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No.204 : 環境保全型農産物の流通からみた地域のサステナビリティ

主任研究員 生田 孝史

2004年8月

要旨

  1. 経済、環境、社会のそれぞれの面で持続可能(サステナブル)な社会の構築が21世紀の課題であるが、特に農山村の持続可能性(サステナビリティ)の問題は深刻である。安全・安心で環境負荷が少ない高付加価値農産物の国内供給体制の構築が、農山村地域の活性化と国土の保全につながる。地域のサステナビリティ向上の担い手として、需要家と地域資源を結びつける企業の役割が注目されている。
  2. 我が国の青果物供給は、国内生産が減少する一方で、輸入が増加傾向にある。流通面では卸売市場を経由しない市場外流通が拡大し、量販店の影響力が強くなっている。環境保全型の青果物の供給量は国内生産の2割強であるが、基準が厳格な有機青果物の供給量は国内生産の1%に満たず、市場外流通が主流となっており、通常栽培品との価格プレミアムも有機栽培品は主要野菜平均で50%強と最も高くなっている。
  3. 量販店におけるサステナブル経営への取り組みは進んでいる。大手量販店の約半数が、環境保全型農産物のプライベートブランド(PB)戦略を採用し、高付加価値商品としてのアピールを図り、商品構成上のシェアを拡大する方針をとっている。PBを維持するために、契約生産者との間に独自の品質管理基準を設けるほか、消費者への生産情報開示の努力を行う量販店も多い。しかしながら、自治体や産地・生産者などによる多様なブランドが混在しているため、消費者の混乱を招くばかりか量販店のPB戦略の有効性が損なわれる恐れがある。また、販売量を増やすための国内での供給先の確保も容易ではなく、特に有機農産物は輸入に頼らざるを得ない状況となっている。
  4. PB戦略に代表される量販店の環境保全型農産物の流通販売戦略は、消費者への対応やサステナブルな事業戦略の遂行、あるいは食育活動の推進という点では評価できるものの、国内供給力不足に起因した国内優良生産者の囲い込みや海外調達などの活動は、地域のサステナビリティを損なうことにつながりかねない。環境保全型農産物の供給力不足問題を解消し、地域のサステナビリティの向上を図るためには、森林生態系単位での環境保全型農業の転換が必要であり、政策的な支援が欠かせない。特に兼業・零細農家を中心とした農地の集約については行政が主体的な役割を担い、大規模農業経営の実施にあたっては、民間主導の活動を促進するような補助的な役割が期待される。農産物の生産・流通・販売の地域のサステナビリティへの寄与度を評価する仕組みも検討すべきである。量販店にはマーケットリーダーとして、地域主体の環境保全型農産物を普及させる枠組みづくりに積極的に関与することが期待される。

全文はPDFファイルをご参照ください。

環境保全型農産物の流通からみた地域のサステナビリティ [424 KB]