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No.26 : 東南アジアにおける通貨危機と成長神話の終焉

主任研究員 中山 真一

1998年3月

要旨

97年7月から続いている東南アジア通貨の連鎖的な切り下げはシンガポールを除いてこれまでの成長パターン、成長神話が崩壊したことによる。東南アジア諸国はこれまで外国直接投資に依存し経済成長を遂げてきたが、成長に伴い賃金水準が上昇し輸出の伸びが鈍化する一方、輸入は成長に伴い増加したので経常収支は年々悪化してきた。更に、不動産投資等が「成長神話」に躍らされ、外国からの資金借入により安易に行われ、バブル崩壊への道を歩んだことにより通貨不安を生じた。

今後の成長率は、これまでの半分以下になると考える。資本の供給はこれまでの「ローリスク・ハイリターン」から「ハイリスク・ローリターン」となり減少する。労働力の供給は、フィリピン以外これまでのようには望めない。労働力の質は、教育に依存するところが大きいが、この改善が効果を生じるまで時間を要する。生産性の向上はこれまで国内市場が保護されてきたことから非効率な産業が多く、大胆な政策変更を必要とする。また、政治・社会の安定もこれまでのようには期待出来ない。

このような低成長への移行に際しても、通貨危機からの脱出が必要であるが、状況は深刻である。対外債務の状況からみて、タイは債務の借り換えが不可避である。タイの場合、輸出の価格弾性値が小さいので、切り下げによっても貿易収支は改善せず、引き締め政策により経常収支の改善を図る必要がある。物価上昇も進むので97年、0%前後、98年は更に悪化しよう。経済の回復は、バブルの生産、債務返済負担増から長期間を要し、5~10年程度かかろう。

このような状態から脱却するには、着実に経済の開放による産業の効率化、教育の充実による労働力の質の向上を進める以外に方策はない。