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デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー


デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー


インターネットリサーチ活用フェーズ3
池澤 健治氏 日産自動車株式会社デジタルコミュニケーション事業室

マーケット・リサーチのニーズ

我々がインターネットのWebを上げたのが、実は94年の12月なんです。その前の94年の55月に我々自身が提案をしたのは、次世代のお客様に対してこういうデジタルネットワークの中でどういうふうにコミュニケーションをとるのかということを研究しませんか、実験しませんかと。そのプロセスと結果を通して、第5のチャンネル、販売チャンネルを作りましょうよ、というのが提案をした理由なんです。

ですから、我々自身は日産のオフィシャルページを作るつもりもなかったですし、まったく通常の企業PRのページにするつもりもなかったと。純粋に最初から、車を売る仕組みとしてこれを作りたかったというのがテーマです。
当時、企業が主催するWebページというのは非常に少なかったものですから、非常に好評を博したといいますか、いわゆる通常アクセスが非常にたくさんあったんですね。それを受けて、いろんな商品のPRから始めたんですけれども、それに気づいていろんな部門が、こんなリサーチをしてくれないかと、調査をしてくれないかというのが来ました。

インターネットリサーチの手法

インターネットのリサーチの手法ですが、手法といっても全然違う観点でお話ししたいと思います。リサーチという観点に絞れば、最もメリットのあるのはスピードとコストが安くできるという、その2点ですね。

どういうふうなことをやってきたかといいますと、まず、直接アンケート型。これは、もう何度も言われているように、Webの中にメニューを作って、直接ストレートに聞いて、それから、お客様のメールなり、あるいはいろんな格好で意見をいただくと、そういうスタイルです。これまでやってきたのは、ブルーバードのデザイン調査。これは、開発部門のデザインセンターのほうから、ぜひやって欲しいというのでやったというのが結構あります。

それから、企業イメージ調査。実は本社の企画室から調査依頼をいただきまして、直接メールで特定の人にだけご連絡をして調査をしました。30分で 500人ぐらいの方から、いろいろそのアンケートに対する反応をいただきまして、1時間後に集計/分析をして報告したということで、2日後ぐらいですか、経営会議に使われたという記憶があります。それぐらい非常にスピーディーな調査方法ができると。これは直接アンケート型なので、事前に予測できるので、そういう処理もできるということです。

それから、クラブ運営型。これは最近よくやっているのですが、最終的に我々リサーチというよりはプロモーションの意味合いが非常に強いので、実は、いろんな車についてファン作りのページといいますか、ファン作りをやってみようかと、そういうふうな仕掛けであります。この中で、テラノクラブとか、あるいはシルビアオーナーズクラブとか、いろんな格好でそういうのを作るんですけれども、そこに登録をしていただいて、いろんな意見を聞いたり、我々からいろんな情報をご提供して、その中で反応を見る。これは運営にテクニックが要るんですけれども、ちょっとパソコン通信の世界とは違う、非常におもしろい結果が出ますね。こういう中でお客様自身の動きだとか、どういうふうにお客様同士がコミュニケーションをするのかとか、あるいは、企業に対してどういうオーダーが来るのか、そういうことをつぶさに見ていく。それがひとつのマーケティング、ひとつのリサーチだと僕は思っています。

もう1点は、行動追跡型ということです。これは非常におもしろいんですけれども、一番最初、プリメーラのPRをしてくれないかと。プリメーラの売り文句がたくさんあったんですね。それを、あまりおもしろくないので、工場見学風に仕立てようと。プリメーラを作る追浜工場というのがあるんですけれども、そこの現場に行きまして、工場の方に頼んで、プリメーラの売り文句が「足回りが非常にいいんだ」というのであれば、足回りを作っているその現場、工場のところをページにあげて、なおかつ、そこの検査主任の方が出てきまして、何か一言コメントをしていくと。ちょっと右側に、お客様は、この足回りの良さを購買要因として重要視されますか、重要視しませんかと、そういう簡単な質問項目を設けておくんです。実際にそういうふうに、ずっと足回り、エンジン、インテリア、エクステリア、順番にたどっていくと車が1台できあがる。最後に、「カタログどうでしょうか、要りますか」というふうになっているんですけれども。それで、約束通りカタログ送付を1,000件行ったというようなことがあります。それと同時に、プリメーラを買いたいと思っておられる方が、どういうところに購買ポイントを置いているのかということも一応それで全部分かると。そういうデータを付けて販売に返したことがあります。

