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デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー


デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー


インターネットリサーチ活用フェーズ2
山崎 直実氏 資生堂株式会社 社長室

ネットワーク・リサーチの歴史

これは資生堂がやってきた歴史です。93年、それ以前からあったんですけれど、いわゆるBBS、電子会議室システムというものを使いまして、そこで何人かのお客様を集めていただいて、いろいろ調査をしていく。そういうのを最初の頃に活用していました。これは、今、ドゥ・ハウスさんのメインというメニューの中でやっていますけれども、それは今も使っております。

94年頃からNIFTY-Serveのほうのシステムを幾つか利用させていただきました。一般的なのは、いわゆるOPENフォーラム。化粧フォーラムというのがNIFTYにございまして、その中で商品を使ってみて感想アップしてもらうというのをやっています。
それからアンケートシステム。これは、NIFTYの中のトップページで、例のテレカ100名というやつです。あれでアンケートをやりまして、回答をいただいた方の中で、再度メールを送りまして、「今後いろいろ調査にご協力いただけますか」という形で募ります。そうすると、だいたい半分ぐらいの方から「いいよ」という返事をいただきまして、その方に向けて、再度 Patioに来てもらって、そこで調査をやっていく。いわゆるクローズな電子会議室です。こういうことをやりました。

96年ぐらいからインターネットが立ち上がってきまして、資生堂のホームページ、サイバーアイランドというのがありますが、そこで会員を組織化しています。現在1万5,000名ぐらいで、約8割が女性という、インターネットの中では非常に珍しい状態になっていますけれども。その1万5,000名の会員さんの方にいろいろ調査をこちらからお願いしたり、たまにはダイレクトメールを送ったりと、そんなふうな動きを、今やっています。
電子メールサービス活用と書きましたけれども、これは富士通さんのiMiネットというものを使わせていただきまして、そこで一般ユーザーの人、諸々に向かって電子メールでアンケートをとっていくとか、そういったことを今もやっています。

「光る言葉」に魅せられて

BBSの時代、電子会議室等を使っていた時代ですけれども、「光る言葉」に魅せられて、というのが一番のキーワードになります。いわゆる普通の質問紙調査、質問があって以下の選択肢から答えてください、というようなこともやってみたんですけれども、どうもやっぱり電子会議室には、お間抜けなんですよね。20人ぐらいが、1、2番。2番の質問は23。4番はAとか。ただ、文字がずらずらと書いてあるだけで、見ていても何もおもしろくない。集計して、それで何%と出すんですけれども、どうもそういうんじゃないなと。フリーアンサーがやっぱりすごかった。これは、皆さん、よくご存じだと思いますけれども。そんなのを93年は感じまして、だったら、はじめから全部フリーアンサーでやろうと。質問紙調査してもしようがないから、フリーアンサーで全部いっちゃおうと。
で、書かせてみると、もう、すさまじい言葉のシャワー。大変なんですけれども、読むのが。1,000ぐらい、消費者の生の声というのを浴びていると、自分が今まで考えていたことって全然ウソだなと。会社の中で背広を着て仕事をやっていても全然わからんぞ、これはと。そういうふうに意識が変わってきます。まさしく 千の言葉のシャワーを浴びる。そこにあるのは、シズル感そのものですよね。生活者の生活の一場面をまるで見るような、「商品て、そうか、こういうふうにお客さんは使っているんだ」という、そのシズル感をまざまざと見せつけられる。

その中で、我々商品開発マンは何やるかというと、「光る言葉」を探します。お手元のテキストのほうには、スリーシグマと書きましたけれども、調査をやっていて、いわゆる最大多数、一番多いボリュームゾーン、正規分布のど真ん中の人たちがどういうことを言っているのかなというのを把握しますが、それをここでは捨てます。要りません。100ぐらい読んでいると、だいたい90人ぐらいがほとんど同じような内容を言っている。そんなものはどうでもいいやと。スリーシグマから外れる人たち、ほんのわずかな人たち、ほんの1人だけ特別なことを言っている、今までと違うことを言っているなという人だけを見つける。その人の言葉というのは光るんですよね。そこに商品開発のネタ、ヒントがあるというふうに感じました。むしろ、そこから新しいアイディアを考え出していくというふうにしています。

