Skip to main content

English

Japan

No.9 : 情報ネットワークと企業経営

研究員 浜屋 敏

1997年4月

要旨

  1. 日本企業における情報化は、データ処理の時代、個別システムの時代、統合システムの時代を経て、複合的ネットワークの時代を迎えている。複合的ネットワークの時代には、いままで構築されてきたネットワークの相互作用が働き、情報ネットワークが企業活動のインフラストラクチャーになる。それにともなって、企業間取引にまつわる手続きや交換データの形式といったビジネス・インタフェースが標準化され、経済主体間の連携(ネットワーキング)が進む。このことが新しい経済パラダイムを生み、企業経営にも大きな変化を迫っている。
  2. 情報ネットワークの進展が企業に与える影響を体系的に分析するためには、企業経営に関するさまざまな要素を一つの枠組みのもとで整理することが必要になる。そのため、われわれは、ユニークな経営を行っている35の企業の経営者へのインタビューにもとづいて、strategy(戦略)、structure(構造)、skills(能力)、style(様式)、systems(体系)という5つのSではじまる単語で企業経営の全ての要素を説明する「5Sフレームワーク」を構築し、それぞれの要素について今後必要となる条件を抽出した。
  3. 今後の日本企業は、戦略については、開放的なビジネス・システムの中で自社を位置付けて固有の強みを拡張していくこと、構造的には、スリムで自律的な組織が柔軟な連携を行うことが必要である。能力としては、情報リテラシーと事業設計能力および関係者の共感を呼ぶヒューマン・スキルが必要になり、様式としては、迅速で同時並行的かつ自発的な行動と、組織構成員の同期が重要である。他の要素を結び付けるのがシステム(体系)であり、組織を刺激し持続可能性を高めるような業務システム、人事システムおよび情報システムを構築する必要がある。さらに、経営要素間のシナジ—効果を発揮するようなシステムを作り上げ、環境変化に応じてシステムを変化させていくことができれば、その企業は情報ネットワークの進展から大きな恩恵を得ることができる。