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中国経済の行方とそのソブリンリスク

主席研究員 柯 隆

2011年10月

要旨

  • アメリカのサブプライムローン問題を発端とする金融危機は長期化する様相を呈している。世界でもっとも安全な資産だったはずの米国債の信用格付けが引き下げられたのはそのきっかけだった。
  • 中国経済を考察すれば、その最大の貿易相手国と地域はユーロ圏とアメリカである。金融危機以降、中国経済を取り巻く外部環境は急速に悪化している。中国の国内経済をみると、投資が順調に拡大していることで成長が当面続くものと思われる。
  • 欧米諸国のソブリンリスクや日本の大震災など世界経済を取り巻く不確実性が高まるなかで、中国経済頼みの構図が鮮明になっている。ここで心配されているのは中国経済が減速局面に入ることである。中国経済はインフレが再燃しており、政府は金融引締の強化を示唆しつつも、政策の実施に躊躇している。中国の経済政策の取り方次第で世界経済は大きな影響を受けることになる。
  • 世界経済は中国頼みが強まれば強まるほど、輸出依存の中国経済の運営は苦しくなる。そのなかで、住宅バブルをコントロールする必要がある一方、安易な引き締め政策を実施すれば、景気がハードランディングする恐れがある。この点は中国指導部がもっとも心配している情勢と思われる。
  • 経済成長のスピードをある程度維持できたとしても、問題が残る。それは経済構造の転換と産業構造の高度化の遅れである。中国にとり金融制度を改革する必要があるのは明白である。同時に、国有セクターの民営化も必要不可欠である。
  • 中国経済の持続的な成長を脅かしているのは対外債務と国債の償還リスクではない。ここで心配されているのは、地方政府債務のデフォルトの可能性である。地方政府の隠れ債務はすぐに債務危機に発展しないかもしれないが、デフォルトの潜在リスクが常に存在している。今後、経済政策の動向により地方政府債務のデフォルト問題が急浮上してくる可能性がある。債務問題が危機に発展するのを未然に防ぐために、その内容を明らかにして、地方政府として債務のスリム化に取り組むことが求められている。
  • 2011年から第12次5か年計画が始まり、その柱となるのは、産業構造の高度化と経済構造の転換である。振り返れば、朱鎔基前総理の時代、産業構造は「粗放型」から「集約型」へと転換しなければならないと宣言されたが、10年以上経過しても、産業構造の転換はほとんど実現されていない。
  • 今回の新産業政策の実施を産業構造転換の第一歩として捉えるべきである。ポスト胡錦濤政権において新たな産業構造を構築するために、そのロードマップの提示も求められている。
  • 中国は2012年に政権交替を迎えるが、物価の安定がスムーズな政権委譲にとり不可欠である。また、所得格差も縮小していかなければならない。当面、この2点を中心に政策運営されると予想される。

全文はPDFファイルをご参照ください。

中国経済の行方とそのソブリンリスク [662 KB]