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米国ドットコムEC企業の現状と新たな課題

(2001年9月28日 田中秀樹)

昨年から続いていた閉鎖や破綻は7~8月で一段落し、米国消費者向けドットコムEC企業は、3つの生き残りの形を見出した。ただ、一般小売業より早く景気低迷の影響がECに出ていることに加え、米同時多発テロ報復攻撃の影響も予想され、クリスマス商戦が低迷すると、かろうじて生き残った企業にとどめを刺すことになりかねない。

米消費者向けドットコムEC企業の破綻減少

米国の調査会社Webmergersによると、2001年8月中に閉鎖や破綻したインターネット企業は38社であった。前年同月比では3.8倍に増えているが、前月の39社とほぼ同じ規模であり、毎月60社以上の閉鎖・破綻が続いていた4-6月と比べると水準が低下したことになる。

月別インターネット企業の閉鎖・破綻社数

閉鎖・破綻企業の内訳は、2000年1月から2001年7月迄の累計では消費者対象(BtoC) が58%と半数を超え、その多くはインターネット上だけで商品を販売するドットコムEC企業だった。しかし、8月の内訳は企業対象(BtoB)が55%に達したのに対し、消費者対象は21%に留まっており、昨年から続いていた、ドットコムEC企業の再編はヤマ場を越えたように見える。

閉鎖・破綻企業の対象顧客内訳

ドットコムバブル崩壊以降、黒字化の目処が立たないドットコムEC企業は、資金調達が困難となり、閉鎖・破綻するかリアルビジネスの配下となって大半が消え、残された企業からドットコムEC企業生き残りの条件が見えてきた。

生き残るドットコムEC企業の3タイプ

生き残った消費者向けのドットコムEC企業の特徴は、

(1)利益を出せるビジネスモデルの上位企業
(2)ニッチマーケット特化
(3)ECアウトソーサー

に分けることができる。

消費者向けECは、自社で仕入れた商品を販売する「小売型」と、商品の在庫を持たずに注文だけを伝える「仲介型」に分けることができるが、ネットベンチャーにとっては在庫を伴わない「仲介型」の方が利益を出しやすい。売上ベースで64.3%(2001年5月)のシェアを誇るネットオークションのeBayや、旅行のTravelocityのように、仲介型ビジネスモデルで一定規模のシェアを押さえたドットコムEC企業は黒字化に成功した。

「小売型」で利益を出しているのは、香水のFragrancenet.comや、ギフトの1-800-Flowers.comといった、さほどマーケットは大きくないが粗利率の高い商品カテゴリーを手がけている企業である。

amazon.comは、商品仕入れ、在庫管理をToysrus.comが担当し、トラフィックの獲得、サイトの運営、受発注業務、商品の発送、顧客サポートを自社で行うといった、既存小売業とネットベンチャーそれぞれの強みを生かした提携ビジネスを、昨年のクリスマス商戦に成功させた。その後同社は、8月に大手家電チェーンのCircuit City、9月に小売大手のTargetと相次いで提携を発表し、クリスマス商戦に向けてECプラットフォーム・ビジネスを拡大している。

景気低迷と同時テロの影響でマーケットが縮小すれば致命傷に

しかし、生き残ったドットコムEC企業にも新たな懸念が出てきた。米国商務省の調査によると、2001年第2四半期(4-6月)の小売EC売上高は対前期比−1.8%の74.58億ドルとなった。同時期の一般小売業売上全体は10.8%拡大しており、小売EC売上だけが低下した形だ。

eコマース比率(小売売上全体に占めるEC売上の割合)は、2000年第4四半期の1.09%をピークとして、2001年第1四半期は1.04%、第2四半期は0.92%へと低下しており、今まで順調に拡大してきた消費者向けECが、2001年に入り踊り場に差しかかったことを示している。

米国EC売上高とEC比率の推移

ECの商品カテゴリー別売上を発表している調査会社Forrester Researchのデータによると、パソコンのハードやソフト、家電といったEC売上の高い選択的消費品目がマイナスを記録しており、景気低迷の影響が一般小売業より早くECに現れた可能性が高い。さらに、9月11日に起こった米同時テロ以降、今まで好調だったオンライン旅行サイトの販売が減少しており、Travelocityは既に業績見通しを下方修正した。正確な予測をするには時期尚早だが、テロによる心理的な消費抑制効果が短期的にEC売上を減少させると考えられ、報復攻撃が長期化すればクリスマス商戦に与える影響も大きい。

商品カテゴリー別EC売上高

徹底的なコストダウンで既に体力を使い果たしているドットコムEC企業にとって、商品カテゴリーによっては年間売上の半分を占めることもあるクリスマス商戦の不振は、とどめを刺すことになりかねない。

関連コラム

米国クリック&モルタル最新事情(「月刊コンピューターテレフォニー」2001年5月号)


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