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太平洋クロマグロ漁獲制限と漁業の持続可能性―壱岐市のケース―

主任研究員 濱崎 博、上級研究員 加藤 望、上席主任研究員 生田 孝史
2014年11月

要旨

国際的な水産物の需給逼迫が懸念される中、日本にとって周辺海域の水産資源の管理による安定供給の確保に向けた取り組みが重要視されている。特に、日本が漁獲量の約8割を消費している太平洋クロマグロの資源量は、減少の一途をたどっており、2012年の親魚資源量は直近(1995年)のピークの約3割まで落ち込んでいる。クロマグロ漁獲尾数の99%が成熟前の未成魚であることから、2015年1月から30kg未満の未成魚の漁獲を半減する資源管理施策が開始されることとなり、その実効性への関心が高まっている。

本研究では、漁獲制限の違いによる6つのシナリオを設定し、個体群モデルを用いて太平洋クロマグロ総資源量(重量)への影響のシミュレーションを行った。現状のペースで漁獲を続けるBAUケースでは、2040年のクロマグロ総資源量が2015年の2%にまで減少してしまうのに対して、シナリオ1(3歳魚以下の未成魚の漁獲半減)では同期間で約1.6倍、シナリオ4(全年齢の漁獲半減)では同じく約3.7倍の総資源量となる結果が得られた。その他のシナリオはいずれも総資源量が減少する結果となった。

近海生マグロの主要産地である長崎県壱岐市を事例として、クロマグロ漁獲金額への影響のシミュレーションを行い、産業連関分析を活用した波及効果を評価することで、資源管理を適切に行うことができれば、漁業就業者の収入が増加し、粗付加価値(地域GDP)の増加や雇用機会の創出をもたらすことが示された。壱岐市の場合、少なくとも未成魚(3歳以下)の漁獲半減(シナリオ1)が必要であり、2040年には壱岐市内の地域GDPが、2015年と比べて1.5億円増加し、35名の漁業就業者の雇用機会拡大が期待できる。さらに中長期の持続的成長を考えた場合、初期の漁獲金額の大きな落ち込みを克服することができれば、全ての年齢のクロマグロの漁獲半減(シナリオ4)が望ましく、2040年には地域GDPが2015年比で2.7億円増、64名の雇用機会拡大が見込まれる。

太平洋クロマグロの資源管理施策の実効性を高めるためには、制度設計の妥当性や有効性を検証しながら、国内での施策の周知徹底と短期的な助成などの検討と実行を進めるとともに、クロマグロを漁獲する関係各国での協調と管理手法の確立が求められる。経済評価手法の活用は、水産資源と地域経済の回復が両立する持続可能な施策の実効性と成果の検証に資するものとなる。

全文はPDFファイルをご参照ください。
太平洋クロマグロ漁獲制限と漁業の持続可能性―壱岐市のケース― [1,709 KB]