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2008・2009年度経済見通し(2008年8月改訂)

2008年8月13日
株式会社富士通総研
経済研究所

 

08年4~6月期のGDP統計(1次速報)の発表を受け、経済見通しの改訂を行った。世界経済は減速感を強め、これまでの行き過ぎた資源高の調整が行われる過程にあるが、一部新興国で賃金上昇率が高まるなどインフレ懸念が強まっていることが懸念材料となっている。日本経済は、資源価格高騰に伴う企業収益の悪化と、これまで景気を下支えしてきた輸出の減速により、停滞感を強めており、当面は弱い動きが続いていくと見込まれる。

実質成長率: 2008年度1.0%(前回予測1.3%)、2009年度1.5%(前回予測1.6%)

【世界経済】

投機マネーによって増幅されたインフレの進展により、世界経済は調整を余儀なくされているが、これに伴い、これまでのドル安、資源高の流れが修正される動きが顕著になっている。現在の調整過程は、世界経済がその後の成長に向け、新たな成長ペースと、許容できる資源価格水準とを模索する過程と捉えられる。先進国、新興国ともインフレ期待が高まる前に、金融引き締めのスタンスを強めているため、今のところ、世界経済がスタグフレーションに陥る可能性は低いと考えられる。しかし、一部新興国では賃金上昇率が高まるなどインフレ懸念が強まっており、こうした国がさらに増えていく場合には、世界経済の調整が長引くリスクもある。

【日本経済】

日本経済は資源価格高騰に伴う企業収益の悪化と、これまで景気を下支えしてきた輸出の減速により、停滞感を強めている。しかし、今回の景気後退については、過剰設備、過剰雇用がほぼ存在せず、在庫調整圧力も総じて軽微であるなど、後退が内在的な要因によるものではないため、資源価格が反落し、海外経済の調整が進展するなど外的要因が安定化していけば、その後は、緩やかなペースながら持ち直していくことが見込まれる。企業収益に悪影響を与えた円高が、最近では修正されていることもプラス要因になると考えられる。ただし、当面は弱い動きが続き、今年度内の成長はほぼゼロになると見込まれる。

本文はPDFファイルをご参照ください。

2008・2009年度経済見通し(2008年8月改訂) [306KB]