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  5. 過剰設備・過剰雇用問題の再考 —問題の本質は何だったのか

No.74 : 過剰設備・過剰雇用問題の再考

—問題の本質は何だったのか

主任研究員 米山 秀隆

2000年4月

要旨

  1. 過剰設備、過剰雇用に関する議論は、99年に入ってから大きく盛り上がり、これらを解消しない限り、景気の回復も望めないとの論調が支配的となった。このうち過剰設備の解消については、産業再生法により、設備廃棄を行う場合の税制上の優遇措置が用意された。しかし、当時の議論は、過剰設備の発生要因(構造要因か景気循環要因か)、資本ストック統計の問題点などについて十分な吟味が行われなかったため、結果として議論がミスリードされた可能性がある。
  2. まず、統計上の問題であるが、通常、日本の資本係数(グロスの資本係数)は、アメリカなど諸外国に比べて高いとされる。しかしグロスベースでは、資本ストックの価値が正しく評価されていないという問題がある。資本ストックの価値をより正しく表していると考えられるネットの資本係数をみると、日米差はほとんどなくなる。経済全体として膨大な過剰設備を抱えているという当時の認識は、必ずしも正しいものであったとはいえない。また、過剰設備を抱える業種でも、景気循環的な要因によって、過剰設備が一時的に発生している場合が少なくなかった。
  3. 構造的な過剰設備を抱えている業界でも、設備廃棄に関わる税制上の優遇措置を使う例はほとんどなく、産業再生法の当初のねらいははずれている。税制上の優遇措置は、あくまでも1社だけの枠内で、過剰供給能力の解消を促進することを意図したものである。しかし、過剰供給能力を抱える業界では、もはや1社だけの過剰供給能力の解消では不十分なため、複数企業ないし業界全体で生産を統合・集約させる方向で、過剰供給能力を解消しようとしている。
  4. 一方、過剰雇用の問題は、労働分配率の高止まりに端的に表れているが、これを低下させるためには、人材価値の再評価を進めていく必要がある。過剰雇用の問題は、人員が過剰という問題のほかに、労働生産性以上に賃金を払いすぎているという問題が大きいと考えられるからである。すでに年俸制の導入などにより、職務に見合った賃金に調整する動き(賃下げを含む)が進んでいるが、その行き着く先は、市場価値に基づいた賃金体系ということになる。また、雇用の流動化が進めば、他社への移動(転職、買収に伴う他社への移籍など)によっても人材価値の再評価が行われる。社内外で人材価値の再評価が進められることを通じ、経済全体としての過剰雇用が解消されていくことになると考えられる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

過剰設備・過剰雇用問題の再考 —問題の本質は何だったのか [74.9 KB]