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No.183 : 中国企業の技術力に関する一考察

主任研究員 金 堅敏

2004年1月

要旨

  1. 1990年代を通じて、中国製品の輸出量は急拡大し、輸出製品の構成も一次産品から機械・電機製品へ大きくシフトした。中国の輸出量や輸出製品の変化から見られる中国の産業のダイナミズムは、基本的には量的な拡大に止まり、付加価値率は低い。中国産業の低付加価値現象は、内外資企業を問わず確認できる。中国製造業の低付加価値率は非効率な経済制度や企業システムによって生じている側面もあるが、本質的には貧弱な技術革新の結果であると考えられる。
  2. 国連開発計画は、技術創造、新技術の普及、旧来技術の普及、技能能力の四つの側面に焦点を当てて中国を含め各国の技術革新能力を評価したが、中国は新技術を吸収して新規産業を育成する点しか評価されなかった。確かに、中国国内では、排他的な権利が与えられる特許(発明、実用新案、意匠を含む)登録件数の70%は外国によるものであり、最大市場である米国への登録数は日本の約2%しかなかった。また、中国企業現場技術力に対する日系企業の評価も東南アジア諸国と同程度のものしかなかった。
  3. 実際、中国の技術力の低さは、コピー製品の「氾濫」に現われ、欧米税関で多くの中国製品が差し押さえられたことからも証明されている。中国には、1.技術開発投資に対するプライオリティの低さ(「箱物」重視の体質)、2.国有部門主導のイノベーションシステム、3.知的財産権保護意識の弱さや技術開発のサポーティング基盤の未整備等の問題が、長期にわたって存在している。これらの構造的な問題が技術力の弱さをきたしていると考えられる。
  4. WTO加盟後、中国は、多国籍企業による知的財産戦略により、諸外国との知財紛争も多発し、知的財産権保護の強化が国内外から突きつけられている。中国では、ここへきて、技術力の弱さを克服するため、1.研究リソースの拡充、2.研究成果の「知財化」・「産業化」、3.知財侵害への取締まり強化、と言った知的財産権戦略が動き出した。一部の中国企業も、1.技術開発投資の拡大、2.技術導入の加速、3.内外人材活用への重視等で技術志向型企業への脱皮を図っている。
  5. しかし、中国の技術力の将来性については、技術連続性がなく技術の蓄積もあまりいらないバイオやソフト等の技術開発に、個別的に突破する可能性があっても、効率的なイノベーションシステムに裏付けられた技術創造の全面開花は難しいと考えられる。このような展望を踏まえて、日本への示唆を考えると、1.中国のR&D人材やR&D開発組織の活用、2.技術管理を強化した上での対中技術経営の展開、3.中国で生まれた新技術や新発見の日本での事業化の奨励等が挙げられる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

中国企業の技術力に関する一考察 [146 KB]