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No.97 : 新たな"厚生指標"作成の試み

主任研究員 長島 直樹 / 上級研究員 新堂 精士

2000年12月

要旨

  1. 政策論議のベースとして経済・社会厚生の変化に対する評価・展望が欠かせない。このためには厚生レベルの数値化が必要になる。しかし、1人当たりGDPなど国民所得統計では"厚生指標"として不十分と言わざるを得ない。だが現状ではこれを代替するような指標は見当たらない。
  2. 経済・社会厚生は複数の要素から成り立っていると考えるのが自然である。経済理論から厚生を考える際、人々の富や所得に着目する「富裕アプローチ」、効用(満足)を重視する「効用アプローチ」、効用・成果の実現可能性を考える「潜在能力アプローチ」がある。こうした諸理論に基き、本稿では厚生と深い関連のある18の経済・社会統計を選定することとした。
  3. これら18の統計指標に対して因子分析を行なうと、「潜在能力」、「効率」、「活力(技術進歩)」という3つの共通因子が厚生の評価軸として抽出される。第一因子(最も寄与率の大きな因子)である「潜在能力」は所得・資産・時間・情報・安全を集約した評価軸と解釈することができ、結果として「潜在能力アプローチ」に近い立場で社会厚生を説明することになった。
  4. 上記の3因子から"厚生指標"を作成すると、90年をピークに厚生レベルが減退していることが分かる。「効率」、「活力」がともに下落、低迷していることに加え、「潜在能力」の伸びが鈍化しているためだ。この間、1人当たりGDPが約1割増加しているにもかかわらず、厚生の動きは「失われた10年」の実相を裏付ける結果が得られる。
  5. 厚生経済学では厚生の評価軸として「効率性」と「衡平性」を重視する。しかし、本稿で試作した「厚生指標」は、「衡平性」の要素が欠けていることに加え、特に将来の「効率性」を規定する上で重要なインセンティブ・コンパティビリティー(誘因整合性)を考慮できていない。データの制約もあるが、これらは今後の課題としたい。

全文はPDFファイルをご参照ください。

新たな"厚生指標"作成の試み [117 KB]