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健康と経済・経営を関連付ける視点(1)

上級研究員 河野 敏鑑

2010年4月

要旨

所得や格差などの個人や集団の経済状態が、個々人の健康に影響を及ぼすことは良く知られている。一方で、歴史を紐解くと、疫病の流行や飢餓が、政権や王朝の行方、文明にまで影響を与えたように、時として健康状態は社会や経済に大きな影響を与えることもあった。

本稿では、職場環境も含めた社会的・経済的要因が健康に影響を与え、また、健康状態が労働損失などの形で生産性にも影響を与えていることを示唆した。さらに、企業は自ら作り出した職場環境を原因とする従業員の健康状態の悪化について、そのコストの一部を負担することは確かであるが、その一部を第三者に転嫁することが可能であることを指摘した。つまり、職場環境や職域での活動は健康状態や医療費などに影響を与える一方で、そのコストは内部化されていないため、健康には外部性があり、公共財的な性格を持つと考えられることを示した。

このような状況が理論的には予測される一方で、残念なことに、職域と健康との関係について分析した実証的な研究は、地域と健康との関係に着目した研究に比べて少ないのが実態である。近年では、いわゆるメタボ対策として、特定健診・特定保健指導が行われており、健康保険組合など、職域ごとにデータを収集する動きが強まっている。このようにして職域をベースとしてデータを収集する枠組みを構築することは、今後、職域における健康増進の取り組みを促す上で、重要である。今後は、収集されたデータを用いて、理論的な解析とは別に、実証的な分析が行われることが、強く期待される。

1 本章の執筆に当たっては、川渕孝一氏(東京医科歯科大学)、藤野善久氏(産業医科大学)から貴重なコメントをいただいた。記して感謝したい。

全文はPDFファイルをご参照ください。

健康と経済・経営を関連付ける視点 [655 KB]