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2011・2012年度経済見通し

~踊り場から脱却し緩やかな回復が続く~

2011年2月14日
株式会社富士通総研
経済研究所

 

当社は、2010年10~12月期のGDP統計(1次速報)の発表を受け、経済見通しを改訂しました。世界経済は、食料品価格の上昇に伴うインフレ懸念が高まっていますが、新興国において適度な金融引き締めが行われており、世界経済の拡大持続にとって大きな障害にはならないと考えられます。日本経済は、アメリカやアジア向けの輸出が復調、生産も回復するなど、すでに踊り場から脱却しており、再び緩やかな回復軌道に戻っていくと見込まれます。

実質成長率: 2010年度 3.0%(前回3.3%)、2011年度 1.5%(前回1.6%)、2012年度 2.2%

【世界経済】

世界経済は、アメリカがQE2の効果もあって復調したものの、過剰流動性が農産物市場に流入したことで相場上昇をもたらし、食料品価格の上昇を通じて各国のインフレ懸念を高めている。新興国はこれに対し、断続的な金融引き締めで対処しているが、これは新興国の景気拡大スピードを調整し、景気過熱を未然に防ぐ効果を持つと考えられ、世界経済の失速をもたらす可能性は低い。新興国の金融引き締めは、新興国の通貨価値を上昇させることで、金融危機後の景気回復を牽引した新興国の為替レートを実力に見合ったものにする効果も生んでいる。こうした調整を経ながら、世界経済は引き続き拡大基調で推移していくと見込まれる。

【日本経済】

日本経済は政策効果の一巡と輸出の減速によって踊り場に入っていたが、アメリカやアジア向けの輸出が復調し、自動車生産も回復、遅れていた電子部品・デバイスの在庫調整も進展に向かうなど明るい兆しがみえており、先行きについては緩やかな回復軌道に戻っていくと見込まれる。輸出主導による踊り場からの脱却であり、内需については、国内投資に勢いがない状況に変わりはない。しかし最近では、新型携帯端末向けの先端的な部品に対する需要が世界的に高まり、そうした部品を生産する国内設備を拡充する動きも出ている。こうした動きがより一層広がり、景気回復の足取りがより確かなものになるためには、なお時間がかかりそうである。

本文はPDFファイルをご参照ください。

2011・2012年度経済見通し [357 KB]