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No.242 : アジアでの市場育成と統合へ向けた取り組みと課題

主席研究員 武石 礼司

2005年10月

要旨

東アジア共同体の設立に向けた検討をすべきだという議論が、盛んに行われるようになってきている 。確かに、地域統合を進め、地域の安全保障に関しても共同で対応できるようになるのであれば、地域内で発生する可能性のある紛争の根を絶つという意味でも望ましい。

東アジア地域がどのような状態にあるかを語るとき、経済が先行して域内での企業内分業、垂直統合から、さらに水平分業へと展開が見られるとの言い方がなされている。企業の国際展開とサポートインダストリーの海外展開が進み、さらに現地サポート産業の育成の面でも成果が出てきており、地ならしは済んだとの見方も出されている。とすると、次は、いよいよEUの取り組みに倣って、地域内の連携強化、地域共同体への移行が図られるべきだと意見も出てくることになる。

ただし、日本政府の方針は、当初は、APEC重視の政策であり、オープン・リージョナリズム(開かれた地域主義)を目指すとするものであった。アジアは、EUおよびNAFTAのような地域主義に組みすることなく、WTO交渉の行方を見守り、貿易自由化の利益を享受し、さらに、サービス、知的所有権に関する交渉の進捗を促すとの方針が唱えられた。

しかし、EUのように地域主義をさらに推し進め通貨統合までたどり着いた地域が出現したことで、世界の中でオープン・リージョナリズムを言い続けることは、むしろアジアの発展にとり決して望ましい方針ではない可能性が出てきた。それは、EUのように自らの地域を通貨統合で固めた後に、自由に他地域と、EUという大きな市場を背景にして交渉を行い、有利な条件と、規模の経済を生かした他地域への企業進出、EUと個別国との直接のFTA締結を行う例が多数出現するに至ったからである 。

こうして、遅ればせながら日本も、マルチからバイへという言い方をして、FTA推進に同調する戦略を採用することになった。ただし、ここでは、FTAよりもさらに進んだ形の環境・労働といった面も含んだEPAを推進するとの方針が打ち出されることになった。日本が最初に締結したEPAは、シンガポールとの間で2002年11月に結ばれた。

本稿では、以上のようなEPA重視の日本の政策のスピードを上回って、世界中で関税同盟、通貨統合という地域統合に向けた動きが強まっており、再度日本が方針転換を促されるに違いないと思われる状況が出てきている点を指摘する。

また、日本の農業問題への取り組み状況を分析するとともに、日本のマスコミにあまり取り上げられないものの、実はWTO交渉上も、また日本の農業者の間でも、農業をWTO交渉の俎上に上げ、交渉していく準備が日本の中では整いつつある点を指摘する。WTOの農業交渉においては、日本が従来行ってきたコメの例外化を目指した主張は通じないことが明白となっており、それだけになお更、近い将来、日本政府の方針転換が極めて明確な形で打ち出されざるを得ない客観的な条件が出来上がっていることを指摘する。日本の農業者の中には、既にこうした事実を理解する人々が多くおり、マスコミが何も言わない前に、着々と準備を進めているという状況がある 。

全文はPDFファイルをご参照ください。

アジアでの市場育成と統合へ向けた取り組みと課題 [667 KB]