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Japan

No.17 : 金融ビッグバン後のわが国の金融サービス業

茨城大学教授(FRI経済研究所研究会委員 勝 悦子

1997年9月

要旨

  1. 各国の金融システムは、歴史、コーポレート・ガバナンス、社会的慣行等の違いを背景に本源的には大きく異なっている。しかしながら、80年代の金融自由化とグローバル化、通信情報革命の急速な進展は、「規制のアービトラージ効果」を通じ、各国金融システムを市場重視型システムへと同質化させる傾向を強めた。わが国ビッグバンもこの延長線上にあるものだが、ポスト・ビッグバンにはわが国金融仲介の姿も大きく変化することが予想される。
  2. 日米の金融仲介構造をみると、企業金融においては、アメリカでは社債、株式形態の調達の比率が高いのに対して、わが国では銀行借入への依存度が圧倒的に高い。また家計部門の運用形態をみても、アメリカにおいては、ミューチュアル・ファンドを含む有価証券保有の比率が高いのに対し、わが国では預貯金の比率が約6割と高いなど、日米の金融構造は非対称的な姿となっている。
  3. 金融自由化が先行したアメリカにおいては、近年金融機関間の競争が激化するとともに、銀行の地盤低下が著しい。内外の競争激化、伝統的金融業務の収益性低下のなかで、米銀の行動は大きく変貌している。すなわち一方では業務多角化を追求する「グローバル・ホールセール・フィナンシャル・サービス」の動き、他方ではスケール・メリットを追求する「リーテイル革命」の動きである。
  4. わが国においても競争が激化すると見込まれるなかで、各金融機関は自身の意識改革、戦略的経営への転換が求められている。従来の含み益依存の体質を早急に改め、雇用体系、給与体系、先端部門の人材確保などを含め経営方針をドラスティックに変えていく必要がある。自らの顧客の属性がどのあたりにあるのか、比較優位はどこにあるかを見据え、顧客サービス重視を第一義として、組織改革などに果敢に挑戦していくことが今まさに求められている。