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  5. 東アジアの金融再建と銀行経営の健全化

No.85 : 東アジアの金融再建と銀行経営の健全化

主任研究員 村上 美智子

2000年7月

要旨

  1. 東アジアでは、90年代に入ると、グローバリゼーションへの対応や国内金融市場の効率化を目的に、80年代に着手された金融自由化が加速された。こうした金融改革は、各国の金融機関の経営に大きな影響を与えた。韓国では、金利自由化に加え、為替・資本取引の自由化に伴う調達・運用手段の多様化が金融機関の経営構造を変化させたが、短期対外借入が拡大する一方、内外で長期運用が行われたことから、外貨建て資産・負債のマチュリティーのミスマッチが拡大した。マレーシアでは、地場銀行の合併・再編の推進を目的とした政策が各行の自己資本の増強を促し、過度な拡大戦略から資産内容が悪化する結果となった。タイの商業銀行では、経営の自由度や業務分野の拡大から業務の多様化が進んだが、資本取引の自由化を受けて次第に対外借入への依存度が高まる一方、不動産部門やノンバンク向け融資が拡大し、伝統的な融資業務への回帰がみられるなかで、外貨建て資産・負債のミスマッチが拡大し、脆弱化が進んだ。
  2. 個別の銀行が受けた危機の影響は、危機前の経営行動によって異なっている。韓国では、景気減速に伴う過剰投資の顕在化やノンバンクの経営破綻に伴うキャッシュフローの悪化を背景とする財閥の経営悪化が銀行危機の原因となり、伝統的に財閥への資金供給に中心的な役割を果たしてきた大手行が経営破綻に陥る一方、歴史的な経緯もありニッチ市場の開拓を進めてきた銀行では、危機の影響は軽微にとどまった。大手行で経営悪化が深刻化した根本的な原因は、自由化後も暗黙の政府の介入が存続し、リスク管理の強化や収益性の向上といったインセンティブが働きにくかったことにある。一方、マレーシアでは国有銀行や企業グループが新規に参入した銀行などで不良債権の拡大が顕著であった。が、このうち、後者は買収後の急成長期にあり、積極的な拡大戦略がとられていたが、所有構造や経営形態の後進性といった問題があった。また、マレーシアの小規模行やタイの中・小規模行も危機の影響を強く受けたが、こうした機関では、経済規模の急速な拡大や競争圧力の高まりが生じるなかで、資金力や情報生産能力の弱さから、不動産融資が拡大し、景気変動に対する脆弱性が高まっていた。
  3. 危機後の金融再建は、(1)経営破綻機関の退出、(2)存続可能機関の経営強化、(3)一元的あるいは各機関ごとの不良債権の管理、(4)企業債務のリストラの推進—を柱に進められ、これまでのところ、おおむね着実な成果となって結実しつつある。また、プルーデンス規制の拡充を通じて金融機関の経営の健全性を確保するとともに、会計制度や情報開示の整備・拡充によって金融機関の経営に市場規律を働かせることが目指されている。地場銀行の再生については、情報生産能力の向上を図るとともに、経営の非独立性・前近代性といった根本的な課題を克服するために、とりわけ、(1)企業の情報開示の拡充、(2)銀行の資本力の増強、(3)外資系金融機関との提携—が重要である。さらに、金融仲介に市場メカニズムを働かせる上で、今後は、危機の過程で裁量性が高まった規制・監督の手法をルール型へシフトさせ、民間機関の自主的な経営努力を促すことや、資本市場の育成によって各種金融機関や市場の間で健全な競争を高めることが必要である。

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東アジアの金融再建と銀行経営の健全化 [97.1 KB]