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  5. 技術革新・グローバル化の中での所得分配 —賃金格差変動を中心に

No.72 : 技術革新・グローバル化の中での所得分配

—賃金格差変動を中心に

FRI経済研究所/日本経済研究センター

2000年4月

要旨

  1. 1980年代から、アメリカでは賃金不平等化が生じ、ヨーロッパでは賃金の不平等は進まなかったが失業率が増大した。これに対して、日本では1990年代の不況で失業率が上昇したが、なおヨーロッパ諸国よりも低く、賃金の不平等化もみられなかった。アメリカの賃金不平等化の要因として、技術革新やグローバリゼーションが指摘されることが多いが、日本では、このような賃金不平等化の要因は作用しなかったのだろうか。
  2. 日本経済においても、賃金を不平等化させる要因は作用していた。大卒者比率の高い産業、労働生産性上昇率の高い産業では賃金の分散が大きく、産業構造のシフトが分散を高める可能性があることを示している。また、産業別にみて賃金の学歴格差と分散との正の相関が、最近かなり強まっている。賃金制度は属人給のウエイトが低下し、仕事給のウエイトが上昇しているが、モデル賃金による分析からは、学歴格差の拡大は、仕事給における格差の拡大によるところが大きい。技術変化も、技術進歩バイアスにより学歴格差を拡大する力が働いていた。
  3. しかし、学歴格差や分散拡大を相殺する要因も存在した。まず、労働供給面での高学歴化が学歴格差を相殺し、高齢化により年齢格差が縮小した。一般に高齢者間の所得分散は大きいので、高齢化は分散を拡大する。しかし、その一方で高齢者の増加は、需給関係や賃金制度の改革を通じてその相対賃金を低下させ、賃金格差を縮小する。また、賃金制度において「仕事の内容」が重視されると年齢格差は縮小することになる。男女賃金格差も縮小し、規制緩和等で産業別賃金プレミアムの格差が縮小した。この他に、技術バイアスの影響の程度が、日本ではこれまで強くなかったことも、不平等を回避してきた理由である。
  4. 将来は、次1.~3.のような格差拡大する要因がある一方、4.~6.のような縮小要因も存在する。
    1. 今後の技術革新の進展で技術進歩バイアスが強まる恐れがある
    2. 高学歴化の効果は2010年頃で一巡する
    3. 賃金の分散の大きい高齢者の比率が拡大する
    4. 高齢化の過程で年齢格差縮小はなお継続する
    5. 社会的要因をも加えると男女格差はさらに縮小する
    6. 労働の流動性が高まることが賃金プレミアムを減らす

全文はPDFファイルをご参照ください。

技術革新・グローバル化の中での所得分配 —賃金格差変動を中心に [380 KB]