GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー

デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー


デジタル&ネットワーク・マーケティングセミナー


インターネットリサーチ活用フェーズ1
福島 常浩氏 味の素株式会社 食品開発部

インターネット調査の問題点

インターネット調査の問題点というものが大変鋭く指摘されてまいります。やれ対象者の代表性がないとか、回答がデタラメだとか、使っている人が少しおかしいんじゃないか、いろんなそういう批判がありまして、そういうところを真剣に見ていくと、ほとんど役に立たないというか、かなり致命的な欠陥を持っているような錯覚に陥るような議論が世の中で頻繁にされております。

しかしながら翻って考えると、本当に実際の商品開発の中で厳密な代表性というものが要求される場面というのはどのくらいあるだろうか。もちろん、選挙の予測をやろうという話になりますと、厳密な代表性というものが要求されてまいりますが、でも、本当に開発の中でそういう代表性が必要になるということは極めてまれ。場合によっては、悪い言い方をすると、仮説が絞り込まれていない場合ぐらいなんじゃないの、というような話を先ほどちょっとしておりました。

逆に、私のように使う側の立場から申しますと、今の手法と取り替えたら、どこがだめだ、ここがだめだという議論ではなくて、むしろ、これの独特の良さというのを生かしていくという使い方がないだろうか。これは完全に使う側の論理でありまして、逆に言えば、いいところがなければ使わなくていいと、こういう発想であります。

導入の契機と評価

マーケティングの考え方から、インターネット調査は、現在上手に使われているという方々の話を聞いたり、いろいろ読んでみたりという中で、トライアルとリピートに、どうも何か違いがあるぞと、こういうことに気がついてまいりました。
まず最初は、早い、安いと。3日ぐらいで 1,000人ぐらい集まるらしいとか、1票が数十円だとか、そういう言葉にひかれて、時間がないとか、お金がないとか、どうもそういう理由で手を出されるという方が多いようであります。

しかしながら、ここだけのメリットを感じていると、なかなかどうも定着していない。逆に、定着している方にお伺いしましたので、それだけじゃないぞということで、具体的にそこから取れてくる情報が、いわゆる従来型のメディアから取れてくる情報とだいぶ質的に違っているようだ。ここでは、生活者の「生の声」というふうに書かせていただきましたが、実は、もうちょと質的に別の言い方もできると思っております。
また、こちらのほうの長所というものが評価されますと、その後、継続的な利用、それはある意味で付加価値を生み出すような利用に結び付いているというような状況が見えてまいりました。

インターネット調査の固有価値

そういう中で、インターネット調査の固有の価値というのはどういうふうに評価されているのだろうかということであります。簡単に2点でまとめてお話をさせていただきますが、まず1点目としましては、ワイヤードな関係ということであります。
ちょっとお伺いしたいのですが、今日お仕事に来る時に膝を擦りむいた方、いらっしゃいますでしょうか。たぶんいないと思うんですが、だいたい10年に1回ぐらいは擦りむくこともあるかなと思うんですが、そうすると、抽出の効率が3,650分の1という計算になります。ここの会場は 200人ちょっとだと思いますので、お一人以上いらっしゃる確率というのはほとんどないわけですけれども、実際問題としまして購入経験率が年間で1%、もしくはそれ未満という商品も、当然市場には成立しているわけでございます。
そういう調査を、具体的にどういうふうにユーザーさんの声を集めていったらいいだろうかということを考えたときに、非常に時間もかかりますしコストもかかります。しかしながら、ワイヤードな関係のひとつの特徴としまして、そういう非常に稀な条件でも、多数そういう人が集めることができるということであります。
もうひとつは他者を介在させない双方向のコミュニケーションがインターネット調査の場合は成立しているということであります。本当は2、3人介在しても構わないんですけれども、基本的には質問をされる側と答える側、もしくは会話をする両名というのが必ず1対1の関係で対応している、そういう関係が成立しているということであります。

2点目は、生活者感覚との同一化ということを指摘させていただきましたが、いわゆる定性的な情報の場合、例えばリアリティがあるとかないとか。そういうような評価をするかと思いますが、どうも具体的なインターネット調査の事例等を見てまいりますと、それをもっと超えているような関係が成立しているんじゃないだろうかということでございます。従って、対象者との同一化、つまり、相手の気持ちみたいなものに非常に近い立場に立てるという特徴があるのではないかなというふうに思います。

調査例(従来法)

