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マイナンバー法施行! 日本社会にマイナンバーが定着するために

発行日 2015年10月22日
主席研究員 榎並 利博

【要旨】

  • 10月5日、マイナンバー法が施行された。通知カードが届くのはこれからだが、マイナンバーが社会に定着していくためには、いくつかの課題を乗り越えなくてはならない。
  • まずは、国民の不安に応えていく必要があり、特に情報漏えいについては官民あげて特定個人情報の安全管理に取組み、地道に信頼を構築していかなくてはならない。また、マイナンバーの誤解につけ込んだ詐欺に注意が必要だ。マイナンバーの重要性に過敏になることはかえって危険であり、正しい知識を持つ必要がある。さらに、ちまたの風評に惑わされないようにしたい。無責任な言動にうっかり騙されないよう、国民自ら何が正しいのかを確認し、考える習慣が必要だ。
  • マイナンバーは我が国の行く末を左右する重要な基盤である。不安や懸念があれば、政府のコールセンターやホームページで正しい情報を確認するようにしたい。

マイナンバー法の施行と国民の不安

  • 10月5日、マイナンバー法が施行された。施行日時点の住民基本台帳の情報をもとに通知カードが製造され、国民には簡易書留で郵送される。10月20日頃から郵送が開始され、政府としては11月いっぱいまでには、全国民に届くようにしたいという。
  • しかし、国民のなかにはまだ不安を持つ人も多いようだ。内閣府が行った今年7~8月の世論調査では、日本年金機構の情報漏えい問題の影響か、前回より若干多い約87%が不安や懸念を持っていた。
  • 「国に一元管理され、監視される」という不安は減少した。マイナンバーを使って個人情報を一か所に集める仕組みではないことが周知された結果であろう。行政機関がマイナンバーの付いた個人情報を照会する場合は、情報提供ネットワークシステムに依頼するというルールになっており、このシステムで違法な個人情報のやり取りを未然に防ぐ。さらに、特定個人情報保護委員会が設置されたこと、マイナポータルで国民が自身の情報提供記録を確認できることも安心感を与えている。
  • しかし、不正利用で被害に遭うという懸念は強まっている。諸外国で起きているなりすましを防ぐため、マイナンバー制度では番号取得の際に厳格な本人確認を行うよう求めている。また、個人番号カードは偽造不可能なセキュリティの高いICカードであり、不正な目的・手段によるマイナンバーの窃取や漏えいに対しては、最大で4年以下の懲役または200万円以下の罰金という罰則がある。重い罰則のリスクを冒してまで不正行為をするものがいるとは思えないが、注意深く管理・監督していく必要がある。
  • そして、情報漏えいによるプライバシー侵害についても懸念が高まっている。マイナンバー法では、行政機関だけでなくすべての民間企業に対しても、情報漏えいを防ぐための安全管理措置を義務付けている。番号があるから情報漏えいが起こりやすくなるわけではなく、従来のような個人情報の件数による除外規定はないため、これまでよりも安全になるはずだが、日本年金機構のような事件が起きると信頼が低下してしまう。住基ネットのように、官民あげて地道に信頼を積み重ねていくしかないだろう。

マイナンバーに関する誤解につけ込む詐欺

  • マイナンバーが重要な番号であることは確かだが、誤解があったり過敏になったりすると、かえって詐欺にあう危険性ある。
  • 例えば、「マイナンバーが知られると個人情報が盗まれてしまう」という誤解がある。個人情報を格納しているシステムにアクセスするには、専用の端末・カードやユーザID・パスワードなどが必要であり、マイナンバーだけではアクセスできず、個人情報を収集することもできない。また、「マイナンバーで芋づる式に個人情報が漏えいする」という誤解もある。個人情報は各情報保有機関が分散管理し、それぞれがアクセス制限している。一元管理でない以上、情報が芋づる式に漏れることはあり得ない。さらに、「マイナンバーが知られると悪用されるから危険だ」という思い込みもある。住所や電話番号であれば、「爆弾を郵送する」「詐欺の電話をかける」という悪用が思いつくが、マイナンバーを悪用する場面は考えにくい。
  • むしろ心配なのは、「あなたの大切なマイナンバーが漏れています。個人情報まで漏れてしまいますから、すぐに回収しなければなりません。そのためにお金が必要なので振り込んでください」といった詐欺のほうだ。マイナンバーの誤解につけ込んだ詐欺に注意すべきだ。
  • では、マイナンバーを公開しても問題ないのかというと、それはそれでまた別の問題がある。多くの国民や企業が安易な使い方をしていると、マイナンバーを含む個人情報が世の中に出回ってしまう。そうなると、マイナンバーをキーにして氏名・住所だけでなく、趣味・嗜好や思想・信条など機微な情報が集められ、当人が知らないところで個人プロフィールが形成されてしまう。このような社会にならぬよう、各自が気を付けてマイナンバーを大切に取扱わなくてはならない。

ちまたに流布する風評とマイナンバー定着への課題

  • マイナンバーが我が国の制度として定着していくためには、行政・企業・国民が法律やガイドラインを遵守しながらマイナンバーを取扱い、正しい知識を身につけて詐欺などに遭わないようにしていく必要がある。しかし、なかには根も葉もない風評をまき散らす者もいる。このような風評にうろたえず、正確な情報を確認することが肝要である。
  • たとえば、「マイナンバーの取扱いで、うっかりミスしただけで逮捕される」という噂がある。すべての事業者に対して、マイナンバーの安全管理措置が義務付けられているが、うっかりミスだけで逮捕されるわけではない。直罰規定があるのは、不正な行為・悪意ある行為の場合に限られる。それ以外の法令違反については、特定個人情報保護委員会からの指導を受けることになる。ただし、直罰がないからと安全管理措置を怠って情報漏えいを起こせば、損害賠償の請求という別のリスクがあることも知っておく必要がある。
  • また、「マイナンバーで会社に副業がばれる」という噂もある。これはマイナンバーの有無とは関係がない。現状でもアルバイト先の事業者は法定調書を税務署に提出している。それをもとに自治体では特別徴収する住民税額を会社へ通知するため、会社は社員が給与以外に収入を得ていることがわかる。ただし、副業なのか株の配当なのか、収入の中身まではわからない。知られたくなければ、確定申告の時に普通徴収を選択すれば良いだけのことだ。
  • そのほかにも、「中間層・貧困層だけが徴税地獄になる」「国民が犯罪に巻き込まれる」「第2の新国立競技場になる」などの扇動的なフレーズがあちこちに氾濫している。マイナンバーはさまざまな行政事務に応用でき、我が国の将来を左右する重要な基盤である。使い方について、国民一人ひとりが関与して議論し、国民の利益になるよう決断していけば必ず大きなメリットを生み出す。そのためにも、まずはマイナンバー制度を定着させていくことが第一であり、不安や懸念があれば政府のコールセンターに問い合わせたりホームページで確認したりと、正しい情報を確認するようにしたい。