コミュニティー・リサーチ

次に、NIFTYの時代に入りました。クローズな電子会議室ですと、先ほどのBBSと同じなので、ここではむしろオープンな場面というのを想定します。
一言でいえば、こういう感じですね。コミュニティー・リサーチという言葉がいいのかどうか分かりませんけれども、調査者がいます。私です。そこが何かのネタを投げ込みます。電子会議室の中ですから、それにいろいろ反応する人がいる。特に一番活発に反応してくれる人、ブルーの人たち。Active Memberですね、いわゆる。それから、少し回数は減りますけれども、グリーンの人たちがいる。色が薄くなってきて、最後、白、Read Only Member、ROMとかいいますけれども、読んでいるだけの人というふうな、こういう形態ができあがってきます。私は、時々ネタを放り込むだけ。それに応じてユーザーの方が、それぞれいろいろ活発に議論してくれている。時々議論があっちへ行ったりこっちへ行ったりする。こちらも時々ネタを投げ込んだり、新しい刺激を放り込んだり、そうすると、また新しい反応が起きあがってくると。こういうふうなネットワークが、刻一刻と変わりながらも起きます。
一度、商品開発というものに実際に参加してもらうというふうなことで、一回会議室をやりました。最初のうち、自分たちのニーズとか生活の場面とかというのをどんどん発表していってもらって、それをまとめていって、「例えばこんな感じ、どう」みたいなコンセプトをこちらから投げ込んでみる。また、それをいろいろ議論していってもらう。だんだんやっていくうちに幾つかコンセプトが絞り込まれまして、「じゃあ、こんな感じの商品なら」「ああ、それいいね、いいね」みたいな話でだんだんみんながまとまっていく。

次の段階で、いよいよ、パッケージだとか、もちろん中のパフォーマンスだとかというもの、諸々を評価していく。とすると、「いいね、いいね」と言っていた人たちは、悪いパッケージの案を見ても「いいね」と言ってしまうんですよね。既に自分が商品開発マンの一部になっちゃっているんです。ユーザーという視点から離れて、自分の気持ちが関与しすぎちゃっている。これはだめなんで、我々としては、うれしいんですけれども、冷静な目で判断しなきゃいけないので、全とっかえします、メンバーを。商品開発のコンセプトまでで、「ありがとうございました」と。「じゃあ、次の方、どうぞ」という形で、新しいメンバーに入れ替えてパッケージを見せていかないと、あまりにも気持ちが、感情が逆に移入されちゃっている、そういうふうな場が形成されます。
そういう形で、このコミュニティー。いわゆるグルインが生活モードで、会場モードでなくて生活モードで電子グルインができてくる。刺激を与えると反応が次々と起こる。その反応が、また新しい刺激となって新しいものを生み出していく。やがて場が形成されていく。しかし、あまりにも場が形成され過ぎちゃうと、どこかで一回全とっかえしないと、冷静なリサーチという面だとちょっと不具合があるなと、そんなふうな経験がありました。

NIFTYフォーラムSYSOPの運用ノウハウ

そういうふうにやっていきますと、ひとつ、私の中で疑問が生まれました。電子会議室で様々な意見をもらえて、様々な新しい発見があるんですけれども、会議室の運営というのはひとつテクニックが要ります。
ひとつは、自己呈示。感情表出と書きましたけれども、いわゆる自分のキャラクターというものをズバリ出しちゃうこと。
それから、自己呈示、もしくは自分の属性ですね。自分がどういう人間であるかという属性というものを出してしまう。その時に、教えるではなくて、むしろ自分の弱さというものを、自分の属性の持っている弱い部分を素直に出してしまうこと。
それから、対人配慮として、PushとPullと2つ書きましたけれども、まず、自分の自意識というもの、自分の目的とか、そういったものを、まず捨ててしまうこと。調査でいえば、仮説というものを前に出しちゃったらだめなんじゃないかな。むしろ仮説というのは書かないほうがいいかなと。それから、席を用意するというのは、これは相手の発言がしやすいように、相手がどういう人か分かっているのであれば、わざわざ「このへんは専門家の何とかさん、詳しいんじゃないですか」みたいに振ってみる。相手の席を用意するです。

