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ケーススタディ


ネット書店戦国時代:アマゾン日本上陸のインパクト


競争が激化するネット書店

2000年に日本のネットビジネスで話題になった出来事の一つに、アマゾンドットコムの進出がある。
国内では、その時点ですでに有名店だけでも10近くのネット書店があったにもかかわらず、11月1日にオープンした日本語サイト"amazon.co.jp"は、いきなりインターネット視聴率の月間リーチ(意味は後の文中を参照)でネット書店のトップに踊り出た。「ネット書店戦国時代」ともいうべきこの状況を、インターネット・ユーザーのアクセス状況から分析する。

インターネットの書籍販売市場

日本で本格的な和書のインターネット通販がはじまったのは1995年からである。その年、丸善がネット進出し、翌年には紀伊国屋書店がこれに続いた。98年には「本屋さん」、99年にセブン・イレブンのe-Shopping Booksと国内異業種が参入し、2000年にドイツ系のbolやアメリカのアマゾンの日本進出という状況にいたった。つまり、日本のネット書店市場の競争は、書店・取次のネット進出、異業種参入、外資参入という段階を経て、年々激しさを増している。

出版科学研究所によると、2000年の書籍・雑誌合計の販売金額は対前年比2.6%減の2兆3966億円と推計されるが、そのうち書籍の販売額は1兆円を割り込んだ。ECOMとアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)によると、音楽CDと合わせた1999年の書籍ネット通販市場は70億円と、書籍販売市場全体に占める比率は1%にも満たないが、市場規模は急速に拡大し、2004年には現在の約21倍の1470億円(CDを含む)になると予測されている。ちなみに、フォレスター・リサーチによると、アメリカの書籍ネット通販市場は、1999年で書籍販売市場の約6%を占める12億ドル(約1320億円)となり、2004年にはさらに33億ドル(約3630億円)に到達すると予測されている。

アマゾン日本進出のインパクト

さて、アマゾンの日本語サイトがオープンしたのは2000年11月1日である。この11月のアクセス状況を、ネットレイティングスのオーディエンス・メジャーメント(視聴率のインターネット版というべきもの)のデータを使って分析してみる。なお、今回使ったデータは家庭のパソコンからアクセスした人だけを対象としたもので、会社や学校からのアクセスは含まれていないのでご注意いただきたい。また、アクセス状況は必ずしも売上げ金額とは関係しないということも、あらかじめおことわりしておく。

11月のアマゾン(amazon.co.jp)のユニークオーディエンスは約40万人であった。ユニークオーディエンス数とは、1ヶ月にそのドメインにアクセスした人数を意味し、同一人物の複数回のアクセスは数えない。同じ月のbolのユニークオーディエンスは約22万人、紀伊国屋書店は約19万人であり、アマゾンは日本語サイトのオープン最初の月に、いきなりネット書店のトップとなった。無論、マスコミなどでさんざん取り上げられたため、ためしに覗いてみようと思った人も含まれているに違いなく、今後もこの飛びぬけた状況が続くかどうかはわからない。

アマゾンの本国アメリカのサイト(amazon.com)にも、日本から約16万人がアクセスしている。ただし、このうち45%は日本語サイトにもアクセスしている重複ユーザーだ。他のネット書店にもアマゾン日本語サイトとの重複ユーザーが見られる。ブックサービスで17.5%、bk1(ブックワン)で17.3%が重複しており、この人たちは既存のネット書店とアマゾンを比較してみたと思われる。

主要ネット書店のリーチとamazon.co.jpとの重複
ドメインユニーク
オーディエンス
Amazon.co.jp
アクセス率
amazon.co.jp395,349100.0%
bol.com221,73913.2%
kinokuniya.co.jp189,08016.4%
amazon.com158,14045.7%
jbook.co.jp120,3247.1%
bookservice.co.jp97,97817.5%
bk1.co.jp89,38317.3%
honyasan.co.jp87,66415.7%


アクセス推移と今後

次に、過去からの推移でネット書店のアクセス状況を見てみよう。当初は、紀伊国屋書店、本屋さん、アメリカのアマゾンのリーチ(インターネットにアクセスした人全員のうち、該当サイトにアクセスしたユニークオーディエンスの比率)が高いが、jbook(文教堂)、bk1、bolのサービスが本格化すると、既存各社のリーチは徐々に減ってくる。伸びが目立つのはbolで、広告やイベント、送料無料キャンペーンが功を奏し、10月にはトップにのぼりつめたが、11月にはいきなりアマゾンにトップを奪われた。

ここで、送料無料キャンペーンについて考えてみる。現時点では、日本の書籍は値引き販売ができないので、送料無料キャンペーンがネット書店のほとんど唯一の価格競争手段である。事実、新規参入のネット書店は送料無料キャンペーンを行うことが多く、2000年は各社が順番にキャンペーンを行っていた。このため、無料サービスを求めてネット書店を渡り歩く書籍のネットショッパーが、11月にキャンペーンを行っていたアマゾンやbolに集まったという可能性がある。アマゾンとbolの送料無料キャンペーンは2001年の1月末迄であり、両社の実力はキャンペーン終了後に試されることになる。
なお、1月下旬、丸善とブックワンは、丸善の店舗とbk1サイトの、ネット販売用商品の在庫、仕入れ・物流インフラの共有化などを含む業務提携を発表した。これに伴い、丸善のネット書店は、一般書籍のネット販売から手を引き、専門書籍中心とした品ぞろえに転換する一方、これまで目玉としてきた一般向け洋書をbk1を通じて販売することになるという。市場規模に対し、数の増え過ぎたネット書店の分野では、この先も同様のアライアンスが発生する可能性は高い。

主要ネット書店のリーチ推移

【2001年1月作成】


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