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BCP成功の鍵!人・組織の危機対応力強化の実践

~BCPの実効性を高めるシナリオ非提示型危機対応演習(経済産業省事業)~

概要

BCP成功の鍵は、臨機応変な危機対応力(スキル)の強化

企業が自然災害をはじめとする様々な危機的状況に直面する機会はますます増えてきています。大規模地震や風水害等の自然災害、火災・爆発事故、新型感染症、新興国における情勢不安等、事業活動の縮退や停止を余儀なくされた例は数多くあります。これに対して、企業・自治体等は、事業継続計画(BCP)への取り組みを進めていますが、BCPという文書の策定のみにとどまり、実効性が伴っていない場合が多く見られます。組織の事業継続能力を高めるには3つの要素があります。物理的被害の軽減対策や必要な設備機材を用意しておく「ハード」、危機発生時の役割・ルール・判断基準などを決めておく「ソフト」、人・組織の実戦的な危機対応力を高めておく「スキル」への取り組みです。
3つの視点でバランスよく取り組むことが必要ですが、たとえどのような事前対策を実施し、行動計画を作っていても、いざというときにそれらを使いこなす人が機能しなければ意味がないため、危機対応力(スキル)強化の取り組みこそ最も重要であると言えます。この事例では、危機対応力を効果的に高める取り組みについてご紹介します。

課題

東日本大震災で浮き彫りとなった想定外への対応力の不足

2005年の内閣府ガイドラインの発行以降、企業・自治体等でBCPへの取り組みが進められてきました。多くの企業では、BCPを策定した後に定期的な訓練を実施しています。しかしながら、2011年の東日本大震災ではBCPが有効に機能せず、教育訓練への取り組みに問題があったとの課題も数多く挙げられました。
多くの企業で実施していた訓練では、BCPに書かれた行動マニュアル通りに行動し(多くのケースでは手順を読み上げ)、課題を話し合う形式が取られていました。この形式の訓練は、ある特定の被害想定を前提とした一義的な行動内容の周知徹底になっていることがほとんどです。つまりは、マニュアルで想定している事象以外の未知の状況(想定外)への対応力の脆弱性をはらんでいます。
現実の危機発生時には複雑な因果関係の連鎖により、次々と想定外の事象が発生します。そのような中でも的確に対処するためには、刻一刻と状況が変化する中、臨機応変かつ迅速に判断し、行動できる能力が求められます。しかし、このような危機対応力を養う経験を蓄積する機会は日頃なかなか得られず、また人から人にノウハウを移転することも難しいために、多くの企業では、首都直下地震や南海トラフ地震など様々なリスク環境を認識しながらも、危機対応に強い人材が十分に確保できているとは言えない状況にあります。近年ますますグローバル化とサプライチェーンの高度化が進み、危機対応に求められる役割は一層複雑化してきています。危機という極めて不確実で予測不能な状況下においても、人命の安全を確保し、速やかに事業継続を実現するためには、起きている状況を的確に捉え、最適な判断・行動を実践できる人材を計画的に育成しておくことが重要です。

解決策

経験と気づきの繰り返しによる実戦的な危機対応力の獲得

実戦的な危機対応力を高めるためには、経験学習モデル(【図1】)に基づく「経験と気づき」を重視した訓練アプローチが有効です。経験学習とは、「実際の経験を通し、それを省察することで、より深く学べる」という考え方であり、体系化・汎用化された知識を受動的に習い覚える知識付与型の学習と区別して使われます。今まで多くの企業で実施されてきたBCP訓練の多くは、この知識付与型の側面が強いものであったと言えます。

【図1】経験学習モデル
【図1】経験学習モデル(David A. Kolb)

富士通総研では、東日本大震災以前より、経験学習を重視した実戦的な危機対応力を向上させる訓練手法の開発と実践に取り組んできました。危機時に起こり得るストレスフルな状況を、自分ごととしてリアリティをもって経験し(経験)、その経験から感じた気づきを深く掘り下げ(省察)、そこで得られた教訓や課題を独自の理論として昇華し(概念化)、異なる状況・条件下でも使える応用力を身につける(実践)という4つのプロセスを意識して訓練プログラムを設計します。シナリオのバリエーションを変えながら繰り返しこのような訓練を実施することで、想定外の事態にも臨機応変に対応できる判断力・対応力を養うことができます。
このような富士通総研の知見・ノウハウを活用し、BCPの実効性を高める取り組みの普及・促進に資することを目的として、経済産業省事業「平成24年度我が国製造業のサプライチェーン維持に向けた事業継続体制構築支援事業」を受託・実施しました。本事業では、製造業33社57名の経営層・BCP責任者に対して、大規模地震発生時を想定したロールプレイング形式の危機対応演習を行い、取り組みの有効性評価と普及促進を図りました。

【経験学習に適したシナリオ非提示型訓練】
本演習は、事前に被災シナリオと対応計画が知らされ、そのとおりに進行することを前提とした予定調和なものではなく、参加者がどのような事態が発生するかを事前に知らされない非予定調和形式(ここではシナリオ非提示型と呼びます)の机上演習として実施しました。シナリオ非提示型訓練は経験学習に適した効果的な手段です。実戦に近い緊張感の中での成功と失敗の体験から、強く深い気づきを与えることができます。

【図2】シナリオ非提示型訓練の効果
【図2】シナリオ非提示型訓練の効果

【経験学習の質を高めるリアリティのある演習シナリオと演出】
本演習は、経営層やBCP責任者が危機時に強く求められる次の3つのスキルの強化を狙いとした演習内容としました。

  • 時間経過とともに何が起こるかを具体的に予測・発想できるイマジネーション能力
  • 情報が不足しているとき、あるいは情報が集中しているときにおいて、状況を分析・判断し理解する能力
  • 知識や経験を有機的に結合し、限られた時間の中で最適な判断を行い行動する能力

机上演習ですが、被災状況を伝えるニュース映像や音声等の視覚・聴覚効果も活用しながら臨場感のあるシナリオや演出を用意し、本番さながらの経験と気づきの創出を促しました。

成果

経営層・BCP責任者が実感した高い効果

演習実施後のアンケートでは、参加した経営層・BCP責任者の98%が、「シナリオ非提示型演習が効果的である」と評価し、82%が「自社でも実施したい」と回答しました。

【図3】アンケート結果
【図3】演習実施後のアンケート結果

BCPの実効性を高めるこのような取り組みを広く普及・推進するため、本演習の実施内容は映像化し、経済産業省ホームページにて公開していますので、こちらもご覧ください。

東日本大震災という未曾有の災害から数年が経過し、その間にも様々な災害や事故・トラブルは頻発しており、企業経営者はBCPを重要な経営課題の1つとして取り組みを推進しています。しかし、高い費用の伴う設備投資(ハード)や、組織やビジネス環境の変化に伴って陳腐化する計画(ソフト)の取り組みには限界があるため、いざというときに臨機応変に対応できる人づくり(スキル)こそ、BCPにおいて最も重要な取り組みです。
近年、リスクマネジメントや危機管理分野にとどまらず、産業界においても、環境変化に迅速に適応できるレジリエンスの高い組織・社会の重要性が注目されています。ビジネスを取り巻く外部・内部環境が急激かつ不連続な変化を起こす予測不能な時代の中で、環境の変化に適応できる組織作りの手段としても、このような教育訓練へのニーズは高まっていくものと思われます。

掲載日:2014年1月30日
(ビジネスレジリエンス事業部)


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