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家庭部門のスマートな省エネへの鍵~HEMS普及に欠かせない「効果的で」「無理なく」「続けられる」省エネ・アシスト~

家庭部門のスマートな省エネへの鍵

~HEMS普及に欠かせない「効果的で」「無理なく」「続けられる」省エネ・アシスト~(環境省事業)

家庭内の情報ネットワークと連動してスマートに電力使用を効率化し、節電やCO2削減に役立つHEMS。
環境省事業「平成24年度HEMS制御によるCO2削減効果の調査」をご紹介します。

掲載日:2013年4月26日

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概要

期待される家庭部門の“スマートな省エネ”

我が国における家庭部門のエネルギー消費は、生活の利便性・快適性を追求するライフスタイルの変化や世帯数の増加等、社会構造の変化により著しく増加し、今日では、第一次オイルショック当時の2倍以上のエネルギーが消費されています。とりわけ、エネルギー消費の中でも、家電製品の普及・大型化・多機能化、オール電化住宅の普及拡大等で、家庭内の電力の割合は大幅に増加しています。

こうした中、2013年4月に、電力小売り自由化が閣議決定され、今後、各家庭での電力の使い方については、より一層の工夫が望まれ、“スマートな省エネ”が求められていくことになるでしょう。

こうした家庭の電力消費のスマートな節減を実現するサービスとして、家庭内の情報ネットワークと連動し、電力の使用を効率化し、節電や二酸化炭素排出量の削減にも役立つHEMS(Home Energy Management System:家庭用エネルギー管理システム)が注目されています。

課題

HEMS普及の鍵は「効果的で」「無理なく」「続けられる」こと

HEMSに注目が集まる中、すでに多様なサービスが市場に出回っています。しかし、その多くは、消費電力の可視化、一般的な省エネアドバイスにとどまっているのが現状です。

自らの家庭の電力使用状況が可視化されると、「意外にこんなところの電力消費量が大きかった」「こんな省エネをしたらこんなに下がった」など、最初は注目度も高いのですが、しばらくすると飽きてきてしまいます。また、自分の生活スタイルとは異なる省エネ行動を、意識的に取り続けるのは、負担感が大きいのも事実です。

HEMSが消費電力の可視化、一般的な省エネアドバイスの範囲内にとどまっていては、生活者にとって是非ともあって欲しいサービスとして魅力が感じられ、ずっと付き合っていきたいサービスとして定着するのはなかなか難しいでしょう。

家庭でのスマートな節電を実現するための鍵となるHEMSを普及させるには、省エネ行動を「効果的で」「無理なく」「続けられる」ように、ユーザーをアシストする要素が不可欠だと富士通総研では考えています。

そのためには、例えば、単に可視化されたデータや一般的なアドバイスによってユーザーが行動を決めるだけでなく、先回りして適切な省エネ制御を提案したり、自動的に選択したりする仕組みが望ましいと考えます。効果の高い省エネ制御方法の中から、家庭ごとに異なる電力使用状況、ユーザーの体調などの生理的条件、面倒くさがり屋などのパーソナリティ、朝型・夜型、ペットを飼っているなどの生活スタイル、幼児がいる、受験生がいる、病人や高齢者がいるなどのライフステージ、また、外気温や湿度などの気象条件に応じて、個々のユーザーにとって受容性の高い制御方法をリアルタイムに選択して、実行するといった仕組みです。ここではこれを「アシスト制御」と呼びます。

解決策

アシスト制御の実証:モニター家庭で身体的・精神的受容性、意識・行動の変化、定量的効果を検証

富士通総研では、こうしたアシスト制御の実現性や効果を検証する取り組みの1つとして、環境省事業「平成24年度 HEMS制御によるCO2削減効果の調査」を受託し、実施致しました。

本実証事業は、実際の居住家庭(モニター)で、電力、人感、温度、湿度、照度、睡眠などのセンサーや、遠隔制御のための赤外線リモコン等を設置し、1分ごとのデータを把握できるようにして、ほぼリアルタイムに省エネ制御を行い、その際のユーザーの身体的・精神的受容性、意識・行動の変化、定量的効果を検証したものです。

将来的にはシステムが自動的に適切な制御を選択・実行できることを目指すものですが、現段階では、ユーザーの受容性を踏まえた適切な制御方法について、自動化に至るノウハウの蓄積を行う必要があることから、本事業では、まずは、アシスト制御の制御判断は調査員が人手で行っています。

アシスト制御には、【図表1】のように、リコメンド、選択制御、自動/協調制御と大きく3種類あります。以下に、具体的なアシスト制御の試行例を紹介します。

【図表1】 アシスト制御の種類
リコメンド システムが家庭ごとの電力使用状況や生活スタイル等から適切な省エネ提案を適時に行い、居住者が省エネ行動を実行する。一般的な省エネアドバイスよりも、想定効果を具体的に示すなど、一歩踏み込んだ提案。
選択制御 居住者の意思に基づく制御。システムから送られてくる制御案に対して居住者が実行するか、しないかを、その都度選択し、その判断に基づいてシステムが制御を行う。
自動/協調制御 居住者の受容性を想定した上で、居住者による個別の判断の手間なく、自動的に行う制御。複数家電を組み合わせた協調制御も含む。

