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「都道府県個別支援型在宅医療・介護連携等推進調査研究事業」(老人保健健康増進等事業)の実施について

富士通総研では、厚生労働省「平成30年度老人保健健康増進等事業」(国庫補助事業)として、「都道府県個別支援型在宅医療・介護連携等推進調査研究事業」を実施いたしました。

お問い合わせ先

担当:コンサルティング本部 行政経営グループ 名取直美 赤田啓伍
電話:03-5401-8396(直通) Fax:03-5401-8439

背景と目的

平成26年の介護法改正によって制度化された在宅医療・介護連携推進事業については、平成30年度の本格施行に向け、都道府県は全市町村が全ての事業に着手することを第一目標に支援を行ってきました。そして、平成30年をむかえ、市町村は在宅医療・介護連携推進事業の本格的な推進に向け、内容を充実させていく時期に入りました。

いわば、現在は在宅医療・介護連携推進事業の「立ち上げ期」から「実行期」に移行したことになりますが、市町村の推進体制は必ずしも盤石な状況ではありません。そのため、引き続き都道府県による市町村支援が期待されていますが、「実行期」という具体に事業を進める・自律的に事業を推進するという段階に見合った支援を都道府県が行うためには、より実効性のある取り組みを実施していく必要があります。以上から、本調査研究では、実行期に入った都道府県の状態を確認し、実行期における都道府県の市町村支援を検討し、在宅医療・介護のさらなる連携推進と充実に寄与することを目指して実施しました。

事業概要と結果

本調査では、全国調査のほか、関東信越厚生局の協力を頂き、管内10都県を主たる調査フィールドとして今後の市町村支援のあり方の検討を行いました。一部についてはアクションリサーチの手法を取り入れて県等の取り組みにも直接介入し、その検討プロセスを共有し、その成果を他への展開を促す方法を取っています。

(1)全体的な状況の把握:都道府県アンケート調査

「市町村間のネットワークづくり」という広域的な取り組みは、大半の都道府県で実施がなされており、概ね規定の取り組みとなってきています。そのうえで、より市町村に近い支援を行う機関として、保健所を各圏域内の市町村の取り組みに対する支援を主体的に担う等して、重層的な推進支援体制をつくろうとしている都道府県も全体の半数近くにのぼりました。

(2)詳細調査による実態把握:関東信越厚生局管内10都県ヒアリング調査

アンケート調査では読み取れなかった都道府県の推進支援体制を構成する主体間の関わりの強さや結びつき等についても確認すべく、都市部から中山間地域までを管内に抱える関東信越厚生局管内の10都県に対してヒアリング調査を実施しました。
 都道府県の推進体制における各主体の関わりの強さ、市町村の事情に即した支援を可能にするための圏域での支援体制、市町村等の現場で在宅医療・介護連携推進を促す「連携推進人材」等で各都県の推進体制を整理したところ、その特性によって概ね5つほどに類型化することができました。また、従来からの都道府県による広域的かつトップダウンの支援体制から、市町村の事情に即した支援を行う体制へと移行を図り、市町村の自律的な推進を促そうとしている状況が確認されました。

関東信越厚生局
(10都県)
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、
山梨県、長野県

(3)事例調査を踏まえた知見の展開と検討プロセスの共有:新潟県意見交換会・関東信越厚生局管内情報交換会

市町村等の自律的な推進のため、今後必要と考えられるのは現場で連携を推進する専門職であり、その育成も多くの都道府県において課題となっています。そうした連携推進人材を「在宅医療コーディネーター」として育成に取り組んでいる大阪市に調査を実施し、そこで得られた情報等を自県の連携推進人材育成に反映させていくための検討を、新潟県をフィールドに実施しました。これは、有効な事例を自県に反映させるための方法を検討するためのものであり、複数回の「意見交換会」の形で共に検討プロセスを共有することで実施しました。
 また、以上の内容については、管内都県が参加した関東信越厚生局管内情報交換会でも共有し、意見交換を行いました。

平成30年を迎え、既に在宅医療・介護連携推進事業における「都道府県と市町村」という広域の支援体制自体はほぼできあがっています。それは、平成30年度までの在宅医療・介護連携推進事業の「立ち上げ期」では、全市町村が全事業に着手するということが第一目標であったため、まずは都道府県による広域的な取り組みによって全体的なボトムアップが図られたという経緯もあります。しかし、現在は本格的な事業推進の時期に入ってきており、より実効性のある支援が求められています。
 よって、都道府県と市町村の間にある中間層・圏域等を単位としたきめ細かな推進支援体制、また、実際に事業を進めていくという上では、市町村等の現場において連携を進める専門職サイドの人材である「連携推進人材」の育成・確保は重要な課題です。以上は、実行期において市町村が自律的な推進を図るために重要な都道府県による支援ですが、それは同じように郡市医師会等市町村の専門職を支援する都道府県医師会等の専門職団体においても同様に取り組むべき支援です。そして、その過程で従来からの都道府県を頂点とする三角形のトップダウンの支援体制から、市町村を上部に位置させ、都道府県が後方支援を図る逆三角形の支援体制へと移行するものと考えられます。以上の実現にあたっては、都道府県は庁内連携体制、都道府県医師会等の専門職団体との連携体制をさらに強化し、取り組んでいくことが必要です。

資料掲載

都道府県個別支援型在宅医療・介護連携等推進調査研究事業 報告書(PDF)(6.25MB)

資料