GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. 調査・研究成果 >
  3. 研究レポート >
  4. 1999年 >
  5. アジア経済回復のカギを握る企業の経営再建 -ミクロレベルの経済回復及び日本支援の有り方-

No.58 : アジア経済回復のカギを握る企業の経営再建 -ミクロレベルの経済回復及び日本支援の有り方-

主任研究員 朱 炎

1999年7月

要旨

  1. 通貨危機の発生によって、アジア経済は深刻な不況に見舞われ、アジア企業の多くも深刻な経営危機に陥り、経営再建を余儀なくされた。現在、アジア経済は危機から脱出しつつあり、回復の兆しが見え始めた。しかし、経済の主体である企業が活力を取り戻さない限り、マクロ経済の抜本的な好転も望めない。企業の経営再建の成否が経済の本格的な回復のカギを握っているといっても過言ではない。
  2. 通貨危機のなか、アジア企業の多くは収益の悪化、債務返済の負担増に苦しめられ、深刻な経営危機に陥っている。企業は危機から脱出するため、資産・事業・子会社の売却、事業の整理と再構築、債務の再編、増資や外資導入などを通じて、経営再建を図った。また、危機を逆にチャンスとして利用し、事業の拡大を図った企業もある。企業の経営再建を支援するため、各国政府は債務交渉の仲介、制度作りと規制緩和、外資導入の促進など、さまざまな政策措置をとっている。
  3. 一方、企業の経営再建は、外資にアジア進出のよいチャンスを提供した。通貨危機後、外資による企業買収、出資などのM&Aが急増した。これは、アジア企業の経営再建を支援する効果もある。しかし、国によって外国企業のM&Aの目的や手法も大きく異なる。日本企業の場合は、これまでの合弁事業の拠点維持や、パートナー救済のための出資が多い。
  4. アジア企業の努力と各国政府の政策支援により、経営再建はすでにある程度の効果をあげた。しかし、金融機関の不良債権処理に比べ、企業の経営再建が遅れており、債務返済は依然として厳しい状況にある。経営再建のさらなる進展には、政府の政策介入ないし公的資金投入、債務・債権者の責任の明確化、長期的な視点での構造転換などの課題への取り込みが不可欠である。また、マクロ経済の好転、外資の動き及び金融市場の回復などの外部環境も経営再建の条件である。
  5. 日本とアジアとの経済的相互依存関係を考慮すれば、アジア経済の回復、そして企業の経営再建を支援することは日本の利益にもつながる。日本の金融機関と企業は、債務処理への協力やM&Aを通じて、アジア企業の経営再建を支援できる。日本政府の対アジア資金支援は、信用収縮の解消には大きく貢献したが、経済回復の緊急課題である不良債権処理、企業の経営再建への直接な支援がまだ少ない。今後、日本のアジアに対する公的資金支援は各国政府、政府系企業、内外の民間企業を経由して、対象分野を企業の経営再建にも拡大すべきである。ちなみに、アジア企業の経営再建は、日本企業のリストラにとっても参考となろう。

全文はPDFファイルをご参照ください。

アジア経済回復のカギを握る企業の経営再建 -ミクロレベルの経済回復及び日本支援の有り方- [284 KB]