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  5. 本格的な競争促進が求められる内航海運業

No.66 : 本格的な競争促進が求められる内航海運業

主任研究員 木村 達也

1999年12月

要旨

  1. 日本経済がバブル崩壊後の深刻な低迷から脱するための有力な方策の1つとして、非製造業での規制緩和・撤廃による生産効率化がある。非製造業では運輸・通信業など多くの分野で参入規制など強い規制が行われてきた。非製造業のうち物流分野においても生産効率化の必要性は高く、規制緩和・撤廃の生産効率化への有効性も高いとみられる。国内貨物輸送の輸送機関別分担率をみると、営業用自動車(トラック輸送業)と内航海運業がともに4割強の輸送を担い輸送機関としての重要性が高い。本稿では、このうち内航海運業の規制の変動と、その生産効率化への影響を考察している。
  2. 内航海運業の規制は、内航海運業法と内航海運組合法のいわゆる内航2法の枠組みのもとにある。規制の中核は、慢性的な船腹過剰を解消するために66年以降行われてきた、新たな船舶の建造には既存船をスクラップしなければならないスクラップ&ビルド方式による船腹調整(S&B調整)であった。S&B調整は参入障壁として競争を制限してきたが、経済・産業全般での規制緩和要求が高まるなか見直され、98年5月に内航海運暫定措置事業(暫定措置事業)へと移行した。このように規制の手法は変化したものの、暫定措置事業では新船舶の建造に必要であった既存船のスクラップが建造等納付金に代わったにすぎず、参入障壁は依然高い。
  3. 内航海運業での生産効率化の動向は、付加価値に関する全要素生産性(TFP)の変化率にみると81~85、86~90年度に大きく改善し、91~96年度に大きく悪化している。これを要因分解すると、バブル期の86~90年度を除き生産効率化は労働投入と中間投入の削減によって図られてきたことが解る。これは物流業で他分野に先行し規制緩和が進展したトラック輸送業での生産効率化が、主にサービス改善や商品開発など事業者の積極的な創意工夫によることとは異なる。内航海運業での労働投入と中間投入削減の背景には、他産業に比べ総資本経常利益率が表面上低水準なことがある。すなわち内航海運業での生産効率化は、低い利益率を投入削減により引上げようとした結果生じたものである。暫定措置事業のもとでは、このような投入削減への動機は低下するとみられ、競争も促進されないため、生産効率改善の低迷は続くとみられる。
  4. トラック輸送業にみられるような事業者の創意工夫による生産効率化を、内航海運業でも実現していくためには本格的な競争促進が求められる。競争促進のためには、(1)暫定措置事業の廃止、(2)内航2法の改正、(3)内貿ターミナル等インフラの整備促進、(4)独占禁止法の運用強化、が必要である。

全文はPDFファイルをご参照ください。

本格的な競争促進が求められる内航海運業 [292 KB]