GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

第2回ケータイASPベンダー調査結果

~企業のケータイ活用は本格的な段階へ~

2007年12月
株式会社富士通総研

パケット定額制の普及に伴い、携帯電話向けのWebサイトを開設する企業が増えてきた。以前は、キャンペーンやクーポンなどの集客を目的とした“ケータイプロモーション”に限定して利用する企業が多かったが、最近では、商品やリクルートなどの情報を掲載するパソコン向け企業サイトと同様の使い方や、通販を行うケータイショッピングサイトとしての利用も増えてきた。そこで、2004年6月の「ケータイASPベンダー調査」のフォローアップとして実施した、ケータイ向けASPサービス提供ベンダー11社のアンケート調査結果から、ケータイ活用の現状とベンダーの方向性を分析した。

調査結果要旨

  • ケータイASPベンダー11社の契約数合計は2007年9月末現在で17,853件にのぼり、回答社は異なるが、前回調査結果と比較すると、この3年半で約7.5倍に成長したことになる。この利用企業増加の背景には、パケット定額制の普及によりパケット料金を気にしないケータイユーザーが増え、企業もケータイ活用に積極的に取り組み始めたことがあると考えられる
  • 契約数の多い業種は、2004年に行った前回調査結果同様「流通・小売」や「飲食」が上位という傾向は変わらないが、前回少なかった「ファッション・アクセサリー」、「交通・レジャーサービス」の契約が増えており、活用する業種にも広がりが見られる
  • ケータイASP市場の契約数は順調に拡大を続けるが、ベンダーは厳しい環境におかれている。前回調査対象企業23社のうち、同一会社で同じサービスを提供しているのは8社に留まり、残りの15社では、サービス内容を変更したり、サービスを中止していた。携帯向けサービスは技術革新が早く、ASPサービスは常時開発して新機能を提供する必要があるので、PC向けのASPサービスとはビジネス構造と収益性が異なっているようだ
  • 各ベンダーのサービスを機能面だけで比較すると大きな差は無いが、利用企業のASPベンダーの乗り換えも増えており、利用企業の目的に応じたサポートが出来るか否かでサービスが選択されているようだ。ケータイASPベンダーにとっては機能だけでなく、分析支援やコンサルティングも今後重要な提供サービスとなりそうだ

この調査に関するお問合せ先

株式会社富士通総研 流通・サービスコンサルティング事業部 田中秀樹、石本昌子
icon-telephone 電話: 03-5401-8405
E-mail:fri-cyber@cs.jp.fujitsu.com

調査レポート

調査結果

ケータイASPサービス契約数は3年半で7.5倍に増加し約1万8千件に

まずケータイASPベンダーのサービス契約数推移から市場の全体像を見ていく。ここで言うケータイASPサービスとは、携帯電話向けに、電子メール配信、会員登録、Webページ作成等の複数の機能をASPで提供する有料サービスと定義し、単なるホスティングやパソコン向け電子メール配信を中心とするサービスは除いている。契約数のカウントは、同一企業で複数部署が個別に契約している場合は複数でカウントした。

ケータイASPベンダー11社の契約数合計は2007年9月末現在で17,853件にのぼった。回答社は異なるが、前回調査結果と比較すると、この3年半で約7.5倍に成長したことになる。対前年比を見ると、2005年は202%、2006年は197%、2007年は155%と徐々に低下しているものの依然として高水準を維持している。あるケータイASPベンダーによると、前回調査時点から利用している企業のサービス継続率は高く76%に達するという。継続利用している既存企業に新規利用企業が上乗せされる形で契約数が伸びる形となっており、今後もしばらく市場は拡大していきそうだ。


図表1 ケータイASPベンダーの契約数推移

契約数推移



利用は前回同様「流通業・小売業」や「飲食」が多いがファッションなど他業種にも広がる

この利用企業増加の背景には、パケット定額制の普及によりパケット料金を気にしないケータイユーザーが増え、企業もケータイ活用に積極的に取り組み始めたことがありそうだ。契約数の多い業種は、前回同様「流通業・小売業」や「飲食」が上位という傾向は変わらないが、前回少なかった「ファッション・アクセサリー」、「交通・レジャーサービス」の契約が増えており、活用する業種にも広がりが出てきた。


図表2 契約数の多い業種(5つまで選択)

契約数の多い業種



ケータイASPサービスの利用目的は店舗への来店誘致

契約企業の主な利用目的を一つだけ選んでもらったところ、「店舗への来店誘致」がもっとも多く、「会員獲得・管理」が続いている。契約数の多かった流通や小売業などの業種で店舗と連携したマーケティングのツールとしてケータイASPサービスが利用されているということだろう。日本マクドナルドの「“トクする”ケータイサイト」の登録者数は200万人を超えると言われ、大規模な人数を対象としたケータイキャンペーンを実施するケースが増えている。ケータイASPサービスにおいても「数百万規模の顧客リストを保有する企業の利用が増えた」と指摘するベンダーもあり、ケータイ活用は本格的な広がりを見せる段階に入っているようだ。


