式会社
産業・流通ビジネスグループ 流通ビジネス本部
小売統括営業部 第二営業部 部長 

堂本 雅一

 

富士通株式会社入社後、富士通営業部門にて小売ビジネス推進を担当。現在では生協・ドラック・薬局業界向け営 業担当部門にて、健康分野のビジネス化の推進も担う。

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