GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

ケーススタディ


ネット書店戦国時代2:新たな集客競争へ


前回の「ネット書店戦国時代」では、2000年11月にアマゾン・ドットコムが日本でのサービス(amazon.co.jp)を開始し、いきなりネット書店月間リーチランキングのトップに踊り出た様子を取り上げた。このスタートダッシュを可能にした要因は、ネットビジネスの代表格とも言えるアマゾンのブランドと、それまで日本から本国サイト(amazon.com)を利用していた人々の存在、マスコミでの露出などだが、それらにも増して大きな影響力を持っていたのが配送料無料キャンペーンである。このキャンペーンが終了した後、アクセス状況はどうなったのだろうか。

無料キャンペーン終了後にリーチは後退

アマゾン上陸を迎え撃つかたちでbolも配送料無料キャンペーンを行い、11月のネット書店アクセスランキングでは、アマゾンが1位、bolが2位と、キャンペーン実施店が上位を占めた。両社とも、当初キャンペーン期間を1月末までとアナウンスし、bolは実際に2月から注文金額3500円未満の配送料250円を徴収しはじめた。しかし、アマゾンは2月末までキャンペーンを延長した。

このため、2月には唯一のキャンペーン実施店となったアマゾンにアクセスが集中した。アマゾンの月間リーチ(インターネットにアクセスした人全員のうち、該当サイトにアクセスしたユニークオーディエンスの比率)が1月の4.02%から、2月には4.43%へと拡大する一方で、bolは0.95%から0.62%へと後退した。しかし、結局はアマゾンのリーチもキャンペーンの終了に伴う後退を免れなかった。5000円未満の配送料を240円とした3月のリーチは、前月の4.43%から3.78%に落ち、さらに4月には2.87%へと、開業時のレベル(11月:2.56%)近くまで戻ってしまった。

主要ネット書店のリーチ推移



両社のキャンペーン終了後のリーチ後退からわかるように、配送料無料は集客に大きく貢献したが、その先の効果までを実現するにはいたらなかった。

体力勝負の配送料無料キャンペーンは打ち止め

配送料無料キャンペーンの狙いが、認知向上にあるのは言うまでもないが、キャンペーン中にアクセスした人がキャンペーン終了後もアクセスし、リピート客になることも合わせて期待していたはずだ。しかし、bol、アマゾンのリーチ後退を見る限りでは、この狙いは成功したとは言いがたい。つまり、キャンペーン期間中は、無料だし、どんなものか一度見てみようという気持ちで、ネット書店を利用するトライアルユーザーが集まったが、キャンペーンが終わると、配送料を払ってまでネット書店を利用する気はなく、コンテンツや機能にもとりたてて魅力を感じなかったので、サイトにアクセスしなくなった、という可能性が高い。

反面、配送料が無料になる注文金額の下限がアマゾンより低いbolのリーチが3月以降増えていることは、配送料が安いネット書店を渡り歩くユーザー(サイトを見るだけでなく、書籍を購入している)の存在をうかがわせる。

リピート客の獲得という身のある投資効果を得られない以上、配送料無料キャンペーンは、体力を削って認知度を上げる耐久戦術でしかない。このため、すでに予約販売の顧客向けといった限定的な状況でしか見られなくなっている。

集客の次の一手はアフィリエイト

これからのネット書店では、どのような集客手段が取られるのだろうか。最近、あちこちで見かけるのがアフィリエイト・プログラムだ。

アフィリエイト・プログラムとは、一種の代行営業のようなしくみである。ネット書店の場合、コンテンツ・サイトや個人ホームページを”アフィリエイト(提携先)”として組織化し、そのサイトの書籍を紹介しているページからリンクしてもらう。そして、リンク経由で注文があった場合、アフィリエイトに手数料を支払う。1996年にアマゾンがアメリカで開始したのがはじまりで、アマゾンでは「アソシエイト・プログラム」と呼んでいる。

2000年1月からテストを行っていたbk1が、「ブリーダー・プログラム」の名称で4月から本格的に開始した後、5月にアマゾン、6月はbolと、大手の導入が続いた。アフィリエイト・プログラムは、配送料無料キャンペーンのように短期に人を集められる方法ではないので、この影響による大きなリーチの変化は当面ありそうもない。しかし、参加サイト数がある程度の規模に達すれば、遅効性ながらも、安定的な集客源の一つとして機能するようになるだろう。ただし、アフィリエイトに商業コンテンツ・サイトを勧誘するのか、個人ホームページの自主参加に頼るのかによっても、効果は違ってくると考えられる。

なお、e-Shopping Booksは、昨年10月にYahoo! JAPANに出店し、書籍データ掲載ページからのリンクによる注文受付けを行っている。Yahoo! JAPAN 上の書籍データ掲載ページのアクセス状況は、e-Shopping Books自身のサイトのアクセス状況には反映されないが、国内最大のポータルへの出店は、e-Shopping Booksの販売戦略(チャネル戦略ともいえる)の要だ。オンラインショップの評価は、やはりリーチだけでは語れない。

総合力の勝負へ

このレポートでは「ネット書店」としているが、実は、リーチ上位7サイトのうち、書籍のみを扱う純粋なネット書店は半分もない。紀伊国屋書店とbk1、e-Shopping Booksがこれにあたるが、e-Shopping Booksの場合、統一イメージを打ち出す玩具、カー用品、ワイン販売のグループ企業があり、純粋ネット書店からやや外れる。

これに対し、bol(書籍と音楽)とjbook(書籍、音楽、ビデオ、ゲーム、パソコンソフトなどメディア商品全般)は、マルチカテゴリーのネット書店だ。jbook ではこの3月、宇多田ヒカルのCDアルバムのネット予約で、配送料を無料にするプロモーションを行い、300件以上の注文を集めることに成功したという。その話題効果が続いたのか、3月から4月は0.84%から1.42%へとリーチを伸ばした。

日本のアマゾンは6月から、アメリカで収益性を証明済みの音楽、ビデオ、DVDの取り扱いを開始した。書籍やほかの商品を買いに、あるいは見に訪れたユーザーが、ついでにほかの商品も見たり、買ったりする−−−マルチカテゴリーのネット書店は、集客力をそんなふうに活かすことができるのだろうか。ネット書店の競争の争点は、総合力というところにも広がりつつある。

(注)なお、今回も家庭からインターネットにアクセスしている人を対象としたネット視聴率データを元に分析した。アクセス状況は必ずしも売上金額とは関係しないことをおことわりしておく。
【2001年6月作成】


ネットビジネスの最新動向は、「サイバービジネスの法則集お知らせメール(登録無料)」でお届けしています。受託調査、コンサルティング、講演も行っていますのでお問い合わせください。