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【FUJITSU SCRUM】「モノ売り」から「ブランド作りへ」

富士通総研・経済研究所・実践知研究センターでは、野中郁次郎センター長(経済研究所理事長、一橋大学名誉教授)の主催により「FUJITSU SCRUM」を定期的に開催しています。

このFUJITSU SCRUMでは、講師の経験や知識・ノウハウを共有することによって、一人ひとりの参加者が「自分にできること」について何かを気づき、職場に戻ってそれを実践していくことを目指しています。

「モノ売り」から「ブランド作りへ」
株式会社中川政七商店の13代社長・中川淳氏

第10回目である2012年度最初のFUJITSU SCRUM(2012年4月10日開催)では、富士通のOBでもある株式会社中川政七商店の13代社長・中川淳氏にご講演いただきました。参加者は、富士通グループの各社各部から100名を超え、盛況のうちに終了いたしました。

中川政七商店は、奈良に江戸から続く麻織物の老舗ですが、時代の移り変わりで麻織物の需要が激減し、経営は危機的な状況に陥っていました。そのような状況下で中川氏は、ブランディングとデザインに着目し、自分の経営哲学に基づいてビジョンや向かうべき方向性を明確にし、社員を大切にすること等によって売り上げを5倍に伸ばすことに成功しました。

中川社長は、「“モノ売り”から“ブランド作り”へ」というタイトルの下、「粋更kisara」「中川政七商店」などのブランドを次々と立ち上げ、日本初の伝統工芸をベースにしたSPA業態を確立した自らの経験や、「日本の伝統工芸を元気にする!」というビジョンの下、業界特化型の経営コンサルティング事業を通じて得たノウハウ等に基づいて、ブランディングに最も大切なものは何かということについて講演して下さいました。

また、中川政七商店の社員活動である「政七まつり」や、社員の心構えを記した「こころば」について紹介して下さり、社員全員が共通のビジョンに向かって仕事を行っていくことが純粋に大切なのだというメッセージを投げることで我々富士通グループの社員に喚起を促し、さらに組織のあり方について包括的に語って下さいました。

講演後、野中は、非常に重要なことを学ばせていただいたとして、主に企業の価値創造について以下のようにコメントいたしました。

「企業は価値創造を追求するものですが、どのような価値を作るかという時に、“モノ的価値”と“コト的価値”があると思っています。大企業は往々にして“モノ的価値”を作ることに長けていますが、それらは機能的、客観的、数値的なものになりがちで、価格競争に陥りやすくなります。実は、より大きな関係性の中で新しい意味を作る“コト的価値”創造については、議論の場が無く、決定的に欠けていると思っています。これは、『我々は何のために生きているのか』というような、もっと大きな関係性の中で、自分の存在を追求しながら価値を作ることです。

この点において中川政七商店は、『日本の伝統工芸を豊かにすることが、我々の存在する価値である』と考え抜いたことにより、より大きな関係性の中で“コト的価値”を創造していると思います。お客様一人ひとりと価値を創造するために、末端の流通まで行うことによって顧客に接近するという考え方は、画期的です。また、『こころば』に書かれていることは、人間としての生き方であると思います。本質としての“コト的価値”をつくることが、将来的なイノベーションの根源になるのではないでしょうか。」(抜粋)

中川社長のビジネスに対する姿勢は、ANA機内上映番組「発想の来た道」においても「伝統工芸を元気にする!老舗13代目の情熱」というタイトルで取り上げられています。番組の中でも出てくるセリフですが「実践しかない」という熱い想いの下、自分が正しいと思った戦略を躊躇なく、また、連続的に実践していくやり方は、「The Wise Leader」(野中・竹内 Harvard Business Review 2011年5月号)に述べられているリーダー像と重なる部分も多く、今回の講演を通じて、私たちが日々の仕事を行っていく上で大きなヒントを下さいました。

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