ネットワーク上のユーザー像

ここで、ネットワーク上のユーザー像。特にリサーチという観点に立つと、特にこれがいつも論議になるんですが、我々の中では最終的に売りに結び付けたいというところがあるものですから、できるだけ会員制をとろうと。通常のページは会員の方でなくても見れるんですけれども、本当にお客様にふさわしい情報の提供をぜひしてみたい。それは、我々自身はこの中でお客様とコミュニケーションをしたい。このコミュニケーションを通じて、売る仕組みとか、あるいは次の開発すべき車というものを考えていきたいという思いがあったものですから、会員制にしましょうと。最低限のお客様の情報を我々に開示してください。その結果として、我々はおもしろい情報を提供しますよという、そういうスタイルをとっております。

この結果として、これはもうインターネットユーザーの今のプロフィールにそのままぴったりでして、20代、30歳代で約85%。これは97年度ぐらいのデータです。始めた時の94年から95年の初めぐらいは、20代、30代の方で約98%ぐらいを占めていました。最近は、第2のOAブームじゃないんですけれど、電子メールとか何かがいろいろ盛んに企業の中に導入されまして、40歳代とか50歳代の方もだいぶ増えてきましたけれども、それでもやっぱり20代、30代がピークには変わりないと、そういうことです。

これがリサーチの上でどういう結果があるのかというのは、本当にマーケティングをやっている分析者に、どうなんだと聞いたら、彼いわく大丈夫だと。というのは、我々のWebに来ておられる、しかも会員を登録する方というのは、車が好きで、あるいは車の情報をつかみたいがゆえに来ておられるというところがあるわけですね。そうすると、そういう方にいちいちフィルターをかける必要はないんじゃないかと。そういう人たちに直接的に車の情報を提供することによって、リサーチをするなり、あるいは売り込むなりということでいいのではないかということで、ネットワークユーザーのプロフィールというものをあまり気にしないでいこうよと。20代や30代が、10年経たてば30代、40代になり、新しい20代が増えるんだからということで、社内に対して我々が提案したのは、次世代のお客様にターゲットを絞っていると。それを言い訳に、ユーザープロフィールはこれでいいというふうに、今、進めています。

現在、会員の方の数が、約8万人に達しておりまして、始めたのが95年の10月からですけれども、当初は1カ月に 1,000人ぐらいのペースで登録がありました。97年に入りましてから急速に増えまして、1カ月に2,000人から 2,500人ぐらいの規模で増えています。インターネットユーザーというのは非常に少ないと言われていたんですけれども、やはり、この97年に入ってから加速度的に増えているなというのを実感しています。

このサービスの中でどんなことをやっているかといいますと、カタログの送付とか、あるいは見積もりサービスができるとか、いろんなことをやっています。これも非常におもしろい結果があるんですが1点だけいいますと、現実に見積もりがいろいろ計算できるようになっているんですが、そういうのを通して、もともとお客様の最低限のプロフィールは登録していただいているので、詳細見積もりが欲しいというボタンを押しますと、販売会社に見積もった車の情報が伝わるようになっているんですね、自動的に。このサービスを始めたのが今年の1月からなんですけれども、現在約600件のそういう情報が販売会社に行きまして、既に車の成約に結び付いている方が65人おります。約1割ですね。非常に確度の高い、お客様への情報提供とプロモーションになっている状況です。

ネットワーク上のリサーチの最終目的は?

ネットワーク上のリサーチの最終目的は。これは非常に重要なことだと思うんですね。私は一番最初に、この中で車を売るんだと。新しいネットワークにすると言ったので、我々自身は非常に目的がはっきりしているんですけれども、きょうここにいらっしゃっている方の中で、どうやってこのWeb/インターネットを活用しようかという方と、それを受けて、どういうふうにクライアントの方にやっていこうかというプロダクションの方というふうに、大きく分けるとそういう感じかなと思っておるんですけれども、この最終目的を持つことは非常に重要だと思います。

我々自身は、少なくともインターネットあるいはネットワーク上でのリサーチというのは、基本はマーケティングだというふうに思っています。ですから、リサーチというのを一度やるとすぐに分かるんですが、これはすぐにマーケティング、要するに、車を売る戦術とほとんど一体になってしまうんですね。商品を売り抜くための戦術づくりそのものですと。それをリアルタイムでできるというようなことです。

これはどういうことかというと、その下に書いていますけれども、通常、我々はメーカーですから、調査をやって、企画をやって、開発、調達、生産があって、宣伝をやって、それから販売という、そういうプロセスを踏むんですけれども、実は、一番最初に我々が営業に提案したのは、販売プロセスというものをデジタル化しませんかというのがひとつの提案になるわけですね。こうすることによって、販売から調査、この一連のビジネスプロセスをすごい速さで回すことができる。お客様のニーズをリアルタイムで拾って、リアルタイムに商品を提供していく、そういうことができるようになるわけです。

