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Japan

No.14 : 日本的雇用慣行の変化と企業行動

FRI・日経センター

1997年4月

要旨

  1. 日本的雇用システムとは、長期継続雇用、年功賃金制、企業別組合として特徴づけられる。高度経済成長期以降、不況の度にその崩壊の危機が叫ばれてきたが、これまでのところは存続している。長期継続雇用と年功賃金制の変遷に焦点をあてることで、中長期的には日本的雇用システムがどのように変わってゆくのかをみてゆくことにする。
  2. 長期継続雇用は、日本独自のものではない。欧米においても、流動化した層と2極分化した形で長期雇用者は存在する。日本において特徴的なことは、若年層のみが流動的であり、それ以外の年齢層では長期勤続者が多いことである。
  3. 年功賃金制も、年功とともに高賃金になる傾向は欧米にも存在する。ただし日本では、欧米と比べて年齢別の賃金格差が大きい。また欧米では、40歳代を境に賃金上昇が頭打ち状態になるに対して、日本では40歳代以降も賃金上昇が続く傾向にある。
  4. 首都圏40km圏内の雇用者4,000人(有効回答率23.9%)を対象としたアンケート調査を実施した(96年11~12月)。その結果は、若年層、小企業従業員ほど日本的雇用システムに否定的である。また、年齢や収入以上に、就業する産業によってこのシステムに対する評価は大きく異なる。つまり、製造業、サービス業就業者が最も否定的であり、金融・保険業就業者が最も肯定的である。さらに、競争度の強い産業ほど、日本的雇用システムに否定的傾向が強い。
  5. 産業構造の変化を踏まえれば、長期継続雇用を採用する企業は緩やかに減少し、年功賃金制はそれ以上の早さで崩壊していく可能性が高い。その結果、同一年齢、同一勤続者間での賃金格差は今後拡大していくであろう。
  6. 先のアンケート調査結果から、競争度の強い産業ほど日本的雇用システムへの否定的意見が強く、このような日本的雇用システムの崩壊は、企業の競争力・活力に対してはむしろプラスに作用すると考えられる。