図表3 利用企業の主な利用目的

利用企業の主な利用目的



ビートレンド「BeMss」が契約数NO.1に

契約数が順調に拡大を続けるケータイASP市場ではあるが、ベンダーは厳しい環境におかれているようだ。前回調査で契約数が最も多かった株式会社リクルート(その後、株式会社ネクスウェイとして分社化)の「MO-ON」は2007年3月にダブルクリック株式会社に事業譲渡された。また、前回調査対象企業23社のうち、同一会社で同じサービスを提供しているのは8社に留まり、残りの15社では、サービス内容を変更したり、サービスを中止したりしていた。ベンダーからは、「携帯向けサービスでは技術革新が早く、ASPサービスは常時開発して新機能を提供する必要があり採算は厳しい」との声も聞かれ、PC向けのASPサービスとはビジネス構造と収益性が異なっているようだ。

この厳しい市場で契約数No.1となったのは「BeMSS」をサービスするビートレンドだ。前回トップの「MO-ON」と「Mobile MK」の二つのサービスを提供するダブルクリックを2006年~2007年にかけて抜いてトップになった。多くの機能を揃え、幅広いニーズに対応した点が契約数増につながったと考えられる。


図表4 ケータイASP契約数上位ランキング(2007年9月末時点)

NO会社名契約数
1ビートレンド株式会社6,702
2ダブルクリック株式会社4,000
3株式会社エフ・イー・エス3,800
4NECモバイリング株式会社1,500


図表5 ビートレンドとダブルクリックの契約数推移

ビートレンドとダブルクリックの契約数推移



ビートレンドの「BeMSS」はケータイASPの中でもっとも網羅的なサービス展開を行っており、絵文字対応メールやデコメールにも対応するなど、配信メールのデザイン性の高さが特徴となっている。また契約企業はコンビニ決済・クレジットカード決済に対応したショッピングカート形式の商品販売も可能である。初期登録料や月額固定料金はかからず、利用する機能分だけ料金が加算される形式となっているため、契約企業はニーズに合わせて必要機能を選択できる。コストパフォーマンスと柔軟性に優れたサービスと言えるだろう。

ランキング2位のダブルクリックは「MO-ON」、「Mobile MK」の2サービスで総合的なサービスを提供している。費用対効果を求める契約企業の声に応えるため、「MO-ON」では分析専門のスタッフを置くなど、利用後の分析・報告に力を入れている。また経験の浅い企業に対しては、利用方法の提案を行うなどサポートも重視している。両サービスとも標準メニューでほぼ基本機能がカバーできる体系となっているが、テンプレートが充実した「MO-ON」に対し、「Mobile MK」は運用者が設定する部分が多く、経験を積んだ企業が「Mobile MK」を利用するケースが多い。ケータイプロモーションの立案から実施、その後の評価までの全サイクルを通じたサポートを受けたい企業に向いている。

NECモバイリングも、業種別ソリューションの「MVPro」と販促ツール「ケータイサラダ」の2種類のサービスを提供している。「MVPro」はガソリンスタンド・歯科医院・フィットネスクラブ・ゴルフ場・通販の5業種、ケータイサラダは飲食・小売などを中心に広く業種を越えて展開している。業種の特徴に相応しいプロモーションを目指す企業にとっては魅力的なサービスと言えるだろう。

ASPから自社開発への移行は一部の大手企業中心

前回調査では、ケータイプロモーション用システムをASPで試用後、自社開発に移行する企業の動きを取り上げたが、今回の調査結果では前回の想定ほど自社開発への移行が進んでいなかった。その理由として、ケータイのWebサイトにおいては、絵文字対応メールやFlashなど、キャリアや携帯端末の技術革新が早く、自社システムでは技術対応に大きな負荷がかかってしまうことが挙げられる。その点、ケータイASPサービスは競って機能を追加しているため、各社の機能に大きな差が無く、契約企業は直ぐに新機能を使えるようになる。また、各社は個人情報保護対策にも力を入れており、この点も評価され継続利用している契約企業が多いのだろう。


図表6 大手ASPベンダーの提供機能比較

大手ASPベンダーの提供機能比較



初心者向けの一括サポート型と上級者向けのサービス選択型に分かれる

前述したように主要ベンダーのサービス機能には大きな差は見られなかった。ただ、料金体系は基本機能の範囲が広く、基本プランでほぼ必要機能がカバーできる一括提供型と、必要な機能を選択するサービス選択型に2分されているようだ。

