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中国人民元為替問題の中間的総括

主席研究員 柯 隆

2010年6月

要旨

  • 近年、中国経済の高成長を背景に、国際社会では、とりわけ先進国を中心に、人民元為替レートの切り上げを求める動きが盛んになっている。それに対し、中国政府首脳は「外国の圧力に屈して人民元の切り上げを実施しない」と繰り返して強調し、強気の姿勢を崩していない。
  • そもそも通貨の為替レートは、経済学の教科書では、自国通貨と外国通貨との交換比率と解釈されている。恐らく通貨の為替問題を簡単に片付けることができないのは為替レートが貿易の交易条件に影響されるだけでなく、金融市場での取引量が大きいからである。
  • 通貨の切り上げと輸出への影響について明確な因果関係は、理論的にも実際の統計を使っても証明されていない。貿易と外国為替の関連性に関する経済学的な正しい理解は次の通りである。国際貿易黒字の拡大が外貨準備を増価させる原因であり、自国通貨の切り上げ圧力となるのは間違いない。しかし、自国通貨の為替レートを切り上げても国際貿易の不均衡をすぐには是正することができない。
  • 短期的に、人民元を切り上げても、輸出を抑える効果は期待されるほど大きくないはずである。ただし、中長期的にみると、人民元の為替相場が変動するようになれば、輸出企業は為替リスクと切り上げに伴うコストを意識するようになり、産業構造も次第に変化し高度化する。
  • 中国は人民元の国際化を目指しており、そのために、上海や広州などで国際貿易に係る人民元の決済を試験的に行っている。また、近い将来、資本取引の自由化を含む資本市場の対外開放も試みられるだろう。人民元が国際通貨として国際金融市場に登場するのは時間の問題であり、その最初の段階でアジア域内の基軸通貨としての地位を確立することである。そして、第2段階において人民元の国際化が実現される。
  • 人民元が国際化するといってもドルに取って代わって基軸通貨になるほどの力がまだない。予見可能な将来においても、グローバルな金融市場で、複数の基軸通貨が並存し、国際貿易と金融取引の中でこれらの基軸通貨は補完的に機能していくものと思われる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

中国人民元為替問題の中間的総括 [591 KB]