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Japan

No.13 : 日本経済の高コスト構造

FRI・日経センター

1997年4月

要旨

  1. 日本経済の高コスト構造が問題になった歴史的先例として、第1次大戦後と朝鮮戦争時の二つのケースがある。今回の高コスト問題は、国際収支の黒字の累積に伴う実質円高の結果として発生したという点では、先行事例と共通している。しかし、インフレの後始末として生じたものではないという点で、先行事例とは異なっている。この背景としては、今回は、(1)物価変動は小幅化したがそれに代わって資産価格変動が激しくなったこと、(2)為替相場が変動相場制を採用しているため高コストが増幅された形で現れたこと、がある。
  2. また、過去の高コスト問題は、輸出産業としての重化学工業及びそれと関連する国内産業を中心に現れたが、今回は国内財産業、公共部門が中心になっているという点でも異なっている。さらに、地価・賃金など生産要素の割高、あるいは規制・税制など制度のあり方が問題とされているという点でも過去と異なっている。この要因としては、日本の製造技術が先進国の水準にほぼキャッチアップしたことにより輸出財の高コストが問題とならなくなったこと、資本移動の活発化に伴い国際間立地競争が激しくなり、輸出財のみでなく国内財、生産要素についてのコスト高が投資先の選択に影響する要因として無視できなくなったこと、があげられる。
  3. 先行事例における高コスト問題の解消過程をみると、合理化と輸入転換が行われたほか、緊縮政策が成功した例(朝鮮戦争時)と成功しなかった例(第1次大戦後)、円レートが維持されるなかで解消された例(朝鮮戦争時)と円安を待って高コストが解消された例(第1次大戦後)がある。今回のケースがどのような経路をたどるかは今後において確証されるべき問題である。