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  5. DB活用による中小企業金融の進化

No.194 : DB活用による中小企業金融の進化

主席研究員 田邉 敏憲

2004年3月

要旨

  1. わが国金融の問題点を一言でいえば、貸出債権などの時価評価機能の不在、すなわち特に中小企業向け融資などにおいてクレジットプライシング機能が働いていなかったことにある。この問題点が、バブル崩壊後10数年にわたるわが国の不良債権処理過程、あるいは中小企業金融の機能不全を通じて、次第に明確に認識されるようになってきた。
  2. このクレジットプライシング機能の定着には、中小企業向け貸出債権などの小口かつ大量情報を安価に処理できるインフラが整って初めて可能となる。極力オールジャパンベースでの膨大な中小企業信用情報データベース、クレジットプライシング・モデル、インターネット利用の金融取引に不可欠な財務諸表の標準化などである。
  3. 幸いにデータベースに関しては、民間の各種企業信用情報データベースの充実に加え、世界に冠たる大量のデータ量を有する「中小企業信用リスク情報データベース(CRD)」が出現した。CRDは、既に全国の中小企業法人165万社のうち2/3をカバーする100万社以上のデータを蓄積しており、数多くのデフォルト事例も備えている。本CRDデータにより精度の高いデフォルト確率の予測・推計が可能なことが日銀や統計数理専門家によって確認されている。さらにクレジットプライシング専門家は、これまで困難であった中小企業向け融資などの理論的信用リスクプレミアムの算出も可能として、その有用性を高く評価するに至った。
  4. また、こうしたデータベースを利用して、金融機関(CLO等仕組み債のアレンジャーも含む)や投資家など関係プレーヤーが判断可能なように情報加工するクレジットプライシング・モデル提供会社もかなり厚みを増している。
  5. 加えて、財務諸表の標準化、すなわちXBRL(「ビジネスレポート用国際標準電子言語」の略称)の導入も進みつつある。とりわけ、XBRLの世界大会が2002年11月に東京で開催されたことも大きな契機となった。まず東京証券取引所が「決算短信」のハイライト情報への適用を始めた。国税庁も2004年からの電子納税に際しての添付書面(財務諸表)へのXBRL導入を決定し、日銀は金融機関からの徴求報告書へのXBRL導入の検討を開始した。このようにわが国では、公的機関を含めて急速にXBRL導入機運が強まっている。
  6. もともと日本はフランスに次いで世界で最も中小企業財務データ数・精度において優れていたが、XBRLの導入でこの強みが活かせることになっている。世界的にみて、中小企業金融分野を、このようにいわば"科学的にモニター"できるインフラがITを含めて整っている国はないのである。
  7. このような日本の強みを踏まえると、図らずも世界に冠たる中小企業信用情報データベースとなった「CRDデータベース」、「XBRL導入」、「クレジットプライシング機能向上」とが三位一体となることで、日本の金融は一気に世界最先端に踊り出る可能性が見えてくる。
  8. こうした三位一体型の新しい電子ファイナンス市場の実現に向けて、「融資オークション市場(Loan Auction Board<LAB>)」構想を提案したい。本構想を支持する経済産業省では、「金融システム化研究会」をスタートさせ、その実現に向けた法律やルール面などでの課題を整理・検討中である。
  9. こうした電子ファイナンス市場の拡大に向けた、市場インフラの整備、あるいは市場プレーヤー育成のためのインセンティブ付与等により、わが国の中小企業金融が大きく進化することが期待される。

全文はPDFファイルをご参照ください。

DB活用による中小企業金融の進化 [6.07 MB]