これが一番大事なんですが、拡張性創造性と書きましたが、意見を集約化させない。相手が違う意見を言ってきたら、それを一旦取り込んでみる。あるいは、相手が反論してきたらそれをすり抜ける。あるいは、相手が新しいことを言ってきたら、その連想を更に広げてやるといったコラボレーション、競争ですけれども、意見を集約させないで拡散させていって、新しいことを創造させていく。そういう言葉の投げかけ方をしています。まとめようとしない。どんどん議論を発展させていっちゃう。そういうやり方です。

それから、3つほど、いわゆるテクニカルな部分ですけれども、口語調、言葉自体は軽くていい。ただし、あまりなれなれしくしないような距離感、ある一定の人間関係の距離感というものは持っておく。
書き方として、キーワード化・体験報告ですけれども、何か響くような言葉、中島みゆき風の歌詞ですけれども、そういう新しい言葉というのを開発してみる。あるいは、目に浮かんでくるような情景描写の言葉というのをつなげる。ビジュアル言語と書きましたけれども、そういう書き方をする。
もう1個が、いわゆるフェースマークと、あるいは段落を切ってみたり、2、3行で切ってみたりというようないわゆる視覚的な配慮、非言語表現というものを心掛けていく。
この8つのキーワードで、説得するとか説明するではなくて、情報を与えるではなくて、むしろ情報を共鳴させていく。日本総研の田坂さんが言葉として使っていますけれども、いわゆる情報共鳴型というコミュニケーションのやり方、このテクニックを、どうもシスオペたちは使いこなしているなと。実際に、これで会議室を運営していくといいなというふうに感じます。

会議室運営は何のため?

そういう形で、特に会議室運営をやっていくのに一番大事な点というのは、自分の弱さというものを出していく。分からんことは分からんと。「へえー、そうだったんですか」と素直に聞いてしまう。
それから、仮説というものを初めに頭に浮かべて、それをどんどん投げかけるのではなくて、自分のそういったものを抜きにして、まったく白紙の状態から入っていって、素直に相手の心に入っていく。
それから、相手の意見を取り込み、すり抜け、連想させていく。こういうふうにしていって意見を集約化させずに、逆に拡散させて、創発させていく。そして新しいキーワードとかコンセプトとかというのを見つけ出していくというふうな作業をしていくと会議室というのは非常にうまく回るなというふうに感じました。

ただ、問題は、担当者がめちゃくちゃ忙しくなるんです、これをやると。これは、まさしく調査会社さんにお願いしてやってもらうわけにはいかない。自分自身が、マーケター自身が自分でやらないといけない。自分で会議室を毎日こまめにチェックして、レスを付け忘れたりすると、すぐ皆さん、冷めちゃいますので、毎日のようにコメントを書いていかなきゃならない。本来の業務という言い方は変ですけれども、企画を考える立場としては、調査をすることがメインじゃないので、調査をすること自体が仕事じゃないので、そっちのほうに割かれてしまうということで、めちゃくちゃ忙しくなってしまう。こういう今のところデメリットがあります。

グローバル・リサーチ

最後、インターネットをやっていて気がついたのが、グローバルには一番強いなという点です。AIPさんという会社があります。アジア各国のインターネット・サービス・プロバイダー、ISPを結びまして、そこで調査等をやっている会社です。台湾とタイとやったんですけれども、各国のISP自体がリクルーティングしてくれます。日本のサービスプロバイダーと違いまして、アジアのほうのサービスプロバイダーというのは、むしろ自分の会員さんに対してどういうコンテンツを届けるかで金を得ていくというふうな事業です。従って、モニターが全部揃っている。そこでリクルーティングをお願いしまして、こちらから質問紙を一個、東京から送ります。翻訳してもらって3日から4日。質問紙をWebに掲載して3日から4日。フリーアンサー等も込めて回答期間をだいたい3日間ぐらい置きまして集計しちゃう。ここまででだいたい10日間ぐらい。せいぜい2週間。こんなものでアジアの各国の状態が一遍に出てきちゃう。これが一番インターネットを使った速さかなと。
費用的には、この時、実際に現地へ行って調査をして、設計をして打ち合わせをしてやっていくと、だいたい2、3カ月かかって、その間に我々も何回か現地に行って打ち合わせをして、調査会社さんに頼んでみたいにやっていくと、費用的には3分の1かぐらいで終わっちゃいました。

