富士通総研では、厚生労働省「令和元年度老人保健健康増進等事業」(国庫補助事業)として、「在宅医療・介護連携推進事業における都道府県による市区町村支援に関する調査研究事業」を実施いたしました。
担当:コンサルティング本部 行政経営グループ 名取直美 森川岳大
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平成30年からの本格施行を受け、在宅医療・介護連携事業に取り組む市区町村に対する支援体制は、従来からの都道府県と市区町村の2層の支援体制から、個別具体の課題に対応して支援できるよう保健医療圏レベルを含む重層化への志向がみられます。その背景には、在宅医療・介護連携推進事業の本格的な実施に伴い、課題はより地域の実情に即して具体的になり、併走型支援等、きめこまかな支援が求められていることが背景にあります。本調査研究では、現在の推進段階に応じた実効性ある市区町村支援のあり方について、地域で連携を推進する拠点と人材に視点をあて、都道府県による市区町村支援のあり方を考えました。
埼玉県、新潟県では、県と県医師会の協力のもと、地区医師会の拠点ごとにコーディネーターを配置、市区町村と共に在宅医療・介護連携を推進する体制を先駆的に整備・推進しています。
新潟県の場合、拠点充実のために現在最も優先度が高い課題としはてコーディネーターの取組の平準化があげられたことから、県・県医師会の協議体が行うコーディネーターの活動指針開発検討に本研究も加わり、アクションリサーチの形態をとって調査研究を行って、その状況を把握しました。
埼玉県の場合、地域の「拠点」としての役割を明確化して活動の横展開を強く志向していたことから、同様にアクションリサーチの形態で協議に参加し、活動の把握を行いました。
以上からは、現在の在宅医療・介護連携推進事業の中では、実際に地域の中で活動を推進していく場である拠点と拠点で活動する人材、人材が能力を生かして活動できる環境の確保としての所属組織である地区医師会の理解の醸成、他の拠点の人材との連携・協働等の重要性が確認され、そのためには都道府県の福祉・医療の両部門が共に都道府県医師会等の広域の団体と連携した市区町村支援が有効であることも確認されました。
また、市区町村の取組推進に伴い、課題も各々の実情を濃く反映し、支援方法も併走型支援、個別対応が求められています。その場合、都道府県による支援も中央からばかりではなく、圏域で対応できることが望まれます。以上から、圏域の支援を充実させている栃木県の取組を確認し、今後の都道府県で求められる重層的な支援のあり方を検討しました。さらに都道府県の支援を強化するものとして、地域の専門職人材の輩出期間でもある大学の取組を確認し、現在の推進段階にあわせた都道府県の支援のあり方を検討しました。
在宅医療・介護連携推進事業における都道府県による市区町村支援に関する調査研究事業報告書(PDF)(3.90MB)