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  5. 東アジア諸国における資本フローの変動と資本取引規制

No.65 : 東アジア諸国における資本フローの変動と資本取引規制

主任研究員 村上 美智子

1999年12月

要旨

  1. 今回の危機で大きな影響を受けた諸国のうち、韓国では、1990年代に入り、対外金融取引について、当初は資本流入規制を、次いで94年頃からは資本流出規制を中心に規制緩和が進められた。一方、80年代半ば以降、直接投資の流入規制を大幅に緩和したタイ、マレーシア、インドネシアのアセアン諸国では、80~90年代にかけて、資本流入の拡大や国内金融市場の発展を目的にその他の資本取引についても急速に自由化を進めた。こうした自由化は変動性の高い短期性資本の流入拡大を招き、その逆流が生じて今回の金融・経済危機が発生した。危機の過程でみられた資本フローの大規模な変動は、マクロ経済のファンダメンタルズからは説明しきれないものであった。
  2. 通貨危機発生までの東アジア各国の為替相場政策としては、資本流入の拡大に伴う通貨の増価を回避すべく、積極的に外為市場介入が行われるとともに、それに伴い増加した流動性の吸収を目的に不胎化政策がとられた。更に資本流出規制の緩和や財政緊縮政策、金融機関に対する健全性規制の強化なども併用されて、マクロ経済の安定化が目指された。しかしながら、引締め政策に伴う内外の金利差の拡大が新たな資本流入を誘発するなかで、次第に不胎化政策の継続は困難となった。これに対して資本流入の数量規制も導入され、一定の効果を持ち得たケースもあったものの、危機発生を回避することはできなかった。
  3. 今回の危機では、危機以前に大量に流入していた短期性資本の逆流がみられたが、こうした大量の資本流出や資本逃避に対し、資本流出規制による対応も試みられた。
  4.   このうちマレーシアでは、規制の枠組みの巧妙さとタイミングの良さから流出規制が一定の効果を収めた。
  5. 今回の危機の教訓として、第一に危機の再発を回避するにはとりわけ短期性資本の流入を管理することが重要である。さらに資本流入規制はマクロ経済が健全であれば短期的に一定の効果を持ち得るが、直接的な規制よりも間接的な規制の方が望ましい。第二に資本流出規制も危機管理策として検討の余地がある。その場合、効果的な資本取引規制の枠組みは、金融制度や資本の流出・流入規制の体系によって異なる。第三に対外金融取引を自由化する前に健全かつ強固な金融システムを構築する必要がある。最後に、資本取引が自由化されたもとで、固定的な為替相場や不胎化政策を長期間維持することはできないということが挙げられる。今後、東アジア諸国は、金融システムの強化や為替取引に関するモニタリングの充実を図りつつ、柔軟な為替相場政策のもとで、資本取引の自由化や規制の程度をプラクティカルに調整しつつ、安定的な資本フローの確保を図るほかなく、政策運営の困難が予想される。日本としては、域内のセーフティネットの拡充に向けイニシアティブをとるべきであろう。

全文はPDFファイルをご参照ください。

東アジア諸国における資本フローの変動と資本取引規制 [909 KB]