ここで単純に、早い、安い、ということだけで喜んでいるわけではなくて、これをやっていて気がついたのは、質問紙調査だけではなくて、当然、Webですから画像も使える、音声も使える、テレビコマーシャルを見せて、こんなのはどう思いますかというふうな話もできますし、お客さん自身に、各国での自分がいつも買っている店の写真を送ってくださいと。デジカメに撮ってメールに添付してくださいとか、あるいは、私、化粧品メーカーなんで、洗面所の写真を撮って送ってちょうだいとか、そういう調査もできます。
そういう調査をしていくと、その人の家の中が見えてきます。アジアの人々の生活の場面が見えてくる。仕舞いには、「こんなのでちょっと口こんでちょうだい」というと、口コミもやってくれるんですよね。それがオープンです。特定の人だけじゃない。ISPサービスプロバイダーに登録している会員さんであれば誰でも、非常にオープンな環境になっている。
気がついたら、これは調査じゃなくて、ティーザー広告じゃないかなと。今度こういう商品が出るんですけれど、どう思いますかという、この宣伝を見てどう思いますかというのは、これは正しくティーザー広告以外の何物でもないなというふうな印象がします。仕舞いには、口こんでくださいと。彼女たちが口こんでくれますから。そんなふうな性格が出てきます。
それから、もう1点。資生堂の場合だったかもしれませんけれども、アジアのインターネットユーザーというのは、ある意味だと高学歴層で、高所得者層という形で、資生堂にとっては、ある意味ではリアル購買層に当たる。だから、非常に日本とはちょっとバイアスのかけ方が違ってきて、逆にインターネットユーザーというのは、うちの会社にとっては、ある意味ではリアルな購買層につながっていたというようなバイアスがありました。

まとめ

まとめです。私の言いたいことはひとつ。リサーチではなくて、もはや価値創造へと向かっているんじゃないのかなと。「2拍子のマーケティング」という言葉があります。これは、ブライアン・グラフィックスという会社、大阪にありますけれども、そのハヤシさんという方がよく言っている話ですけれども、今まで、Plan、Do、Seeという3つのアクションで動いていました。計画をして、何かを実行して、その結果、リサーチをして、指示して、またそれをもとにプランをしていくというふうなサイクルです。

ところが、インターネットで調査をしていきますと、Planしている暇がない。Doして、考えながらDoしていって、その反応がすぐ見えてくる。リサーチをする。そのリサーチです。Seeをする。その時は、もう既に考えている。というような、今まで、調査をする部署、それから考える部署、それから実行部署、営業部隊というような、いわゆる野球のような、そういう動きじゃなくて、サッカーと同じ。脊髄反射でマーケターが現場でその場で即時声を聞き、即時対応をしていくと。そういうふうな流れを、スピードでしていかないと間に合わないのかな。逆に、インターネットがそういうことをさせてしまっているツールなのかなと。2拍子のマーケティングとハヤシさんが言っていますが、非常にいい言葉だなという感じなので、私、きょうは引用させていただきました。
それから、先ほどいいました通り、メールを使ってきまして、グローバル展開。One-to-Oneでグローバル展開をしていく。今までのように単純に日本国内だけのリサーチという話ではない。まさしく世界中の人々の生活比較をして、その中で、日本なりの差とか価値とかというものを見出さなきゃならない。それができるようになったんだなと。
それから、もうリサーチを超えちゃっているんじゃないのかな。ずっと言いますけれども、商品開発のコンセプト開発のほうとして私は使っていますから、そういった意味です。定量調査を否定するわけじゃないんですけれども、調査をするのではなくて、我々はそこから新しい価値を見出してほしい。お客さんもやりとりの中から新しい自分のニーズを発見していく、新しい価値を見つけていく。両者ともに全然気がつかなかった新しい価値というものを、リサーチというか、プロモーションというか、対話の中に発見していくんだ。そんなふうに感じています。もう、新しい局面にいよいよ入っていくのかなと。そんな感じがいたしました。


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