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  5. 財政再建に向けての視点

No.92 : 財政再建に向けての視点

客員研究員(立命館大学助教授) 岸 道雄

2000年9月

要旨

  1. 我が国の財政は危機的状況にある。98年11月に続いて、2000年9月に米格付会社ムーディーズが日本国債の格下げ(Aa1→Aa2)を発表した。大蔵省によると平成12年度末の国と地方を合わせた長期債務残高は、約645兆円、名目GDP比129.3%の見込みとなっており、先進国において最悪の状況となっている。このまま何ら財政赤字削減策がとられない場合、2008年度には、債務残高のGDP比は約194%とに達し、債務残高のGDP比を一定にするための財政調整規模は約9%となる。
  2. 「財政再建」とは、狭義には「一般政府(国・地方)の債務残高がGDP比で一定となるように、純利払い費を除いたプライマリー収支の黒字を実現し、その後、この債務残高のGDP比を一定の目標値まで引き下げる(財政赤字の量的縮減とそれによる債務残高のGDP比の定常化、引き下げ)」ことと定義し、広義には、狭義に加えてさらに「行政の範囲、各支出項目、既得権益の温存となっている制度全体について見直すと共に、長期的な視点から効率的かつ効果的な資源配分を可能とする財政管理システムを構築すること」とする。
  3. 論文サーベイによると、(1)比例代表制は、連立政権を誕生させ易い、連立政権は財政赤字を拡大させる傾向があり、また財政赤字削減が難しい、(2)連立政権の場合は政府内交渉による数値目標が有効、(3)予算編成におけるすべての段階(政府、議会、執行)を網羅する支出削減規定が必要、すなわち、ある段階で抜け道を作ると、その規定は実効性を失う、(4)予算の透明性は重要、(5)財政赤字削減策の成功の可能性が高いのは、少なくとも約3分の2が支出削減による、などの示唆が得られる。
  4. 米国、カナダの財政再建策から参考となるのは、支出目標値を設定するだけでなく、1年度間を通じてその目標値が守られる仕組みが重要であり、支出削減を行うにしても一律削減ではなく、プログラム・レビュー(歳出の徹底的見直し)を実施することが望ましい。
  5. 財政再建には、(1)量的縮減目標とその達成のために実効性のある仕組みの設定、(2)赤字削減における支出削減のあり方、そして中長期的な財政の健全性を確保するために、(3)政府への財政規律の与え方、(4)会計情報、業績評価を予算編成に活かす制度設計、(5)民意の反映の改善という意味での1票の格差の是正、(6)官民役割分担の見直しを進める上での公務員制度改革、という6つの視点が重要である。

全文はPDFファイルをご参照ください。

財政再建に向けての視点 [166 KB]