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  5. 設備年齢の動きと生産性に対する影響

No.68 : 設備年齢の動きと生産性に対する影響

主任研究員 長島 直樹

2000年1月

要旨

  1. 付加価値成長率は90年代に入って急速に低下したが、それは生産性の低下によって説明される部分が大きい。実質付加価値の変化のうち実質労働投入と実質資本投入以外の要因で説明される部分をTFP(Total Factor Productivity:全要素生産性あるいは総要素生産性)と呼ぶが、このTFPの付加価値成長率へのマイナス寄与が大きくなっている。同時に、ヴィンテージ(設備年齢)の急上昇が観察され、TFP低下と密接に関連している可能性が推測される。
  2. ヴィンテージの変化がTFPに与える影響をみるには、ヴィンテージ・アプローチが適している。この手法は技術進歩の成果が新しい資本設備を通じて生産性を向上させる過程を重視した「資本体化型技術進歩」の考え方を基礎にしている。このフレームワークを使って、TFPの変化がヴィンテージ変化による部分とそれ以外の部分に分解される。
  3. ヴィンテージ変化の状況、及びそれがTFPに及ぼす影響は業種によって異なっている。ヴィンテージの上昇は概ねすべての産業で観測されるが、製造業においてTFPへの影響が深刻に現れている。中でも電気機械は鉄鋼、化学といった素材型産業よりもヴィンテージの上昇幅が小さいものの、TFPへのマイナスインパクトが大きい。これは、電気機械産業における技術進歩のピッチが他産業よりも相対的に速いため、投資抑制による設備の陳腐化も急速に進むためと解釈できる。
  4. 資本設備に関しては量的な過剰を問題視するだけでなく、質的変化と生産性・競争力の関連性にも注目すべきである。すなわち、設備の生産性・競争力を高めるべく、スクラップ・アンド・ビルドを通じて設備の若返りを図る方策が必要だ。参考になるのは81年、レーガン政権下の米国で施行された「経済再建税法」である。この時施行された資産耐用年数の短縮による加速償却は日本でも検討すべきではなかろうか。レーガン税制の「減税」ではなく「制度改革」の面を投資促進に生かす視点が重要だ。
  5. 「法人税そのものの減税を」という議論もあるが、それでは新規投資を行なわない企業にも恩典が及ぶことになり、政策的な焦点がぼける。真に必要なのは、マクロベースの生産性向上に資するのは「利益を生み、且つ新規投資に前向きな企業」であることを再認識し、こうした「前進する企業」を生かし、増やす政策フレームワークを模索することである。産業再生や産業競争力を真剣に考えるなら、公共投資や中小企業向け政府信用保証枠の拡大など財政頼みの議論からは早急に脱却すべきである。

全文はPDFファイルをご参照ください。

設備年齢の動きと生産性に対する影響 [207 KB]