次に、調査の例としまして2つの事例をお見せします。好きなアルコール飲料と、その理由をとりましょうというと、「あなたのおすきなお酒を選んでください」こんな聞き方になるかなと。ずらずらずらっとプリコードして丸を付けます。それから、丸を付けたもの、それがなぜ好きなのかを答えてくださいと。この情報を集計すると、どういう結果が出るでしょうか。やはりビールの好きな人がすごく多くて、2番目が焼酎とかウイスキーとか。その理由は、例えば、喉ごしと香りが1番で、2番目が雰囲気がいいとか、カロリーというのも意外と大事だよとか、そんな情報が出てくるのかもしれません。
従来法の調査というのは、基本的に仮説をきちっと事前に固める、ある言い方をすれば、仮説を絞り込んでその少数の仮説を検証するために行われている、というのが教科書的な調査のやり方ではないかなと思います。

調査例イメージ

これは、ある会社さんの事例なのですが、左側のところ「こんにちは」と書いておりますが、「どこどこの福島と申します。あなたの何とかを教えてくださいませんか」、こういう書き出しであります。先ほどの質問文をちょっと思い起こしていただきますと、従来の調査としては、通常考えられないような聞き方、もしくは、やってはいけないと言われているような聞き方に近いのではないかなと思いますが。ただ、驚くべき事実としまして、右側の回答であります。これはたまたまフルーツビールにしたんですけれど、「フルーツビールって知っている」。これは関西弁なので、私、関西弁をしゃべれませんので読みませんけれども、先ほど取ろうとした情報の全てがこの中に既に入っております。好きな飲料というものがここから特定することができますし、選考のポイントということを評価することもできます。

それじゃ同じじゃないかというお話かもしれませんが、果たして、こちらの情報はそれだけに限定されるものでしょうか、ということであります。これを見て、非常に回答が曖昧だとか、いいかげんに書いているんじゃないかとか、そういうふうに思う方もいらっしゃると思いますが、この人がフルーツビールというのがどのくらいの思い入れで好きなのか、もしくは、どういうオケージョンで飲んでいるのか、そこにどういったこだわりを持っているのか、ということがいろいろと想像できるのではないかなということであります。

インターネット調査の特長

今までのお話ししました内容から、インターネット調査の特徴ということを簡単に2点にまとめていうと、1つ目としましては、短時間・低コストであります。ただし、短時間・低コストのままでインターネット調査を評価すること自体は僕自身は危険なんじゃないかなと。
むしろ重要なのは、そこにある情報の質的な相違ということであります。実際にいろいろお伺いしてみますと、やはり、オープンアンサーの内容が極めて従来法の調査と異なるということは、皆さん異口同音に指摘されてまいります。あたかも友人とお話をしているような、ざっくばらんな、そういう回答をしてきます。

これは、ある心理学の方とお話をしていたのですが、実際に、会場に集めて調査をしても、その時はその人の心の背景というものが会場の背景になっておりますので、本当にその商品を使っている時のこと、例えば食品でいえば調理している時、食べている時の状況というのは実は再現できない。ところがインターネット調査の場合、回答は多くの場合家庭の中、オフィスの中もありますけれども、それが消費の場面に非常に近いということであります。

従来からもそういう調査手法はあって、例えば自動車の評価をする時に、実際に車に同乗してデータ収集をする。台所での調査なんかもそうですけれども、実際の生活のリアリティの近くでやるということが非常に情報の質的な部分を変えてくる、ということはかなりはっきりしているというようなことでございます。気軽に日常的な情景を描き出すという言葉を使わせていただきましたけれども、どうも、この辺がインターネット調査で取れる情報の質的な違いに関係しているんじゃないだろうかというふうに思っております。

今後の活用(例)

最後になりますが、今後の活用(例)ということで、これはあくまで、まだこういうことを具体的にどういうフレームでやるということではないのですが、例えば2番目のポジショニングの問題、通常、定量的な手法でやられることが多いですけれども、実際の生活場面の中で消費者の心理状況に立ってポジショニングというものをやる方法はないのだろうか。

3番目のロイヤルティーの測定というと、マインド・シェアとか、第一位想起とか、いろんなやり方をしますけれども、そうではなくて、こういった定性的なやりとりの中から、先ほどの例ではありませんが、その人のこだわりの強さみたいなものを測っていく。こういうことがもしできたら、大変おもしろいなと。しかも、これは、今までの方法としてはなかなか難しかったことなのではないかなというふうに思っております。

私自身、インターネットを年間何百本とこなすようなそういう立場ではございませんし、そういう知識もないわけですが、現在一ユーザーとして見た時に、どうもインターネット調査というのは、今後マーケティングの全体のプロセスを再構築していく可能性も秘めているのではないかなというふうに思っております。


次回のセミナーのスケジュールやサイバービジネスの最新動向は、「サイバービジネスの法則集お知らせメール(登録無料)」でお届けしています。講演や受託調査も行っていますのでお問い合わせください。