GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. 調査・研究成果 >
  3. 研究レポート >
  4. 2016年 >
  5. ICT による津波避難の最適化 ―社会安全の共創に関する試論―

ICT による津波避難の最適化

─社会安全の共創に関する試論─

上級研究員 上田 遼
2016年11月

要旨

本研究は、津波防災上の最適化に向けた対策の提言を目的として、東日本大震災において被災した宮城県女川町を対象に、マルチ・エージェントモデルを用いた避難シミュレーションを行った。

避難者へのアンケート調査やGISデータ、国勢調査等をもとに、4タイプのエージェントの相互作用からなるマルチ・エージェントモデルを構築した。シミュレーションは大局的に実被害データに対応しており、大局的な妥当性を確認することができた。

避難の早期開始は避難遅れの被災を減少させるが、避難者に安全な避難先は明らかでないため、一定の被害が生じる。そこで、改善策として、スマートフォン端末を避難者全員に持たせ最適避難先を知らせる想定により、被害が軽減されることを示した。

しかしながら全ての人がスマートフォンを所有する、使用することは容易ではない。そこで、近年の技術的潮流から将来技術を予測、提言した。一部の端末保持者が投影機能により避難経路を可視化し、周囲の誘導を行うことで、人流を創発し、少ない端末で効率的な避難誘導ができることを提案した。人間本来の追従という特性と端末の機能を相互に活かしあうことで実現されるHuman Centricな社会技術と考える。

本研究で提案した「単体の投影機能の集合により全体としてマクロな図像を共創し、人の行動を促す、あるいはメッセージを伝える等の機能を生み出す」概念は、災害時だけでなく日常生活においてもさまざまな潜在的利点、可能性を持っていると考えている。そのようなプラットフォームの実現に向けて、今日のIoTの潮流が、光などの抽象的現象をつなぐIoP, Internet of Phenomenaに発展していくものと予想している。そこでは端末機能単体では達成できない機能や「かたち」を共創することが可能となり、そのために人々が参加し、共に体験するプロセスそのものにも価値が生まれることになる。このように、実空間を人々が共創する概念は、既往のVR, ARとは異なる共創の結実としての”ER”(Emergent Reality)と呼ぶべき新たな概念となりうると考えており、それが人々の日常となった世界では災害時にもレジリエントな避難体制が自然的かつ機動的に発揮できると考える。


全文はPDFファイルをご参照ください。
ICT による津波避難の最適化 ―社会安全の共創に関する試論― (3.31 MB )