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3.11後のデマンド・レスポンスの研究

~日本は電力の需給ひっ迫をいかにして克服したか?~

主任研究員 高橋 洋
2013年7月

要旨

2011年3月11日の東日本大震災以降、原子力発電所の停止などにより、電力の需給ひっ迫が深刻な問題となっている。震災の直後には、東京電力管内で計画停電が実施され、夏には電力使用制限令が発動された。2012年の夏には、原発比率の高い関西電力管内を始めとして各地で節電目標が設定され、需給ひっ迫は全国的な問題となった。しかしながら3.11直後を除けば、大規模な停電は回避され、無理な節電による社会的混乱も起きていない。その最大の要因は、多くの需要家が節電に協力したからだと言われる。この実態を検証することが、本稿の目的である。

戦後最大級の構造的な需給ひっ迫に対して、需要家は消費行動を変化させることで応じた。東電管内では、2011年の夏に平均で2010年比-20.7%ものピークカットを行った。関電管内では、2012年の夏に平均で2010年比-11.9%のピークカットを行った。近年、スマートメーターなどを活用したピークカットについて、デマンド・レスポンス(DR)という言葉が使われるようになったが、これこそまさに、大規模なDRの例ではないだろうか。

DRが実現した背景には、電力会社や政府が、旗振り役として国民的な取り組みを先導したことが挙げられる。毎日「でんき予報」によりひっ迫状況が伝えられる(見える化)と共に、節電方法がまとめられたウェブサイトも開設された。これらを受けて需要家は、照明の間引きやエアコンの温度設定の変更、クールビズや休暇の分散などのワークスタイルの変更、そしてピーク時の生産調整や生産日の休日シフトなどを行った。両者が噛み合い、組織的な対応となったからこそ、需給ひっ迫を克服できたのである。

その一方で、狭義のDRが意味するところの、ピークカットのためのインセンティブの付与や、価格メカニズムの活用など、スマートな手法だったとは言いがたい。一部ではネガワット取引などに着手されたが、十分な実績を挙げることができなかった。特に家庭については、スマートメーターが設置されていないこともあり、スマートなDRとは程遠い環境にある。

今後も当面の間、電力の需給ひっ迫は続くと見られる。原発の再稼動が進むとしても、輸入する燃料費の増大を考えれば、そもそもエネルギー消費を削減し、ピークカットを進めることは、社会的にも経済的にも大きな意義がある。今回の実績の検証や反省を踏まえ、また電力システム改革を実行する中で、よりスマートなDRを推進していくべきであろう。

全文はPDFファイルをご参照ください。
3.11後のデマンド・レスポンスの研究
~日本は電力の需給ひっ迫をいかにして克服したか?~
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