富士通総研では、厚生労働省「平成29年度老人保健健康増進等事業」(国庫補助事業)として、「地域包括ケア推進に向けた総合的な自治体職員研修・支援体制に関する調査研究事業」を実施いたしました。
担当:コンサルティング本部 行政経営グループ 名取直美 赤田啓伍
電話:03-5401-8396(直通) Fax:03-5401-8439
地域包括ケアシステムの構築に向けては、市町村が地域の特性に応じて取り組みの方向性と目標を定め、地域包括ケアの5つの構成要素(住まい、生活支援・福祉、保健・予防、介護・リハビリ、医療・看護)にかかわる様々な領域の施策・事業を総合的に推進し、日常生活圏域単位でシステム化していくことが求められます。
その具体的な手法が介護保険法に基づく地域支援事業ですが、各事業を担当する市町村職員においては、個別事業の範囲に限定して地域課題等を捉えることが多く、地域包括ケアシステムの構築という1つの大きな目的に向けて複数の事業を連動させ、総合的に推進するという考えにまで至らない状況が見られます。加えて、その実現のためには、行政内外の多くのステークホルダーと連携して各事業に取り組むことが必要です。
このような高度な非定型業務である地域包括ケアシステムの構築に取り組む自治体職員には、その目標や事業構造を理解し、動機づけがなされており、その上で自身が行うべきことを考え、必要となる技術を身に着けていることが求められます。そこで本事業では、こうした点について極力早い段階でその理解をすべく、地域包括ケアシステムの基礎導入研修パッケージの開発に焦点をあて取り組みました。
本事業では、次の内容を通じて、市町村職員のための地域包括ケアシステムの基礎研修のプログラムとコンテンツを開発しました。
研修プログラム・コンテンツの具体的内容として、研修開催方法と研修を活用した市町村との関係づくりについて整理したガイドブック、事前課題、講義資料、グループワーク資料、目標設定シート、効果測定のためのアンケート票を取りまとめています。なお、いずれの研修資材も、すぐに研修に使用できるものとして作成していますが、各都道府県の実情の反映やカスタマイズが可能となるようにし、自由度を高めています。
フィールド(栃木県)における試行においても、きちんと1つ1つを段階的に受講者が理解し、腑に落ち、自分の頭で考えるというプロセスを重視し、工夫した研修プログラムによって、全体を通じての理解度の向上が見られました。本事業の成果が、都道府県を通じて市町村支援に活用され、取り組みが一層推進することを期待します。
本調査研究では、学識経験者、有識者から成る検討委員会を組成し、その助言等を踏まえながら調査研究事業を進めました。
「地域包括ケア推進に向けた総合的な自治体職員研修・支援体制に関する調査研究事業」 委員名簿(敬称略、委員長以下五十音順)
辻 哲夫 ※委員長
(つじ てつお) |
国立大学法人東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授 |
飯島 勝矢
(いいじま かつや) |
国立大学法人東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 |
岩名 礼介
(いわな れいすけ) |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部
東京本部 社会政策部 部長 上席主任研究員 |
太田 秀樹
(おおた ひでき) |
医療法人アスムス 理事長(全国療養支援診療所連絡会事務局長) |
川越 雅弘
(かわごえ まさひろ) |
公立大学法人埼玉県立大学大学院 保健医療福祉学研究科 教授 |
新田 國夫
(にった くにお) |
医療法人社団つくし会 新田クリニック 理事長
(全国在宅療養支援診療所連絡会会長 北多摩医師会顧問) |
服部 真治
(はっとり しんじ) |
一般財団法人医療経済研究機構 研究部研究員 兼 研究総務部次長 |
藤原 佳典
(ふじわら よしのり) |
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長 |
堀田 聰子
(ほった さとこ) |
慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授 |
宮島 俊彦
(みやじま としひこ) |
国立大学法人岡山大学 客員教授 |
吉江 悟
(よしえ さとる) |
国立大学法人東京大学 高齢社会総合研究機構 特任研究員 |
オブザーバー
栃木県 保健福祉部 高齢対策課・医療政策課
国立大学法人東京大学 医学部 在宅医療学拠点
厚生労働省 老健局 総務課
厚生労働省 老健局 振興課
厚生労働省 老健局 老人保健課
厚生労働省 近畿厚生局 地域包括ケア推進課
厚生労働省 東海北陸厚生局 地域包括ケア推進課