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グローバル市場開拓におけるインクルーシブビジネスの活用 ―ICT企業のインクルーシブビジネスモデルの構築―

上席主任研究員 生田 孝史、上級研究員 大屋 智浩、上級研究員 加藤 望
2015年4月

要旨

年収3,000ドル未満の低所得者(BOP)層は世界全体で45億人を超え、5兆ドル規模の購買力は新興・途上国市場の消費支出総額の52%を占める。新たな市場開拓のために、BOP層を、購買対象とするだけでなく、包括的にバリューチェーンに取り込みながら継続的な利益を目指すインクルーシブビジネスの構築が注目されている。その際に不可欠な社会課題解決の視点は、既存市場では得られない革新的なビジネスモデルの開発を促すものとなる。新興・途上国で急速に普及が進んでいる情報通信技術(ICT)は、社会課題解決のための技術として高い潜在力が評価されており、様々な分野での活用が期待されている。

世界各地でインクルーシブビジネスの取り組みが進むにつれて、外部障壁や内部障壁の課題分析や、ターゲット市場の特質などの研究が蓄積されつつある。BOP市場をビジネスチャンスと捉える日本企業は増えてきたが、実際にインクルーシブビジネスに取り組んでいる企業はわずかであり、試行錯誤の段階である。国内でICT関連企業を多く含む業種(電機と情報・通信)では、インクルーシブビジネスに積極的な関心を持つ企業が多く、具体的な取り組みの進展も平均以上であるが、ICTを活用した取り組みは限られている。

ICT企業が関与するインクルーシブビジネスのプロジェクトは、(1)既存ビジネスの応用型、(2)啓発→市場創出型、(3)新規事業立ち上げ型、(4)対現地政府のシステム案件開発型の4つのパターンに大別できる。インクルーシブビジネスへの参入には、通常のビジネスとは異なる組織や人的ネットワークに加えて、長期的な戦略との整合性がカギとなる。日系企業が、現地の人材活用に一日の長がある欧米企業と差別化する方策の一つとして、現地で必要な人材を日本国内で長期育成する「丁稚奉公モデル」の検討を提案したい。

バングラディシュの事例では、中長期の販売戦略に整合したプログラムを進めるMicrosoft、重要顧客と密着しながら将来のビジネスチャンスの拡大を目指すHuawei、他国BOP市場向けのR&D拠点として活用するSamsungなど、収益への直結には至らないが、社会課題解決と事業継続性の両立を目指す大手ICT企業の多様な取り組みが見られた。

ICT投資の拡大とモバイル機器の普及が進むなか、社会課題解決に資する新たなビジネスモデルを提案できる市場は拡大している。先行取り組みによる知見を活かしながら、より柔軟な発想による創意工夫が日本企業にも求められる。

全文はPDFファイルをご参照ください。
グローバル市場開拓におけるインクルーシブビジネスの活用 ―ICT企業のインクルーシブビジネスモデルの構築― [1,432 KB]