アシスト制御のシナリオ例:一家の団らんを演出するピーク制御


【図表2】は、リビングと子供部屋でのエアコン利用をモニタリングしている様子です(縦軸:ワット、横軸:時刻)。16:35頃から両室でエアコンが利用されている状況を検知し、子供に、リビングに移動して皆で一緒に過ごすことを提案しています (リコメンド)

これによりエアコンを両室で使うのではなく、リビングだけの利用にして電力使用量を削減しようとするものです。それとともに、リビングで一緒に過ごすことによって、一家団らんを演出するシナリオです。単に電力使用を抑制するだけでなく、家庭にとってのメリットや受容性も加味して、このようなリコメンドを行っています。実証では、この日が日曜日であり、このシナリオがぴったりでしたし、人感センサーから、子供がリコメンドに従ったことが分かっています。

【図表2】リビングと子供部屋の両室でのエアコン利用の様子

また、子供がリビングに移る際、無人になった子供部屋の照明とエアコンが点けたままになっていることを検知したため、電源をオフにする制御を行います(自動制御)

さらに、リビングに人が増え、温まりやすくなっていると判断し、エアコンの設定温度を少し低め(24℃から20℃)にすることを提案、モニターがYESを選択したのを受けて実行するとともに(選択制御)、低消費電力で体感温度を高く維持するためにサーキュレーターを併用させています(協調制御)

【図表3】は、一連の制御を実施する前後の様子を示しています。

【図表3】 ピーク制御の様子

ピーク制御を行ったのは夕刻であり、炊事機器の使用が予想できました。実際に炊事機器が使用されたときには、すでにエアコンの両室利用を解消していたため、4kWを超えるピークを回避できました。

成果

試算では冬季4か月間で約900円~1,800円の削減効果→さらに生活総合アシストサービスへ

前項で紹介した制御の試行例について、定量的効果を試算してみると、エアコンの両室利用を解消することによる削減効果は、1時間あたり1.44kWhで、1年間のうち冬季の3分の1の期間で暖房機器を使うとし、その期間中、制御の対象となる両室利用状況が1日あたり15分~30分程度発生すると仮定すると、冬季の4か月間で43.8kWh~87.6kWh、金額換算で約900円~1,800円となります。

1つの制御シナリオでこれくらいの効果が見込まれます。他のシナリオと合わせて、毎月の電気料金の1割くらいの経済的効果があると見ています。また、こうしたピーク制御は、契約電力の見直しにもつながります。

さらに、省エネの効果にとどまらず、様々な波及効果も生まれています。例えば、冷蔵庫にモノを詰め込み過ぎないなど、省エネな使い方に取り組むことで、無駄な買い物を控えるようになったり、複数部屋でのエアコン使用をリビングに集約するところから一家の団らんの機会が増したりといった意識・行動の変化が生まれています。また、無人の部屋の消し忘れの制御などは実際に体験してみるとかなり便利さを感じて頂いており、外出時に「消したかな?」を制御できれば安心・安全にもつながります。省エネをきっかけとして生活の仕方が変わる、生活の利便性や安心・安全が向上するといった生活の質(Quality of Life)向上の価値が加わることで、ユーザーにとって快適で質の高い生活を演出する生活総合アシストサービスへの可能性が開けると考えます。

おわりに

今回は試行的に調査員がアシスト制御を行いました。今後、ここで得られた成果を、システムによる自動的な制御へと展開していきたいと考えています。例えば、本事業に一緒に取り組んだ富士通パーソナルビジネス本部のマイクラウド(*)をベースにしたサービスの中で、こうしたノウハウを順次展開していく予定です。

また、今回紹介した家庭向けに限らず、オフィス向けや工場向け、地域における省エネノウハウも保有しております。ご関心をお持ちのお客様がおられましたら、是非お声掛け下さい。

注釈

(*)マイクラウド : PCのコンピューティングパワーを最大限に活かしつつ、クラウドサービスと連携させることで、自宅のPCにある思い出の写真、楽しみにしている録画番組、動画・音楽などのコンテンツなどのデータを、帰省先や外出先からでも、手元のスマホや大画面TVでも思い通りに使えるようにするサービス。また、家庭内の家電機器をネットワーク接続することで家電の遠隔制御にも対応。PCをいつでもベストな状態にしておくサポートサービスも含まれる。

本事例中に記載の数値、社名・固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページ の閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

杉浦淳之介

本記事の執筆者

環境事業部
シニアコンサルタント

杉浦 淳之介

 

1998年富士通総研に入社以来、技術経営、人材マネジメント等のコンサルティング業務に従事。

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