これからのマーケティング

リサーチ=マーケティングであると言ったので、これからのマーケティングはどうするのかということなんですが、売るプロセスの戦術から、顧客満足度維持の戦術に転換することだと、それがひとつワン・トゥ・ワン・マーケティングの本質ではないかなと思っています。

要するに、調査とマーケティングを兼ねたような、「売る、売る、売る」という、そういうプロセスばかりお話ししてきたんですが、実際に運用してみて、お客様から返ってくる言葉の中に、買った後のコミュニケーション、これが非常に重要なんですよねという、そういうお客様の反応があったわけです。これは非常に重要な点を突いていると思うんですが、車を買うという行為は、ごく短い限られた時間しかないわけですね。それに比べて、それ以降、お客様が車を購入してから使用される期間というのは、現在ですと、かなり延びまして、一応5年間ぐらい使われるわけです、平均して。じゃあ、その5年間をどういうふうに付き合っていくのかというのが非常に重要になってくると思います。そういう意味で、デジタルネットワークの世界をそういうものに転換をしていかなきゃいけない。売るということが始まりではなくて、買っていただいた後が始まりであって、次に買っていただくまで、そのプロセスをどうこの中で実現していくのか。その中にリサーチを兼ねた次のマーケティングというのがあるんだというふうに思います。

顧客一人一人に合ったコミュニケーション戦略と我々は言っていますけれども、そのひとつが今年の1月のキューブから始めた『V』サービス。我々のページに、毎日毎日すごいアクセスがあるんですけれども、そういう方は、自分で回線費用を払って、自分でページの中で見積もりをやって、車をいろいろ選択してとやってくださるわけですね。ですから、これは非常に申し訳ないと。車を買っていただいたお客様にインターネットの接続環境を無料提供してしまう。現実には、車を買っていただくと、3年間、接続料は無料でいいですよと。もうひとつは、買っていただいた車名入りの電子メールIDを差し上げましょう。これは、まさしくインターネットプロバイダーに日産自動車がなるということでして、この戦略をとるために、我々の部屋はプロバイダーの資格を申請しまして、メールの発行とか何かをやっております。

リサーチとマーケティングの一体化

まとめますと、ひとつは、顧客の行動情報を基にしたダイナミックな商品情報の提供。ですから、リサーチとマーケティングが一体化するというふうに判断をした途端に何が必要かというと、従来のマーケティングあるいはマーケターの方がやっている、調査をして、それに基づいてマーケティング手法を考えるのではなくて、まったく違うスキルを持ったマーケティング能力といいますか、そういう戦術とか戦略を立てる能力が必要になるんじゃないかな。あるいは、それに合わせたツールが、また必要になるでしょうと。きょう、会場の外でいろんなツールの紹介があるそうですが、ああいうものもひとつだと思いますし、我々自身は、Webのページが顧客の行動に従ってダイナミックに生成していくような、そういう新しいツールというのをやっぱり開発する必要があるのではないかなと。ただWebのページを見せて、紙芝居のように見せて終わりという世界は、たぶんこれからは通用しないでしょうと、そういうことです。

もうひとつは、これは、先ほど言ったビジネスプロセスが非常に単純に速く回せるので、顧客のニーズに合った商品のリアルタイムな提供、こういう実験を始めなきゃいけない。昨年10月に、モーターショーを契機に、お客様だけのマーチカブリオレを1台作りましょうと作ったんですが、参加者が200名ぐらいありまして、最後に1人だけ残ったといいますか、いろいろフィルターをかけるというのはおかしいですね、いろいろコミュニケーションをしながら1台、本当にお客様が望んだカラーリングにして、室内のあれにして作ったんですが、そういう実験。小ロット生産と販売の仕組み、そういうものと、これからこういうものをリンクさせていくことが必要だろうと。これによって、まさしくリサーチとマーケティング、それから生産、開発みたいなのが一体化していくんだろうと、そういうことです。

そういうふうなことを受けて、我々のWebのページは羅針盤と呼んでいるんですが、今後とも、あらゆるマーケティングの実験場だと思っています。いろんなことをやっては、失敗もたくさんするんですけれども、こういう中でお客様とのコミュニケーション、特に、次世代のお客様とどういうふうにコミュニケーションをして、企業はそういうお客様とどう付き合っていくのかということを、本当にちゃんとノウハウ等を蓄積しなきゃいけないと、そういうふうに思っていまして、今後とも、こういう中で、リサーチなのかマーケティングなのか、それを一体化して何かSPをやるのか、あるいは、本当に売るチャンネルとしてインターネット販売をやるのか、大きな実験場だと思っていろいろなことをやるつもりでおります。


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