一括提供型はケータイプロモーションに対する経験・ノウハウがなく、初めて導入する企業向きであることが多い。経験の少ない企業には自社に必要な機能の絞込みや選択が難しいからだ。料金は高いが、クライアントが計画・実施・評価・改善のPDCAサイクルを回せるように手厚くサポートしているベンダーもある。一方、サービス選択型は、実施内容が明確であったり、経験から利用する機能が絞り込めている企業が、必要機能だけを低コストで選択できるのでコストパフォーマンスに優れたものとなっている。

前回調査から3年半が立ったが、市場は継続して成長し、利用企業の業種や目的にも広がりが出てきた。ケータイASPサービスを機能面だけで比較すると大きな差は無いが、利用企業のASPベンダーの乗り換えも増えており、利用企業の目的に応じたサポートが出来るか否かでサービスが選択されているようだ。ケータイASPベンダーにとっては機能だけでなく、分析支援やコンサルティングも重要な提供サービスとなりそうだ。

主なケータイASPベンダー一覧

NO会社名主なサービス名URL特徴
1ビートレンド株式会社BeMsshttp://www.betrend.com/services/ダブルクリックの契約数を抜いて契約数NO1。豊富なメニューで利用企業の要望に合わせた対応が可能。
2ダブルクリック株式会社MO-ON(ムーン),MobileMK http://www.mo-on.net/,http://www.mobilemk.net/標準メニューに継続的なコンサルティング・提案を組み合わせる形式で、経験の浅い企業も取り組みやすい。
3株式会社エフ・イー・エスJigsawhttp://www.jigsaw.mu/index.htmlアイコンをツリー状に組み合わせるGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)でWeb構築・更新を簡単に行える。
4NECモバイリング株式会社MVPro,ケータイサラダ http://www.nec-mobiling.com/mvpro/,http://www.nec-mobiling.com/k-sal/MVProは「ガソリンスタンド」、「歯科医院」、「フィットネスクラブ」、「ゴルフ場」「通販」の5業種、サービスサラダは飲食・小売・のFC/商業施設など業種に特化した展開。
5丸紅テレコム株式会社ケータイ@(アット)http://ktai.at/コンビニ・クレジット決済に対応したeコマース機能を標準提供。
6インクレイブ株式会社モバインhttp://www.mobign.com/携帯販促のすべてが使いこなせるモバインと携帯サイト作成機能から簡単スタートできるモバインCMSの2つの料金プラン。
7北見情報技術株式会社ケータイでドット混む,ケータイポータルサイト http://www.k-taide.com/index.htm個々の必要機能を選択し、組み合わせる形式の料金体系。
8株式会社ウインズコミュニケーションズWINS Mailing Servicehttp://www.winscom.co.jp/product/mail/管理する会員数に応じた基本メニューに、オプション機能で対応。
9株式会社ユーアイディーM・I・C・S(ミックス),Dadmailhttp://www.uid.co.jp/service/mics.html,http://www.uid.co.jp/service/dadpromo.htmlM.I.C.Sは一括料金、Dad Promoはパッケージ+カスタマイズと基本機能一括提供型。M.I.C.Sはeコマースに対応。
10スキマクリエイティブ株式会社ナウゲッタメールhttp://nowgettamail.com/メール配信数無制限で月額1,850円(1000アドレス)と安価。
11エイケア・システムズ株式会社Mail Publisher Mobile Edition,Mail Publisher Smart Edition http://www.a-care.co.jp/pme/index.html,http://www.a-care.co.jp/pse/index.html 楽天・アマゾンなど大手企業への導入実績。Smart Editionでは月額1通0.09円からメルマガ配信機能を提供。

ケータイASPサービスの定義
この調査では、携帯電話向けに、電子メール配信、会員登録、Webページ作成等の複数の機能をASPで提供する有料サービスを「ケータイASPサービス」とした。なお、単なるホスティングやメディア変換サービス、PC向け電子メール配信を中心とするサービスは除いている。

調査方法
Webサイト等でケータイASPサービスを提供するベンダーを27社ピックアップし、電子メールやヒアリング等で2007年11月に調査した。回収は11社。

前回調査結果
「ケータイASPベンダー調査」(2004年5月発表)


【関連情報】

 ・調査レポート 『携帯電話の利用実態とニーズ分析2006』

 ・調査レポート 『インターネットショッピング2007』



富士通総研では、消費者を起点とした、BtoC、BtoBtoCのマーケティングを支援しています。ネット調査、テキストマイニング、ネット視聴率といったITツールを活用し、ビジネス動向調査、消費者調査、コンサルティングを展開していますので、お気軽にご相談ください

ネットビジネスの最新動向は、「サイバービジネスの法則集お知らせメール(登録無料)」でお届けしています。是非ご覧になってください。